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アイコン三国志 作者:小金沢

第十一章 三国の終焉

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一一四   魔王の影

~~~魏 合肥新城がっぴしんじょう~~~


挿絵(By みてみん) 毌丘倹かんきゅうけん
「ええ援軍は5千ぽっちだととと!?
しし司馬師は何を考えているのだだだ!!!」


挿絵(By みてみん) 文欽ぶんきん
「せっかく来てやったのにつれねえなあ」


挿絵(By みてみん) 州泰しゅうたい
「これでも援軍に来てやれただけマシなんだ。少しは感謝しろ」


挿絵(By みてみん) 毌丘倹かんきゅうけん
「フフフンンン!!!
しし司馬師の心はよくわかったたた!!!
ごご呉軍を蹴散らしたら目にもの見せてくれるるる!!!」


挿絵(By みてみん) 州泰しゅうたい
「……聞かなかったことにしてやるから、さっさと兵を再編成しろ。
愚痴はいつでも言える」


挿絵(By みてみん) 文欽ぶんきん
「これが満寵サンが改修した合肥新城か。
旧城とは内部の造りからして違うんだな」


挿絵(By みてみん) 州泰しゅうたい
「呉軍に合肥城の攻略法を確立されかかっていると感じた満寵将軍が、
自ら設計に携わり築いた城だと聞く。
これなら俺たちのような小勢でも十分に戦えるだろう」


挿絵(By みてみん) 毌丘倹かんきゅうけん
「フフフンンン!!!
だだだからお前らの助けなど必要ないいい!!!
ひひ昼寝でもしていろろろ!!!」


挿絵(By みてみん) 文欽ぶんきん
「うるせえなあ! 毌丘倹の声がよく響くようにも造ってあんのか?」


挿絵(By みてみん) 州泰しゅうたい
「防戦に努めていればそのうち司馬孚の援軍が来る。
そうすれば我々の勝ちだ。
戦いが終わったら司馬師から莫大な恩賞をせしめてやれ。
魏国始まって以来の困難でした、とか上奏してな」


~~~呉 遠征軍~~~


挿絵(By みてみん) 諸葛恪しょかつかく
「小勢とはいえみすみす援軍の入城を許すとは、使えない連中だ」


挿絵(By みてみん) 丁奉ていほう
「小勢だからこそ電撃的に我々の包囲を突破できたという見方もある。
それに5千ぽっち増えようがどうということはない」


挿絵(By みてみん) 諸葛恪しょかつかく
「言い訳はそれだけか? 歴戦の丁奉将軍の名が泣くな」


挿絵(By みてみん) 丁奉ていほう
「………………」


挿絵(By みてみん) 呂拠りょきょ
「諸葛恪丞相、唐咨が内通者から防備の薄いところの情報を得た」


挿絵(By みてみん) 諸葛恪しょかつかく
「裏切り者が裏切り者とつるんでいるのか。まさに厚顔無恥だな」


挿絵(By みてみん) 呂拠りょきょ
「昔はどうあれ唐咨は今は我が軍の将だ。献策も妥当と考える」


挿絵(By みてみん) 諸葛恪しょかつかく
「ほう。一将ごときが丞相の私に口答えするのか?
目障りだ。下がっていろ」


挿絵(By みてみん) 呂拠りょきょ
「かしこまった」


挿絵(By みてみん) 丁奉ていほう
(遠征軍を破り丞相に昇進して以来、諸葛恪の増長ぶりは目に余る。
そもそも我々の力だけで勝利したというのに、何を勘違いしているのやら)


