挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
オーガニクス 作者:
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

21/22

過去編 第三話:「これが最後なら・・・」

オーガニクスを発見したアレクは乗り込み祖国に帰ると
そこにはオーガニクス、シオンがいた。
対峙する二体、戦いの火蓋が落とされるがアレクでは歯がたたず、
シオンが優勢のまま決着がつきそうだったそのとき、
シオンは立ち去ってしまうのだった。
時間は少し前にさかのぼる。
シオンが王と初めて会い、
広間に移動しアーベンド王のカイルとの謁見をしたあとに、
王は「おい、あいつを連れて来い」そういって玉座から指を軽く動かした。
「王、それはあまりにも・・・」
ゲインがそういうとカイルは視線をゲインに落とした。
「・・・身寄りのもなく、何もないものに仕事を与えようとしているのだ。何か問題が」
「いえ・・・しかし・・・」
カイルがそういうとゲインを伏せた。
すると一人の中年の男が一人の少女の手を引っ張り、
投げ捨てるようにその少女をシオンの前に突き出した。
少女はバランスを崩し床に座り込んで、悲しそうに王をみた。
「・・・」
ゲインは下を向いていた。
中年の男は王に向かって一礼し、馬鹿にするようにその少女をみて、
笑うような表情で立ち去っていった。
カイルがその少女に話しかける。
「わかっているな。そなたはそこにいるシオンに仕えるのだ。心身ともにな。
・・・少なくともそなたがおらねば、シオンが困るくらいはやってほしいものだ」
そういうとカイルはにやりと笑った。
すると少女はゆっくりと立ち上がり、スカートのすそを持って、微笑んで頭を下げた。
「・・・よろしくお願いします。私はクレアと申します。身の回りのお世話をさせていただきます」
シオンからみて、年端も行かない少女で、薄汚れている。
戦火の中だから当然なのか。
しかし、無理をしていると思われる笑顔がいやに引っかかる。
「・・・シオンだ」
だがこの国に長居をする、依存する気はない。
できればこのこと自体を遠慮したいが、そんな空気でもないようだ。
(まぁ適当にすごしてもらう。情報収集に使えればいいか)
そんなことを考えていた。





シオンはアレクとの戦いで発作が起きて、
優勢であったのに撤退を余儀なくされた。
シオンはオーガニクスを降りて、倒れたのだった。
そして彼は意識を失い夢を見る。それは遠い遠い過去の話・・・





冷え切った空気の冷たい壁に囲まれた場所で
男はコンピューターをたたいていた。
「・・・道連れが俺だと不服だろうが我慢してくれ」
彼の後ろには番号が書かれた円柱状の物がいくつかあった。
「宇宙に流せばゴミにみえるだろ。誰も見つけられまい」
そうして男が操作をすると機械音声が聞こえた。
「実行コード確認。ポッドを打ち上げます」
男は軽くうなずき「12」と書かれたポッドに入った。
「もし・・・オーガニクスが目覚める事があれば俺が・・・」
中には巨人がいて、近くに青白く光る箱があった。
「エラーが起きない限り目覚める事はないと思うが・・・」
そう呟き男は服を脱ぎ青白く光る箱の中へ入った。
「・・・もし目覚めた時は戦う事になる。皮肉だな」
蓋が圧力音をだし閉まる。
「11打ち上げ終了。12打ち上げます」





「私はみた!忘れもしないあの日!巨人が空を駆けるのを!」
老人は雄々しく声をあげ、老人に銃口を向けた男に言う。
「ミサイルも化学兵器もすべて押しのけて巨人は立ち回った。
衝撃的だ!我々が研究しつくった武器はまったくの無力だった」
老人は銃口に背を向けコンソールを操作する。
「みてみろ!これがその巨人だ!」
ディスプレイの画面に、オーガニクスが、放たれた兵器を簡単にあしらう動画が表示された。
「これだけの力があればミリタリーバランスを崩す事もできる。
この圧倒的な力・・・・素晴らしい」
「・・・」
「しかし・・・あの動きは機械には無理だ。では・・・どうするか」
「・・・」
銃を向けた男は答えなかった。しかし老人は気にせず続けた。
「有機生物!あれは生物の動きなんだよ!」
「・・・」
「巨人は人型なんだ簡単さ。私は何度も何度も何年も実検を繰り返した。
形は再現できた・・・しかし、どれもすぐ腐ってしまう。死体と変わりない。」
「・・・」
「私は結果を出した。・・・では既に生きているものを使えばいい」
「・・・」
「どうせなら戦闘に長けたものを使いたい」
「・・・この基地へお前を救助にきた傭兵・・・」
「そ~だ!事故のフリして救難信号を出して集めたのだ。
月にあるこの極秘軍事基地にくるのは名の知れた傭兵にきまっとる」
「できたのがこの・・・巨人」
「そうだ。手間取ったが、あの憧れた巨人を再現できたんだ。
名前も有機物からオーガニクスと名づけた」
「さきほどから動きそうもないが」
「それはそうだ。兵器に意志はいらん。兵器は人が乗らんと動かんよ」
「何を企んでいる・・・」
男は老人に質問をした。
「?私は研究者だ。この巨人を研究しこいつら以上の兵器を作るのだ」
「・・・」
銃声が鳴り響いた。老人が額を後から撃ち抜かれ倒れる。
「お前の役目は終わりだ。くだらない」
男はそう吐き捨てた。


