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貴方が私に送る愛の言葉
作:三亜野 雪子






誰よりも

貴方を愛しています





放課後は生徒が好きな部活に取り組む時間。私は何も部活には入っていないが、カメラを片手に貴方を見つめる。

今では教室ではなく、グランドのすぐ傍で。


「やっぱり…かっこいい」


付き合い始めてもう三ヶ月。貴方は毎日私を見て笑う。

嬉しくて。

楽しくて。

つい、写真を撮るのを忘れてしまう。


「わぁ!危ない!」


彼を見るのに夢中だった私は飛んできたボールに気付くのが遅くなった。

避けれなくて目をつむる。けど、何も当たった感触はなかった。

目を開ければそこには大きな背中。


「あっぶねー!大丈夫か?」

「あ、うん。ありがとう」

「お前、俺に見とれるのはわかるけど、もうちょい気をつけろよな」


彼はいつになっても俺様。だけど、それにときめいてしまうのは愚かな私。


「うん。でも、また助けてくれるでしょ?」

「当たり前だろ。お前に怪我されたら思いっきり触れないじゃん」


さらりと言うセクハラ発言。思わず私は顔を赤くした。

こうやって照れずに話せてるだけでもすごいのに、そんなこと言われると困る。


「まぁ、怪我してもその場所舐めるけどな」

「えっ?いや、そんな、恥ずかしい!」


私の反応が気に入ったのか、彼は慣れた手つきで私の手を取って口をつける。

どくん、と心臓が鳴る。


「や、そんなことされたら…理性飛んじゃう…」

「お前…それあまり女が言わないだろ」


珍しく彼も顔を赤くして言った。確かに、と後から私も納得。


「そこぉ!いちゃつくな!」

「そーだそーだ!」

「やべ。じゃ、俺戻るわ」

「うん。頑張って」


満たされているこの時間。だけど、最近気付いたことがあった。





あの人に一度も

『好き』だと

言われてないと





「キスはいっぱいしてくれるけど」


自分で言って赤くなる。私は顔を振って冷ました。


「私はキスじゃなくて好きが欲しいのに」


キスも嬉しい。けど、今は貴方の好きを。

贅沢を言っている。

だけど求めずにはいられない。


「わぁああぁあ!!!!」

「へ?」


私が覚えてるのは白と黒の丸い物が私の顔を直撃したことだった。





ずきずきと痛む頭を手で押さえて私は目を開けた。

反対の手が妙に暖かいことに気付いて首を動かした。


「だから、気をつけろって言ったのに」


ずっとついててくれたことが素直に嬉しかった。

だけど、ずっと寝顔を見られていたことに気付いて結局私の顔は赤くなる。


「ちょっと…考えごとしてて」

「なんだ…、俺に見とれてたんじゃないのか」


いつもなら更に顔を赤くして布団にもぐるところだけど、この時の私はその考えごとで頭をいっぱいにしていた。

じっと彼の顔を見ていると彼は不思議そうに顔を傾げた。


「ねぇ、お願いがあるの」

「何だ?」

「…………」


一瞬視線を彷徨わせて、それでも私ははっきりと言った。





貴方の声で

その言葉を

聞きたいから





「『好き』って言って」

「へ…?」


思いもしていなかったのか、彼は間の抜けた声を上げた。

それでも私はもう一度、お願いする。


「貴方の声で貴方の口から聞きたいの」

「お前!いつも恥ずかしがる台詞をどうしてこういう時は言えるんだよ」


珍しく彼が赤くなる姿を見れた気がした。あの俺様的な人がここまで反応することは滅多にない。

正直それだけでも嬉しかったが、でもやっぱりあの言葉が聞きたい。


「だめ…?」

「ぐ…。よぉし、一度しか言わねぇぞ」

「一度しか言ってくれないの!?」


一生に一度しか『好き』と言われない人生。

なんて淋しいのだろう。


「………とにかくよく聞いとけよ」

「あ、うん」


彼は握っている私の手を軽い動作で持ち上げて、キスをした。

何故、こうも王子的行動を平然とやって見せるのだろう。

それだけでくらくらな私に追い討ちはこの言葉。





「好きだ」





やっぱり私は欲張りになっている。

前は写真を撮るだけで良かったのに。

今はこの言葉をどうしても聞きたかった。


「やっぱり恥ずかしい」

「言ってみれば結構普通だな。よし、じゃぁ、もっと言ってやる」

「きゃぁ!それだけはやめて!息が止まっちゃう!」


あいている片方の手で布団を引き上げて顔を隠した。

だけど、やっぱり彼に引きはがされる。


「俺から逃げられると思うなよ」

「ちょっ、待っ─────!!」


力はやっぱり彼の方が上で、抵抗しようとした手は簡単に押さえられてしまった。

唇に感じる柔らかい感触。今日のはいつもよりも少し激しくて、唇が離れた時に息を吐いた。





「愛してる」

「もう、違うことで窒息死しちゃうよ」





保健室のベットで、愛をささやき合う。

これだけでも何だかエロいのに、激しいキスなんて、私には耐えられない。

そんなことお構いなしの彼は笑って続けた。まだ痛みが残る頭にキス、倒れた時に擦りむいた頬を舐める。

どうしよう、頭がおかしくなりそうだ。





「誰よりも…君が好きだ」

「………私も大好きです」





欲望は満たされて

だけど

また増えていく





私の欲は

未だに底を知らない






台詞が多いとかなり書きやすくていいです。赤いとかやっぱりとかそういう言葉が多いですが、気にせずに。いろんな人に好まれる作品であることを祈っています。
感想及び評価待ってます!













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