挿絵(By みてみん) 諸葛恪しょかつかく
「裏切り者どもの浅知恵を借りるまでもない。
私の千の計略でじっくりと合肥新城を料理してやる」


挿絵(By みてみん) 丁奉ていほう
(小勢しか寄越されないとは魏軍も苦労しているようだ。
上の横暴によるしわ寄せはいつも前線の我々に回ってくる。
呉も魏も先が思いやられるな……)


~~~魏 回想~~~


挿絵(By みてみん) 王凌おうりょう
(このまま司馬氏の専横が続けば魏は滅びる。
そうは思わんかねチミ?)


挿絵(By みてみん) 令狐愚れいこぐ
(王凌の言う通りであーる)


挿絵(By みてみん) 夏侯覇かこうは
(……だが、曹爽一派が殺されたのは自業自得だ。
専横してたのは奴らも同じなんだからな。
奴らを退治した司馬懿が権力を握るのは当然じゃないか)


挿絵(By みてみん) 王凌おうりょう
(ならばチミは祖国が滅びるのを指をくわえて見ているというのか?)


挿絵(By みてみん) 令狐愚れいこぐ
(王凌の言う通りであーる)


挿絵(By みてみん) 夏侯覇かこうは
(そんなことは言ってない!
ただ、お前らの計画は性急すぎるし、無謀だと言ってるんだ。
司馬氏を打倒するなんて、そんな簡単なことじゃない)


挿絵(By みてみん) 王凌おうりょう
(これは偉大なる夏侯淵将軍の子息の言葉とは思えんなチミィ)


挿絵(By みてみん) 令狐愚れいこぐ
(王凌の言う通りであーる)


挿絵(By みてみん) 夏侯覇かこうは
(……もういい、とにかく俺はアンタらの反乱には加わらない。
やりたければ勝手にやれ)


挿絵(By みてみん) 王凌おうりょう
(司馬懿に密告したらどうなるかわかってるだろうねえチミ?)


挿絵(By みてみん) 令狐愚れいこぐ
(王凌の――)


挿絵(By みてみん) 夏侯覇かこうは
(そんなことするものか! 俺を見くびるな!)


挿絵(By みてみん) 令狐愚れいこぐ
(――い、言う通りであーる)


~~~蜀 成都~~~


挿絵(By みてみん) 夏侯覇かこうは
「……王凌の計画は予想通り失敗して殺されちまったが、
今振り返れば、俺も参加すれば良かったと思うんだ。
こんな生き恥をさらすくらいなら、祖国のために殉じるべきだったってな」


挿絵(By みてみん) 姜維きょうい
「……僕は君が蜀に亡命してきた理由を聞いたはずだが?」


挿絵(By みてみん) 夏侯覇かこうは
「話が長くなってすまねえ。
要は魏で居場所を失っちまった。死に場所も見つからねえ。
だから雇ってくれないかってだけの話だ」


挿絵(By みてみん) 張翼ちょうよく
「あなたの父の夏侯淵といえば、曹操の弟にも等しい人物。
その子にまで見放されるとは、魏も長くはなさそうですね」


挿絵(By みてみん) 夏侯覇かこうは
「今の陛下もそのうち、くだらねえ理由をつけて廃位されちまうだろう。
司馬氏に牛耳られた魏なんて、もう曹操陛下が建てた国とはなんの関係もねえよ」


挿絵(By みてみん) 傅僉ふせん
「ホホホ。しかしいいのですか?
我々の国はその昔、定軍山の戦いであなたの父を殺したのですよ」


挿絵(By みてみん) 夏侯覇かこうは
「……昔の話だ。その頃の連中なんてほとんど生きてねえだろ。
俺はそんなこと気にしてねえよ」


挿絵(By みてみん) 廖化りょうか
「祖国を追われ、父の仇の国を頼る他ない……。
その複雑な胸中を思うと涙が出てくるよなあ!」


挿絵(By みてみん) 星彩せいさい
「ほらほら、ちょっとどきなさいよ。顔が見えないじゃないのよ」


挿絵(By みてみん) 尹賞いんしょう
「こ、これは皇后様。さっさと道を空けろお前ら!」


挿絵(By みてみん) 夏侯覇かこうは
「あ、あなたは……」


挿絵(By みてみん) 星彩せいさい
「アンタが夏侯淵おじさんの息子?
ふーん。アタイのママにはあんまり似てないかな」


挿絵(By みてみん) 夏侯覇かこうは
「星彩皇后様ですね。
あなたの母上様とは、幼い頃にお会いしたことがあります。
よく似ておいでだ……」


挿絵(By みてみん) 星彩せいさい
「アタイのママは夏侯淵おじさんの姪なんだってね。
アタイはずっと蜀で育ったから、ママの親戚と会うのは初めてだよ。
夏侯覇だっけ? 歓迎するよ!」