「うぅ・・・・」
シオンはうめきながら目を覚ました。
彼が与えられた部屋、
アレクとの戦いの後は記憶にないが、
ここにいるということはどうやら眠っていた様だ。
記憶にあるのは日が落ちた後で、今は大分明るい。
一体何時間寝てしまったのか。
シオンは上半身を起こそうとしたが、布団の重さに違和感を感じた。
抑えられている感覚にゆっくり上半身を起こす。
そこには女の子が横のイスに座りながら、自分の腕で枕作り寝ていた。
シオンはその女の子の頭を優しくなでた。
「心配を・・・かけてしまったようだな」

女の子の名前はクレアと言った。
彼女は王に騎士として認められたシオンに付いた従者である。
戦争で両親を失い城内の雑用として働いていたようだ。
あの日シオンの専任として、身の回りを世話する様に言われていた。
素性がハッキリしないシオンに情を移させ、
人質として活用する為、彼女を付けたのである。
彼女は朝から晩まで埃だらけになってよく働いた。
毎日よく動く彼女を見て、最初は無関心だったシオンも献身的な態度に、
そしてクレアは城の男たちとは違う、シオンにお互いに心を開いていった。
結果的に王の思惑通りとなってしまった。
「んー」
クレアは軽い声をあげ、起きたシオンをみて一瞬動きを止めると飛び起きた。
「シオン様!目が醒めたんですね。よかったです・・・・」
相変わらず顔がうっすら汚れている。
「心配かけたようだな。すまない」
シオンが言うと、クレアは目に大粒の涙をポロポロ流した。
クレアの涙をみてシオンは「えぇ」と、今まであげたことない声を出した。
「ほんとですよぅ・・・このまま起きなかったらって・・・
お迎えに行ったら、倒れてるから・・・お部屋までつれてくるも大変だったんですよぅ」
クレアはポロポロ涙を流し声を押し殺して泣いた。
「いやいやいや・・あ、そ、いや・・・」
自分の事でこの少女は泣いている。初めての経験にシオンは戸惑っていた。
「もっと身体を大事にしてください~」
泣きながらクレアはつげ、シオンは一息ついてつげた
「泣かないで。俺は死なないよ約束する。」
「ほんとうですか?」
「タマに倒れる事があるかもしれないけど、病気じゃないんだ」
「え?」
「今回のは覚醒発作といって疲れちゃうと出るんだ。でも大丈夫、死んだりはしないよ」
「それはそれで心配じゃないですか~」
またポロポロ泣き出した
「大丈夫だから。だから今回のも次に倒れても心配しないで」
「なんでそんな・・・」
「いいかい?覚醒発作のことも秘密だけど、今から言う事も秘密だよ」
クレアは首を立てに勢いよく振った。
「耳を貸して・・・」
シオンはクレアに耳打ちをし、クレアはビックリしたような顔をした。
「君は信じてくれるかい?」
シオンはそう聞いた。
「信じます。たとえ嘘でも。」
「ありがとう。この事は俺と君だけの秘密だよ」
「はい・・・えっと・・・ロ・・・どっちで呼べば良いですか?」
「シオンだろ」
「シオン様の発作は、本当に大丈夫なんですね。」
真面目な顔でクレアはシオンに聞く
「言ったろ。原因も治癒方法もわかってるんだ。心配ない」
クレアは胸をなでおろし、もう一つ質問をした。
「それで・・・もし・・・目的を果したらシオン様はどうするんですか?」
「・・・ここにはいられないかもしれない」
クレアは泣きそうな顔をした。
「その時はついてきてくれる?」
クレアは一気に明るい表情を見せた。
「もちろん!あの・・・その・・ずっと!」
クレアは顔を真っ赤にしてこたえた。
沈黙が少し続いた後、クレアが急に思い出してシオンに言った。
「そうですよ!シオン様が目覚めたら王様の所に行くように指示されていました」
シオンは立ちあがる。
「そうか・・・ではいかないとな・・・」
「大丈夫なんですか?明日とかでも・・・」
「いや俺も王に用事がある。ちょうど良い」
「じゃぁ服を取ってきますね」
そう言うとパタパタ音を立てながら、クレアはクローゼットに進む。
クレアはいつも急ぎ足だ。
「さて・・・他のオーガニクスが動きだす前にどうにかしようと思ったが
 ちょっと状況が変わってきな・・・次の手を・・・」
クレアは服をもってパタパタ戻ってきたが、つまずいて転び服が宙を待った。
「クレア!」
シオンが急いでクレア近きクレアを抱き上げた。
「大丈夫か?怪我はないか?」
「はい・・・ごめんなさい」
クレアはいつものクセで謝った。
「?謝る必要はないだろう。故意にやったわけでもない。でも怪我はしないように」
「・・・はい」
クレアはシオンの服の胸元を握った。
今まで軽く扱われてきたが、
シオンの従者になってから殴られて怪我をすることも無く、
今まで経験したことない暖かさを感じる。
親を失い孤独な彼女にはシオンだけがやっと見つけた安住の場所だった。

