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《長編》Robo戦争―世界が再び夢を見る日まで― 作者:藤堂ゆきお

第一章 自由を求む暴発

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第1話「少年が踏み鳴らすは希望の音色」

一部登場人物、日記のリンクにて紹介。

ネオ…反ロボット連盟。Aチームのリーダー
ロッド…ジャポニをおさめる総帥である父の息子
トルネ…国権放棄の市民で自由主義
リック…反ロボット連盟、Aチームのメンバー
ルウ…反ロボット連盟、Aチームのメンバー
テドウ…20xx年現在でのジャポニという国における総帥であり司令官



二章
第6話~第27話まで、テドウの過去編
「ねえ、ロボットって夢を見ると思う?」

いかにもホームレスなどが住み着いているように見受けられるこの場所は――いや、事実住処となっているのだが――発展都市の中央部の地下通路を抜けた路地裏。そこは少年達の溜まり場となっている。ひびの入った壁はもう何十年もメンテナンスされていないだろう。そこには赤茶の液体でこう書かれている。「ロボットなんてクソ喰らえ」。その横には卑猥なポスターや、古めかしい新聞などが貼り付けられていた。
その壁に背をもたれながら、ラベルに“コックローチ”というロゴと不快なイラストが描かれた缶詰を投げては掴んで、退屈そうにリックは質問した。無論、この少年はこの路地裏に住まうホームレスでは無い事を先に言っておかなければならない。
21xx年、ここジャポニという国は、他国を凌駕する勢いで近代的文化の発展を遂げる事を成功したといっても過言ではない。大昔の人達が見て憧れた夢の未来が見事に実現された。大昔と言っても、まだ指先で機械を操作する時代の話である。ただし、近代文化の発展と共に人々は失った代償がゼロであるはずが無かった。それも問題は一つに限らず複数にも及んだ。だが、国や政府は最早、対策を練ろうとはしない。そもそも生身の人間は国から見放されている状況であった。事実、ロボット達の人工知能よりも劣る人間など、もうこの国の都市の発展と日常にはもう必要なかった。結果的に金銭的にも労力的にも劣る人間は排他される結果とならざるを得なかったのである。

「俺たちが見ねェもんを、ロボットが見るかどうかなんて知ったことかよ」
リックの放った言葉に反応示した、反ロボット連盟のチームのリーダーであるネオは、元々無愛想な造りの顔を更に険しい表情へと変え、軽くあしらう。そうして、まるで学校に上がりたての子供のように背の低いリックを見下し、いかにもガキ大将といった様で偉そうに鼻を鳴らす。次男坊気質であるリックは、言い返さずに、一つ頷いただけだった。
「それにアイツらが夢なんて見てたとしても、俺はアイツらを許さねェ。アイツら、ロボットがいるせいで俺たち人間の居場所は無くなるなんだ」
分かりやすく憎悪の表情を浮かべながら荒っぽく傍に落ちている空き缶を勢いよく蹴った。空き缶は地面に跳ね上がり、やがて暗闇の奥へと消えてしまった。

もしもこの場にネオを知らぬ人間がいるとすれば、こんな気性の激しい男がリーダーになれたことに疑問と驚きを覚えるはずだ。ネオは外見からも、責任ある男のようには思えないからだ。上着の前を全て開け薄い肌に程度良く着いた筋肉のある上半身を晒し、コードの紐に小さな瓶がぶら下がったネックレスを首に付けている。更には左の首筋に反ロボット連盟の証として“Rの上に×を重ねたマーク”の黒のタトゥーが刻まれていた。物心がついた頃からこのマークはネオの特徴になっており、真面目な大人からはよく批判されたり指をさされることもあった。しかしそれは風貌だけであり、一見考え無しで動くようなタイプに見えるが、実は責任感が強く、誰もが思ってても言わないような事を公然でも平気で口にするような正義感の塊でもあった。それもあってか、ネオの気性や言動を咎める者も多かったが、一定の人間の間では慕う者もいた。