挿絵(By みてみん) 夏侯覇かこうは
「もったいないお言葉です……」


挿絵(By みてみん) 梁緒りょうしょ
「あれ? たしが夏侯覇の亡命を受け入れるがどうがって
話してんじゃながっだっけが?」


挿絵(By みてみん) 姜維きょうい
「皇后様が望まれるなら否も応もない。歓迎しよう、夏侯覇」


~~~蜀 成都 宮廷~~~


挿絵(By みてみん) 劉禅りゅうぜん
「ぶわはははははははは!!」


挿絵(By みてみん) ??
「………………」


挿絵(By みてみん) 尹黙いんもく
「へ、陛下。そのように笑われては彼に失れ…ぶふぉっ!
ぶはははははははは!!」


挿絵(By みてみん) 劉禅りゅうぜん
「うっひゃっひゃっ! お前も笑ってるじゃないか!」


挿絵(By みてみん) 尹黙いんもく
「だ、だって、事もあろうにあの……ひゃっひゃっひゃっ!!」


挿絵(By みてみん) ??
「………………」


挿絵(By みてみん) 劉禅りゅうぜん
「なあ。も、もう一回教えてくれよ。
お、お前の父さんは誰だって?」


挿絵(By みてみん) ??
「ですから、諸葛亮です」


挿絵(By みてみん) 劉禅りゅうぜん
「じ、じゃあ、か、母さんは?」


挿絵(By みてみん) ??
「黄月英です」


挿絵(By みてみん) 劉禅りゅうぜん
「あっひゃっひゃっひゃっひゃ!!!」


挿絵(By みてみん) 尹黙いんもく
「うひゃひゃひゃひゃひゃ!!
く、苦しい……あっはっはっ…し、死ぬ…!!」


挿絵(By みてみん) 費禕ひい
「喝! これでは話が進まぬ。
それでどうするのだ陛下。この者を取り立てるのか」


挿絵(By みてみん) 劉禅りゅうぜん
「うん、採用。文句なし。だって面白いじゃん」


挿絵(By みてみん) 尹黙いんもく
「こ、このような素性も知れない怪しい者を登用するのですか」


挿絵(By みてみん) 劉禅りゅうぜん
「素性なら何回も自分で言ってるじゃんか。
し、諸葛亮とげ、げ、月英ちゃんの……あっはっはっはっ!!」


挿絵(By みてみん) 尹黙いんもく
「ひゃひゃひゃひゃひゃ!!!」


挿絵(By みてみん) 費禕ひい
「尹黙殿までこれでは話が進まぬ。
とにかく……諸葛瞻殿と言ったか。
陛下のお許しは得られた。明日から出仕するがよい」


挿絵(By みてみん) 諸葛瞻しょかつせん
「はッ! 父と母の名を辱めぬようがんばります!
それでは失礼致します」


挿絵(By みてみん) 劉禅りゅうぜん
「もう~ずるいよあいつ。あんなの笑うに決まってるじゃん」


挿絵(By みてみん) 尹黙いんもく
「事もあろうに丞相と黄月英殿とは……。
ぶふぉふぉっ! い、いや。私がこれではいかん。
気を引き締め直さんと」


挿絵(By みてみん) 劉禅りゅうぜん
「よく費禕はあんな鉄板ネタ聞いて笑わずにいられるね」


挿絵(By みてみん) 費禕ひい
「拙僧は悟りを開いた身。心をかき乱されることはない」


挿絵(By みてみん) 劉禅りゅうぜん
「酒も飲むし博打もやるのに変なところで堅物だなあ。
まあ蔣琬も董允も死んで、次はお前が丞相やるんだから、
そのくらいでちょうどいいのかな」


挿絵(By みてみん) 費禕ひい
「南無。では丞相らしいことをさせていただく。
姜維が北伐を願い出ておりますが、いかがなさるか」


挿絵(By みてみん) 劉禅りゅうぜん
「おっ! 久々にキタね北伐。
いいよ、行ってきなよ」


挿絵(By みてみん) 尹黙いんもく
「また簡単に決められて……」


挿絵(By みてみん) 劉禅りゅうぜん
「この前は夏侯覇が亡命してきて、今度は諸葛瞻だろ。
戦力が増えてていい感じじゃん。
今度は勝てるといいね。良い知らせを待ってるよ」


~~~呉 建業けんぎょうの都~~~


挿絵(By みてみん) 孫弘そんこう
「あんぎゃあああああ!!!」


挿絵(By みてみん) 諸葛恪しょかつかく
「余の暗殺を企むとはこの不届き者が!
地獄でその罪を償うがいい!」


挿絵(By みてみん) 丁封ていほう
(……とうとう余とか言い出したぜこいつ)


挿絵(By みてみん) 丁奉ていほう
(叔父の諸葛亮の真似をしているのだろう)