王の広間にシオンはやってきて王であるカイル前で膝をついた。
「ご苦労だった。貴公の働きでリラーンの戦力を大分そぐ事が出来た。この功績はでかい」
「・・・は。」
別に興味ないという感じでシオンは答える。
「この功績は称えたい所だが、貴公の攻撃で我々の戦士も失った。それはとても残念なことだ」
確かにシオンは理力で一帯を吹き飛ばした。それは敵味方両軍にダメージを与えていた。
「よって今回は相殺とする。文句はないな」
「は。」
「おい!なんだその気のない返事は!王は温情を下さったんだぞ!」
ゲインは声をあげて怒ったがシオンにとってそんな事はどうでも良かった。
そんなことより・・・
「王様。よろしいでしょうか?」
「なんだ?」
「リラーンには俺が駆る巨人。オーガニクスを持っていました。
俺があの国を落とせなかったのはそれが原因です。」
広間がざわめく。
「・・・どう言う事だ?」
カイルは静かに威圧的に言った。
「言葉のままです。勝つためにはこちら側の戦力を強化するしかありません」
王は玉座から真っ直ぐ鋭い眼差しでシオンを見つめる。
「嘘ではないだろうな?策はあるのか?」
王の静かな声にざわついた広間が静かになった。
シオンは改めてこのカイルという王の恐ろしさを感じた。
カイルという王は、シオンを信頼しているわけではない。ただ兵器として置いているだけだ。
使われているものが意見を言うならそれなりの責任が付く。それを重く感じる。
「俺と一緒にあと三体オーガニクスが武器庫においてある。それを使う」
シオンは続ける。
「駆者3人はそちらで決めて良い。教育は俺がやる」
王はシオンを見据えながら言う。
「・・・単純に戦力を増やすという事か。だがそう簡単にいくのか?」
シオンは王を真っ直ぐに見て言う
「信用できないならこの話はなしだ。
俺がアッチの巨人と相打ちしてすべて元通りになる」
王としては、信頼のおける者を駆者にすることで
信頼できるオーガニクスが三体手に入る。
そして上手くいけばリラーンも。
シオンが妖しいならそのあと消せば良い。クレアという保険もかけてある。
「・・・わかった。三人将軍を貸そう。何日だ?」
シオンは答える。
「三日。それで十分だ。後もう一つ」
「なんだ?」
「竜をすべてリラーン戦には投入したい。それだけの価値がある。
次回の戦いでこの戦争は終わりだ。こちらの勝利という形で」
王はだまる。せっかく調教した竜をすべて戦場に出すのは痛い。
だがオーガニクスという兵器も手に入るならばしょうがないと言う所か。
「わかった。早速始めてもらう。
ゲイン、セイル、ボーグ、シオンに付きオーガニクスを物にしろ」
王が声あげ三人の名前を呼んだ。
すると名前を呼ばれた三人は、一歩前に出て声をあげる。
「了解しました!」
その光景をみてシオンは聞こえないくらいの声でつぶやく。
「アレク・・・お前は危険だ」

謁見の翌日、シオンは武器庫の前に立ち人をまってた。
王が得体の知れない巨人にのせる腕利きの将軍を三人渡すというのだ。
「・・・俺と同じ・・・モルモットだ。」
静かにそう呟いたその時、将軍達は現れた。
煌びやかな服を着たゲイン。
真っ黒なヒゲを口元に蓄えたボーグ。
二人と比べはるかに若いセイル。
功績を上げてきた彼らは巨人の生贄となる。
「その巨人・・・本当に大丈夫なんだろうな」
そう聞いてきたのはボーグだった。
「大丈夫でなかったらどうする?やめるか?」シオンは冷たく言う。
いくら将軍でもこの国では王の命令にそむく事は、
死に直結する事を知っていた上で聞き返した。
「もういい。始めてくれ。気がおかしくなりそうだ」
ゲインは間に入って言った。
今からこの得体の知れない巨人と一緒になるのだ。
未知の物に恐怖を感じて当然だった。シオンは軽く笑い、
「この巨人オーガニクスに乗った所で死にはしない。だが・・・」
と言い、三人の将軍からは唾を飲みこむ音が聞こえる。
「乗ってる間は精神が好戦的になる。ソレを抑えるのが鍵だ。
操作は乗れば勝手に頭の中に入ってくる。
腕も足も飛ぶ事も自分の身体を動かすのと同じように。
マントを武器化させるのも、昔から出来ていたようにできるはずだ。」
と三人に説明した。
「・・・それだけか?」
セイルがシオンに聞き返す。
「それだけだ。自分の身体を動かす方法を教わった記憶はないだろう?」
三人は三体の武器庫に寝かされているオーガニクスを見た。
「もう良いだろ。どれも性能的には大差はない。好きなオーガニクスに乗ってくれ」
シオンはそう言い放つと自分のオーガニクスへ乗りこんだ。
「のれと言われてもどうやって・・・」
ボーグはそう言いオーガニクスのもとへと近づいた。
すると目の前のオーガニクスの胸元が開いた。
その肉質的なコクピットは明らかに気持ちが悪い。だが彼らには王の命がある。
躊躇したその時、オーガニクスの腕がボーグを掴み運んでいく
「くそ!」
ボーグが巨人に乗りこんだ途端にオーガニクス胸元がしまった。
それを見たセイルとゲインの二人も躊躇したが
やめる訳にもいかずオーガニクスにのりこんだ。
「乗ったか・・・」オーガニクスシオンは軽く呟き立ちあがり様子を見ていた。
次々と立ちあがる三体の巨人。
オーガニクスゲイン、オーガニクスセイル、オーガニクスボーグ
「・・・」
三人が立ちあがってもまだシオンは静かに様子を見ていた。
「おい。この後は・・・・」オーガニクスゲインから言葉が出た時事態は起きた。