「お前達。下らん言い争いなどするな。休息を堪能し過ぎた。そろそろ任務を再開し、反乱を起こしているロボットを一掃するぞ」
口を開いた男は、今度は二百センチもあるかと思える程の高さで、下の位置にいる二人を見下ろし、注意をした。今にも人を殺めそうな鋭い双眼に、右瞼を一筋の傷跡が走っているその眼を一層険しくし威嚇を放った。見た目と相反して穏やかな声ではある。チームの中では比較的まとめ役を担ぐルウにとって放ってはおけない状況だった。

「任務って言ってもなぁ。メンバーが一人いないってのにどうやって動くんだ!」
己の体よりも体格の良い相手に対しても臆することはなくネオは、黒い着物風のコートの襟を掴んで食ってかかった。怒りが湧き出て額に青筋が浮かんだ。その声は路地裏に反響した。ルウは冷えた灰色の眼をただ真っ直ぐ見下ろし、単調に返す。
「お前の怒りは最もではある。だが、今はロッドの事は忘れて、目前の任務遂行を果たす事を優先だ。それに、あいつのいない任務にももう慣れろ」
「忘れられるかよ。昔はサボるような奴じゃなかったんだよ。誰よりも真面目で――」
何かを思い出すかのように俯き、か細く言葉を紡いだ。その声はルウの耳にだけ届いた。落ち着いたネオはゆっくり服から手を離す。
壁際で静かに目の前の二人の様子を眺めていたリックはネオの気持ちが分かり、いたたまれずに同情の眼差しを向けずにはいられなかった。ルウは、僅かに厳しい口調になりネオに向かって言う。
「お前の気持ちは分かる。だが、俺たちまでこの任務をやらなかったらどうなるか分かるな。俺たちが、抑制きかなくなった機械共の始末をしなければ皆どうなる。普段のお前らしくないな、ネオ。今ここにいない者の事より、今この場で見える現状に目を向けろ。感情をぶつけたいのならそれからだ」
その言葉に目をネオは心臓に平手打ちを受けた気がした。そして悔やんだ顔をして額を片手で抑え、頭を冷やした。
「……悪い。俺もどうかしてたみたいだ。今はロッドの事は忘れて任務を再開しよう」
「そうだよ、ネオ。今はルウの言う事を聞いておこう。それに、後でトルネが話があるって言ってたし」
リックは、白けた場の雰囲気を変えようと、勢いよくネオの肩を抱いて、企む笑みを浮かべたまま耳元でひそひそと話す。ルウだけは呆れた表情を浮かべたが、ネオの表情は途端に明るいものと変わった。
「お、おう。ト、トルネが?もしかして、告白か?まさかな!おい、お前ら。さっさとあんな奴ら片付けちまおうぜ」
ネオは満更でもなく意気揚々と準備運動の屈伸をし終えると、二人を置いて路地裏に向かって走って行った。調子を取り戻したのは良いことだったが、企みの内容を理解したルウは、鋭く残った相手を睨みつける。
「そう怖い顔しないでくれよ。こうしないと機嫌治らないだろうしさ。さあ、僕達もリーダーに続いて行こう」
「全く、世話が焼けるな」
裾の長いコートを翻したルウの長く一つに結わいた髪は同じように空気に揺れ、身長よりも長い光源刀を背から抜き取り路地裏の先の、未だ荒ぶる都市へ目を向けた。
リックは頭部よりも、大きなサイズの鉄のヘルメットの目前部分を指で持ち上げ、三白眼をルウと同じ方向へ向ける。戦闘モードに突入し、二人共リーダーの後を追おうと勢いよく地面を蹴り上げた。

「こちら、ネオ。前方にロボット五体発見。こっちから攻撃を仕掛ける」

路地裏を抜けると、夢の都市ジャポニが広がる。見る限り途方もない建物が続く近代都市。そこに響くのは、機械音と悲鳴、爆発音、少年達が踏み鳴らす未来への希望の足音である。
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