挿絵(By みてみん) 丁封ていほう
(真似すんなら同じくらいの実力を身につけて欲しいもんだよなあ。
合肥新城の戦いはずるずると包囲を続けて被害を増やしただけで、
結局は疫病が大流行して撤退だろ? 無能の極みだぜあいつ)


挿絵(By みてみん) 丁奉ていほう
(しかも司馬孚の偽兵に驚いて撤退命令というていたらくだ。
……だが口が過ぎるぞ弟よ。今の諸葛恪は気分一つでお前の首など簡単に奪う)


挿絵(By みてみん) 丁封ていほう
(だったら奪われる前に兄貴が奪っちまえばいいんじゃねえの)


挿絵(By みてみん) 呂拠りょきょ
(そこまでだ)


挿絵(By みてみん) 丁封ていほう
(り、呂拠さん。あ、その。今のは世間話っつーかなんつーか)


挿絵(By みてみん) 呂拠りょきょ
(……貴君らに話がある。ついてきてくれ)


~~~呉 建業の都 回廊~~~


挿絵(By みてみん) 諸葛恪しょかつかく
「彼奴らがとっとと合肥新城を落としておれば、
司馬孚の援軍など間に合わなかったのだ!
どいつもこいつも全くもって使えやしない。そのくせ口ばかり一人前だ。
だが構わぬ。呉は余がいれば安泰なのだ。
クックックッ。余に逆らう者は根絶やしにしてくれる……」


挿絵(By みてみん) 孫峻そんしゅん
「よう、久しぶりだな」


挿絵(By みてみん) 諸葛恪しょかつかく
「皇族だからと余になんという口の利き方だ! とっととそこをどけ」


挿絵(By みてみん) 孫峻そんしゅん
「どかねえよ」


挿絵(By みてみん) 諸葛恪しょかつかく
「なんだと?
役立たずのでくのぼうは、ビッチの孫魯班とでもいちゃついておれ!」


挿絵(By みてみん) 孫峻そんしゅん
「ほう。偉くなったな小僧。陛下にそんな口を利くたぁな」


挿絵(By みてみん) 諸葛恪しょかつかく
「は?」


挿絵(By みてみん) 孫亮そんりょう
「し、し、諸葛恪!」


挿絵(By みてみん) 諸葛恪しょかつかく
「……孫亮のガキをおぶっていたのか。おい、なんのつもりだ」


挿絵(By みてみん) 孫亮そんりょう
「ち、ち、朕はおまえのち、ち、誅殺を命じるぞ!」


挿絵(By みてみん) 諸葛恪しょかつかく
「な、なにィ!? わ、私を、いや余を誅殺だと!?」


挿絵(By みてみん) 呂拠りょきょ
「天命は下った。死ね」


挿絵(By みてみん) 諸葛恪しょかつかく
「な――ぎゃあああああああっ!!」


挿絵(By みてみん) 丁奉ていほう
「……一刀両断。見事な太刀筋だ」


挿絵(By みてみん) 丁封ていほう
「俺らが手伝うまでもなかったな」


挿絵(By みてみん) 孫峻そんしゅん
「フン。暇ならその死体を丘にでも投げ捨てて片付けろ。
オレはこれから諸葛恪の代わりに、この国を切り回さなければならんからな」


挿絵(By みてみん) 呂拠りょきょ
「……孫峻殿。一つ言っておく。
俺は諸葛恪が国のためにならぬと思ったから手を貸したまで。
貴殿を支持しているわけではない」


挿絵(By みてみん) 丁奉ていほう
「俺ら兄弟も同意見だ。
お前が諸葛恪よりもマシなことを願うぜ」


挿絵(By みてみん) 孫峻そんしゅん
「結構だ。オレが国を滅ぼすと思ったら斬ればいい」


挿絵(By みてみん) 孫亮そんりょう
「ううう…………」


挿絵(By みてみん) 孫魯班そんろはん
「よくがんばったわね孫亮。
さあ、お姉ちゃんとあっちで遊びましょ」


挿絵(By みてみん) 滕胤とういん
「会見とパーティーの準備は整ってる。
シャンパンが冷めないうちに、諸葛恪の誅殺をみんなに発表してくれ。
暴君が死んで、新たな暴君が立ったってね」


~~~~~~~~~


かくして魔王になり切れず諸葛恪は誅殺された。
蜀では魔王の子を名乗る男が仕官し、
夏侯覇を得た姜維は魔王の影を追い再びの北伐に乗り出す。

次回 一一五   再びの北伐
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