「おおおおおおおおおおおおお!」中心にいたオーガニクスから咆哮が上がり
オーガニクスゲインの首をおもむろに掴む。
オーガニクスボーグの灰色の身体が一気に黒ずむ。
「止めろ!どうしたんだ!」あぶれたオーガニクスからはセイルの声がする。
「食われたか・・・いまからボーグを止める。
ゲイン、セイル、死にたくなかったら武器を出して応戦しろ。わかるな」
シオンは冷たく言い放った。
「グ・・・武器だな。」
ゲインはマントを両手で握り前へ持ってきた。アレクと同じように無意識に。
マントは大きな槌へ形を変えオーガニクスボーグに放たれた。
鈍い音がしオーガニクスボーグは飛ばされた。
「おい!シオンこれはどう言う事だ。」
続いてセイルもマントを槍に変え臨戦体制を取る。
「何のリスクもなしで力が手に入るわけがないだろう。
弱い奴は精神を食われるのさ。
オーガニクスが灰色から黒く変わっただろ。それが証拠だ」
シオンは淡々と伝える。
「お前!我々をそんな物にのせたのか!」
ゲインは激しく声を荒げシオンに吠える。
「乗せたのは俺じゃない。よく考える事だ。そんなことより・・・」
シオンは距離をとってずっと彼を狙っているボーグを顎で差し、
「あいつを止めるぞ」と言った。
「どうやって?方法があるのか」
セイルはシオンに聞く。
「殺す」
一言答えた。
「なにぃ!?」
ゲインとセイルの二人は同時にそう言ったが、シオンを止められるはずもなかった。
「ついでだオーガニクスの力の使い方を教えてやる。」
オーガニクスシオンはマントを剣に変え構える。
すると剣に光が走る、理力を集めていた。
もう人としての意識の無いボーグは、
本能的に危機を感じたのか、すぐさまシオンに襲いかかった。
シオンは左手を前に出し「いけ」と軽く呟く。
すると手から光の線がボーグに貫き焦がしていった
ボーグはうめき声をあげる。シオンは剣を振りかぶる。
残されたのは一体のオーガニクスの破片。
その有機的な黒い液体をまとった二つに分かれた物は、
破片になっても痙攣をつづける。
ちかくには三体のオーガニクスが立っていた
「これがオーガニクスの力・・・」
二人の将軍はこの光景を目の当たりにして呆けていた。
余りの圧倒的なシオンの力に声も出ない。
シオンはこの戦いで自分に力が戻りつつある事を理解した。
今の彼に新米のオーガニクスが何体こようともかなわないだろう。
十分過ぎるほどの強さであった。
「戦力2体追加・・・予想以上だ。これなら確実に・・・」
シオンはそう呟いた。




