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ヴィツェプレミエールの回想
作:我門隆星



§082 C氏(一)


 元の世界の脊椎動物は、頭部と胸部を切り離されると、生きていられない。
 
 しかし、銀河帝国は、三次元的障壁に意味のない国。
 すなわち、銀河帝国においては、頭部と胸部が離れていても(超空間経由で何かと接続さえされていれば)生きることができる。……と、これは、常識であったか。
 
 今まで、「C氏」は、一回も登場しなかった。というのも、C氏は、前述のとおり、ずっと「入院」すなわち帝国生化学局の生成管に入ったままだったからである。詳述すると機密に触れるが、【頭部と胸部が離断した状態】で。
 
 市民がК(カー)クラスに襲われた際、オメガは「生存意思の確認した」ことを、私は記述した。「脳の十二分の十一まで、敵に支配されて」いる市民に対して。すなわち、【その程度の損傷ならば、銀河帝国的に、生存上支障がない】ということでもある。
 
 C氏は、おそらく、女性。「おそらく」と書く理由は、【性器・副性器が転送されなかった】ため、すなわち遺伝子で性別が判断されたためである。
 
 「生存上支障がない」とはいっても、「生存させるためのコスト」は、非常にかかる。というのも、そもそも、C氏は、普通、生きていられないからである。
 
 C氏に失礼にならない程度に、その日、銀河帝国により意思確認が行われた。非常に難しかったと、いう。というのも、C氏の言語中枢は、ほとんど機能していなかったからである。すなわち、銀河帝国は、C氏というパズルに「本人意思確認」という「解釈」を試みたのであった。……ガンマすなわち人工知能の補佐を受けて。
 
 当時の私には解らない話ではある(安宅も帝国政府も、他の遭難者たちには極秘にした)。しかし、一九〇六年二月十二日、C氏の「本人による生存意向」が銀河帝国政府によって、確認された。以後、定期的に、C氏の「本人による生存意向」が確認されたのである。ちなみに、もしもC氏が五年以上自らの命に固執していれば、今の私は存在できなかったかもしれない。












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