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Robo戦争―世界が再び夢を見る日まで― 作者:藤堂ゆきお

第四章 狂おしく未来《きみ》が愛しく

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第9話「崩壊するあなた1」

爆破、破壊。国の周辺を囲うようにして浮かんでいるセキュリティーシステムは容易くロッドの手によって爆破が行われたのだが、この事態に、緊急用ロボが出動しないということに、ロッドは不審を覚えた。本来ならいち早く己に向かって来るはずの、ネオ達も狙ってこない。それで、こう推測した。

国の中枢機関が今、何者かによって攻撃を受けている。

建物の頂上で、辺りを見渡した。視界を探知化し、クローズアップすると、赤い点滅のする箇所が二点あった。中央地区の司令塔、総帥部屋からだった。
視点をその一点に定め、部屋の中を覗くと、ネオがテドウの額へ銃を向けていた。
だが、ロッドにはそれがテドウの変わり身だということをすぐ様察した。肉体的物質感が、人間とは違う反応を示しているのを、ロッドの中で認識していた。本当のテドウの居場所を、ロッドは探ると、新たな点滅が表示された。
総帥部屋の下の階、眠っていると疑わない妻の身体と、その横で両手を組み合わせて祈りを捧げるテドウの姿がある。
(ようやく、……殺せる)

ロッドは、飛び交う飛行車の上へと移った。しかもそれは飛行車のスピードよりも速く、身軽に。
「今、何かいなかったか?」
運転者は一瞬何かの物体を捉えるも、シーンのカットの如く、次の瞬間にはいつも通りの風景が広がっていた。
「虫だろ、多分」
「虫?こんなところに虫なんているわけねーだろ。ましてや国の上流部に」

ロッドはガラスを破り、司令塔の中へと入った。
バリーン、ガシャン。
ガラスを破った音と同時に上から爆破音が重なる。

(ネオ――)

後ろを振り返ると、晴天を背景に下界へ堕ちていくネオとルウの姿があった。その際、確かにネオとロッドの目が合った。ネオは目を丸めて驚いていたが、そのまま下へ堕ちていった。ロッドに助ける義理はない。
何故なら直ぐ目のそこに、標的があるのだ。

「ロッド……!」
かつて父親だったその人は、まるで他人のようだった。いやむしろ、自分以外は全て、ただの物質に過ぎなかった。隣には、飾り物のように大切そうに横たわり、薄赤色のスターチスに囲まれている母の姿があった。ロッドにとって、記憶の中でしか見た事のない母だった。
「母さん」
と、小さく呟いた。ほぼ反射的にだった。
テドウは、ロッドの姿を見て、一瞬動揺を見せたものの、直ぐにいつもの冷静さで、両手を広げて息子を迎えた。
「久々だな。私を殺しに来たか。ロッド」
テドウは、ゆっくりと息子へ近づいていった。ロッドは、機械的な目の動作で、唇から指に至るまでその挙動を一つ一つ捕らえている。

「完全なロボットになったのか、我が息子よ。そうか、そうするだろうと思った。私の元へ帰るつもりは無いのだな。いいだろう、今や私に失うものはない。生き返るのだ。私の妻が!」
テドウの気は昂っていた。だが、瞬時にロッドはテドウと距離を詰め、喉元を左手で掴んだ。
「俺がまだ人間だと思い込んでいた頃、アンタに聞くように一つだけワードを頭に登録した。その答えで、俺の手の圧力が決まる」
父から受け継いだ赤い瞳で、レンズで覆われた父の奥の瞳を見据えた。鉄の固さが、テドウの首元を伝う。
テドウは、苦しさに眉を少し歪めた。ぐっ、と捻り潰されたような声を漏らし、抵抗するようにロッドの手を両手で引き離そうとする。だが、人間の力ではびくともしない。
そして沈黙の後に、ロッドは問いかけた。

「俺はアンタの、何なんだ?」
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