リラーンの大広間に王を中心に将軍が集まっていた。
そして王のイスの前には少年と少女がいる。
アレクとセリアだ。
リラーンの王であるテリアスは王座からアレクをみていた。
先ほどの戦いと巨人の説明をしている目の前の頼りない少年があの巨人を操っていた。
なにかの悪い冗談かそれともゆめをみているのか?
助かった事には感謝したいが、このまま何事もなく過ぎていくとも考えられない。
それまでに巨人を兵器として扱いたい。
「まずは礼を言おう。君のおかげでひとまず危機は脱した。感謝する」
テリアスがアレクにそう告げると、アレクは震え出したがそのまま言葉を続ける。
「救ってもらった事には大変感謝しているが、こちらから頼みがある
ゼオから素性を聞いたのだが、もともとこの国の者だそうだな?
ならば国の防衛に力を貸してくれないだろうか?」
広間は沈黙を作り静まった。
「おい、アレク・・・・」
将軍であるゼオはアレクに発言を促すが、アレクではなくセリアが答えた
「王様!失礼ながら言わせていただきますが、
アレクは先ほど巨人から降りてからずっと震えたままです。
怖いんです。今後戦えるとは思えません、別の人をどうか・・・・」
「そなたに聞いているわけではない。アレク君どうだ?」
テリアスはクレアの言葉をさえぎり、もう一度アレクに聞いた
「まだ・・・僕に戦えというんですか・・・
僕は巨人であるとき身体を切られ、咽喉を裂かれようとした。
まだ感触があるんです。もう・・あんな思いは・・・」
テリアスは足を組んで言う。
「たたかわなければそこの娘の命がないぞ、と言ってもダメかな?」
「え?」
アレクだけではなく、他の将軍からざわめきの声が聞こえる。
「悪いがあの巨人という敵が出てきた以上、君には戦ってもらう。
嫌だろうが何だろうがだ。戦わないのであればその娘は処刑する。」
「いくらなんでもそれは・・・」
「だまれ!もう巨人の力をあてにせねば対抗できんのだ!」
ゼオの制止を声で抑えつけテリアスは続ける。
「君が戦っているうちは生活の補助をさせてもらう。それが条件だ」
「横暴過ぎます!」
セリアが立ち上がったが、アレクがセリアを制した。
「わかりました・・・これは命令なんですね。僕に・・・死ぬまで戦えと」
アレクは王を見据えていった。
「そうだ。わかったら解散だ」
王はアレクの前をとおりすぎ、自室へ戻った。
ざわつく広間の中で、場違いの二人は自分たちの未来に影を感じていた。

アレクとセリアの二人は与えれた部屋に帰っていた。
「アレク・・・ごめんね・・私が・・・」
セリアはアレクにそう言った。
アレクはベットの上で膝を抱えて言った。
「・・・いいんだよセリア。もとは僕が巨人に乗った事が原因なんだ」
「でも・・・」
「もう・・・しょうがないんだよ。戦うのは怖いけど・・
それ以上にセリアを失うのはもっと・・嫌なんだ。」
セリアはイスからベットのアレクの横に近づき座った。
「アレク・・わたし・・・」
セリアの目から涙が落ちる。アレクの足枷になっている事が何よりも辛かった。
今まで一緒に暮らしてきて彼が、どれほど戦いに向いていないか、
争いが嫌いかをよく理解していた。何よりも頼りないけど優しい彼が好きだった。
その彼が自分のせいで戦いを選ぶ。彼らしくない選択をさせてしまった事がとても悲しかった。
そして彼がいなくなるかもしれない事を考えるだけで苦しかった。
「泣かないで。これは僕が決めた事。セリアは気にしないで良いんだよ」
アレクはセリアがなんで泣いてしまっているか解っていた。
今までセリアには色々面倒見てもらったし、何より一緒にいて心地よかった。
彼女と平穏な日常を送りたかった。
あの不快な巨人に乗るだけで、それが少しでも長く続くならそれで良いと思った。
でも結果的に一番大切な人が目の前で涙を流している。悲しい。
「私さえいなければ・・・」
セリアがそう言った時、アレクは優しくセリアの方を抱いた
「そんな事はいわないで。いつもみたいに笑顔を見せて。」
セリアはアレクを見て微笑もうとしたが、セリアの目からは涙が止まらない
「・・・きょうは・・・むりだよぅ・・・」
セリアは本格的にアレクの胸元で泣き始めてしまった。
アレクはセリアの背中に軽く手を当てて考えていた。
生き残る自信はない、けどせめて最後まで彼女だけは守りたいと。


明かりも付けないまま、
窓から深夜の空を見ながらアレクはずっと考えていた。
翼竜を倒した時も、あのオーガニクスと戦っている時も嫌ではなかった。
むしろ高揚していた。自分が殺されかかった時でさえ。
だがオーガニクスを降りた瞬間、
自分のした事を振りかえり押しつぶされそうになる。
武器を握って命のやり取りをした事に吐き気さえ覚える。
自分がなりたくなかった人間に確実に近くなる。
そして彼の中の違和感は命と引き換えに、これから続いていく事を約束された。
セリアはアレクに後からやさしく抱きつき言う
「・・・逃げよう・・・アレク」
「セリア・・・ダメだよ僕らを受け入れてくれる所なんてない」
「でも!」セリアがアレクにつかまる腕が震えた
「それにあの巨人がいる限りどこも安全じゃないんだ。
しょうがない、まだ生活が約束されているだけマシだよ」
「・・・」アレクの後からすすり泣く声が聞こえる。
アレクはセリアの手を優しく包み言う
「しょうがないんだ。」



シオンは目を覚まし身体を起こした。外はまだ暗い。
「・・・」
シオンは外を見た。その視線の先には美しく光る星があった。
「・・・遠い・・・」
シオンが呟いた途端、シオンの布団の中から声が聞こえる。
「どうしたんですか・・・」
布団が動き、クレアの顔だけでてきた。
「・・・君は何してるんだ?」
「あの、すみません。」
クレアはすまなそうに言う。
「先ほど従者長に呼ばれまして。王様の指示でシオン様と眠れと・・」
「・・・」
シオンはまったく理解が出来ず、クレアをみて止まる。
「あの・・あの。よくわからないですけど一緒に寝ろ言われたもので、
シオン様が眠ったのを見計らって潜り込んだんですけど・・」
「・・・そうか」
シオンはよく理解できなかったが、慌てるクレアもかわいそうに思えた。
「あの・・その・・怒ってますか?怒ってますよね」
シオンは、慌てるクレアの頭を優しく撫でて言った。
「別にお怒っていないよ。まだ夜だ。まずは眠ろう」
シオンは眠かったし、クレアを責める気はまったくないので、まずは眠る事を提案した。
「・・・あの・・・このままシオン様の隣でもいいですか?」
クレアは暗闇で見えないが顔を真っ赤にして提案してみた。
「ダメ・・ですよね・・すみません・・」
クレアは布団から出ようとしたとき、
「別に・・・好きにして。まずは寝よう」
シオンはそう言い布団へ戻った。
「じゃぁ・・好きにします」
クレアもシオンの布団に潜っていった。
「・・・」
しばらくしてクレアのすすり泣く声が聞こえる。
「どうしたの?」
「・・・な・・なんでも・・・ないんです」
なきながらゆっくり、取り繕うにしゃべるクレアに違和感を覚え、
シオンはゆっくり起き上がってクレアも起こしてまっすぐに眼を見た。
「クレア、君は始めてあった理解できる人だ。俺はもっと君を理解したい。
君は何もなかった俺に、初めて希望をくれた。俺が君に助けられたように、
俺は君を助けたい。わかってくれる?」
シオンがそう言うとクレアは大粒の涙を流し手でぬぐい始めた。
「わたし・・・わたし・・・」
クレアの声は大変か細かった。
シオンは泣きじゃくるその姿を見て悲しくなった。
「クレア、もしかしたら、俺が君を悲しませているのか?」
シオンはクレアに聞いた。
「違います。違うんです・・・私、そろそろ、
シオン様とお別れしないといけないんです。
別れたくない、別れたくないんです」
そう言ってクレアはまた涙を流した。
彼女の袖は涙でべちゃべちゃだ。
「?聞いてないな?教えてもらってもいいかい?」
話をするためにクレアの腕を取って目を見ようとした、
そこに違和感があった。腕がごつごつしている。
「あ、あの」
「・・・」
クレアは急にあせり抵抗するように手を振りほどこうとしたが
シオンに力で勝てるわけもなく腕をまくられた。
そこにはミミズ腫れと裂傷で傷ついた両腕があった。
シオンはわかっていた何度も叩かれたあとだ、しかも長い期間。
「・・・これは?」
今、気がついた彼女は何時も袖が長いものを着ていた。
「・・・なんでもないです・・・」
クレアはうつむいて口ごもった。
「クレア、俺を信じてくれないか。まず、この腕は?」
クレアはシオンを見て、また涙を浮かべた。
「・・・無理だと思ったんですけど、シオン様にはずっと隠していたかったんです。
私、実はこの国の罪人の子供なんです。だから叩かれてもしょうがないんです」
そう言って、涙を浮かべた悲しい顔をした。
シオンはクレアを抱きしめた。
シオンの胸には初めて感じる感情が生まれていた。
「ごめんなさい、ごめんなさあぁい・・・」
胸元でクレアが泣き続けてしゃべる。
「私、シオン様と一緒に裸で寝ないと、今度娼館ってところに行かないと行けなくって、
もともと行かされる予定だったのですけど、シオン様のおかげで行かなくて良くなって・・・」
シオンは王であるカイルの目的はわかっていたが、
オーガニクスが増えた今、戦力を測るつもりなのだろう。
しかしそんなことはどうでもいい。
泣きじゃくるクレアの頭をなでて、
「気にしなくて良い。俺は人の子供ですらないよ」
と言った。
シオンはこの感情がはじめて知る、
オリジナルが持っていた怒りなのだと理解した。



セリアはカーテンを開けた。朝日が部屋に入る。
「・・・おはようセリア・・・」
ゆっくりとアレクは起きあがった。
「ほら、アレク顔洗って!水はもう汲んであるわ」
セリアはアレクを誘導した。
昨日は色んな事があったせいでアレクは疲労していた
まだ眠気があるが寝過ぎるのもよくないので、
セリアの言うとうりにまずは顔を洗う事にした。
水が跳ねる音がし顔をこすると気持ちが良い。
「アレク・・がんばろうね」
か細い声でセリアが言う。
「うん」
アレクも小さく答えたその時、部屋の扉が勢いよく開く。
「アレク!!」
勢い良く入ってきたのはゼオだった。
「え、ちょっと・・・」
驚いたアレクは顔を拭く布を探し、手探りで見つけ顔を拭いた。
「え?え?アレク?」
アレクはセリアのエプロンで顔を拭いてた。
「んもー」
セリアはため息をついたが顔は笑っていた。
ソレをちらりとアレクはみて、いつものセリアに戻った様で安心した。
ゼオは興奮して喋る。
「巨人がもう1体みつかったんだよ。それには俺が乗る。
お前はうまくいけば今までの生活に戻れるかもしれない」
セリアが聞き返す。
「それ本当なの?」
「ああ。壊れた街の再建も進められている。そうすれば生活も出来るようになる」
「ぼくは・・戦わなくてすむの・・・・?」
アレクは恐る恐る聞き返えした。
「うまくいけば。あんなもの一体あれば良いだろ。」
ゼオは答える。
「・・・でもそれだとゼオが・・・戦う事になるの・・・?」
セリアは気が付いたように聞く。
「そうだな。でも俺はもとからこの国の戦士だ。いいのさ」
そこに扉をたたく音が聞こえ、兵士が伝達にきた。
「セオ様、アレク様王様がお呼びです。王の広間へお越し下さい。」

広い部屋に赤に金色のラインの豪勢な絨毯。
アレクはまたこの部屋にきた。
ゼオとアレクは一礼をし王の前に進み膝をついた。
王であるテリアスが口を開いた。
「新たに巨人を見つけたとのことだが?」
「ハイ。あとはアレクに操縦の仕方を教われば扱う事が出来そうです。」
ゼオは答えた。
「あぬしが乗るのか?動くのか?」
「それはわかりません。ですが試す価値はあると思います」
テリアスは黙って考えていた。
もしものことがあって、このゼオという英雄を失うのはツライが
彼を巨人に乗せる事が出来れば、頼りない消極的な少年より大幅に信用ができる。
「そうか。ではやってみろ。アレクはゼオに操り方を教えろ」
ゼオがそれに続けて言う。
「・・・王様お願いがあるんですが・・・」
「なんだ?」
「もし私があの巨人を扱う事が出来たら・・・」
「扱う事が出来たら・・なんだ?」
「アレクとセリアを・・・町に返して頂けないでしょうか?」
ゼオは王に進言した。タイミングはココしかなかった。
「・・・」
テリアスは黙った。
「お願いします。アレクは戦いには向きません。私だけで戦い抜いて見せます」
ゼオは進言した。ずっと下働きの頃からアレクの優しさを見て知っている。
戦いには向かない、それは本当にそう思っている。
この時代に珍しく優しい少年を、アレクをどうにかして戦いから遠ざけたかった。
「ダメだな。・・・戦力は多いに越した事はない。却下だ。別の願いをいえ」
巨人をすでに2体以上見てるだけに、敵が一体だけとは限らない。
ゼオの気持ちはわからないでもないが、テリアスは王としてそれは許可できない。
それに敵国アーベンドとの戦いが終った後、政治的にも確実に強力な武器にもなる
巨人を一体でも失うわけには行かない。
「そこをナンとか・・・」
ゼオはどうにかしてアレクを救いたかった。
「しつこいぞ!ダメなものはダメだ。」
「しかし・・」
「もういいよゼオ。いい」
アレクはゼオを止めた。もう意味もないし、ゼオにこれ以上迷惑をかけたくなかった。
「そうだ。アレクの方がわかっているではないか。王として認める事はできん。」
テリアスはそう言い立ちあがる。その時一人の兵士が広間に駆けて入ってきた。
「巨人です!巨人がまた現れました!」
その報告に一同は息を呑んだ。
「ゼオ、アレク!ただちにオーガニクスに乗れ。
ゼオぶつけ本番だが、できるな。頼んだぞ」
ゼオは一礼をし、アレクをつれて自分たちのオーガニクスの元へ走った。

アレクとゼオはオーガニクスの前に立った。
「しかしアレク、これはどうすればいいんだ?」
「乗りこめば自分の身体のように扱える。武器の出し方も飛び方も、
昔から知っていたように出来るんだ・・・でも自分だけど自分じゃないような気がするんだ」
アレクは自分の経験をそのまま話した。
「・・そうか乗ればいいんだな。試してみる。・・どっから?」
「僕は・・近づけば胸元が開くけど・・」
「どれどれ・・」
ゼオは新しく拾ってきたオーガニクスに近づく。
するとオーガニクスの胸元の鎧がゆっくりと開いた。
「これに・・・のるの・・か?」
あまりに肉質的な中に、ゼオは思わず固唾を飲みこみむ。
これにアレクは乗りんでいるそれだけで衝撃的だった。
「よし!」
ゼオは大声をあげ決心して乗りこんだ。




城壁の前に一体の巨人がマントを羽織って立っていた。
「そろそろ・・・なにか動きがあってもいいんじゃないの?」
その巨人は飄々と呟き城下町をみる。
「まぁ・・荒れてはいるけどこれだけの広さだ。これは期待できますよ・・・」
巨人はマント越しに肩を揺らす。
彼の名前はエリオ。
木を切る仕事に従事していた彼は、
偶然倒れているオーガニクスを発見し乗りこんだ。
オーガニクスを手に入れた彼がまずした事は仕事の続きである。
何時もなら八時間はかかる作業がオーガニクスの力で15分で終ってしまった。
その時彼は思った「これでボロ儲けが出来る・・・」
この力で、戦争で荒れた土地を復旧させたりする事で生計を立てるつもりなのだ。
たまたま飛んでいた時にリラーンの戦後の煙が目に入り、
意気揚揚とやってきたのだった。
「お。ん?」
彼、エリオは何か気配を感じた。
なんか背筋が緊張する感覚。これは森で熊を見つけた時のような感覚だ。
「なんだ?この嫌な感じ。上だ!」
エリオは上を見た。すごい勢いで飛んでくる巨人。
それもまたオーガニクスだった。
「なに?俺以外にも巨人っていたの?」
エリオは素直に驚いた。この巨人は自分だけがもってるものだと思っていたからだ。
近づく巨人はマント手にし形を大鎌に変えて振りかぶりながら近づいてくる。
「あ・・・あぶない?」
エリオは後ろに飛びのいた。その瞬間目の前に砂埃が舞い大地が揺れる。
鎌を持ったオーガニクスが大地に落ちてきたのだ。
エリオの目の前を砂煙が覆う。
「な・・・なんだ?」
エリオは訳がわからなくなった。いきなり襲われたのだ。
砂煙が徐々におさまり、うっすらと赤い瞳がこちらを見つめる。
「お前・・・なんだ?」
エリオは問い掛けた。
「この力・・・俺だけが持つべきだ!」
エリオよりも黒ずんだ色をした巨人はそう言い、エリオに襲いかかった。
「うわ!」
大鎌が空気を切り裂きエリオに襲いかかる。
「なんだいきなり!」
エリオは怒った。いきなり襲われたのだ。怒るのが当然だ。
「死ねよ!」
振りおろされた鎌を、エリオはマントを武器に変えて抑える。
「・・・なんだ・・・?」
鎌を持ったオーガニクスは戸惑いを覚える。
自分の鎌を防いだのは、あまりにも無骨な武器だったからだ。
エリオの武器は棍棒なのだが太くトゲのついたその武器は凶悪な印象を与える。

「も~怒った!ぶっ飛ばしてやる!」
エリオは武器を振り回した。
鎌を持ったオーガニクスはそれを軽くよける。
「よけるんじゃねぇ!」
エリオは叫ぶ。しかしそれはムリなことだ。
「なに?」
旋風と共に生まれる轟音。食らえば一回で致命傷だ。
エリオは殴る気満々で武器を振り回す。
鎌をもつオーガニクスはゆっくり後退する。
「なんだ・・・」
鎌をもつオーガニクスが飛びはね、エリオの前から消えた瞬間、
オーガニクスエリオの肩口から、勢いよくドス黒いものが噴出する。
「遅いよ・・・」
相手のオーガニクスはエリオの後ろでそう言った。
「くそ!」
エリオは振り向きざま棍棒を振るう。が、またも空を切った。
そして身体からまた黒い飛沫をあげる。
「・・・近づけない・・・これじゃぁ殺せないじゃないか」
鎌を持ったオーガニクスがそう言った時、彼の視界に影が飛びこむ。
「なに?」
鎌を持ったオーガニクス吹っ飛んだ。
「油断してんじゃねぇ!」
エリオは叫ぶ。隙を見せた瞬間に彼は襲いかかっていたのだ。
殴られたオーガニクスは、すぐに立ちあがったが左腕が潰れていた。
自分から出た黒い液体で真っ黒になっていた。
「油断した・・・痛い!痛いぃぃぃ」
再度瞳が赤く光り喋る。
「おまえ・・・」
「あ?なんだ?」
エリオは聞き返す。急に何を言ってるのか理解できなかった。
「殺してやる・・・」
そういうと彼の武器である鎌が妖しくまぶしく光る。その時だった。

「お前たち何をしている!」
2体のオーガニクスが彼らの前に降りてきた。アレクとゼオである。
「なんだお前ら。」
エリオは二人にくってかかる。
「私はこの国の騎士ゼオだ!
何のつもりか解らないが、わが国を脅かすつもりならば容赦はしない」
ゼオが威嚇をしたその時、アレクはもう一人の巨人が気になった。
あの日シオンという巨人と戦った時に見た光。
その光を出している鎌を持った黒い巨人。明らかな殺意をこちらに向けている。
「・・・三人は・・・今度は殺してやる」
鎌を持ったオーガニクスはそう言い残し、一瞬で空へ姿を消した。
「おい!にげるんじゃねぇ!」
エリオは憤慨していた。アレク立ちの前にいるのはエリオだけとなった。
「怒るのもよいが・・・まだ話は済んでいない。貴様、何が目的だ」
エリオは武器をマントに替えて羽織り、ゼオに向かっていった。
「いや~アンタの国で俺を雇ってくれない?復旧とかに便利よ」
アレクとゼオは言葉を失った。
「一人よりも二人、二人よりも三人。どう?仕事を探しにここにきたんだよ」
ゼオは頭に手を当ててエリオに言った。
「わかった・・・敵意はないんだな?」
「さっきのはアイツが急に襲ってきたんだよ。だから反撃した。そんだけ、頼むよ~」
「まずは王様にあってもらえば」
アレクがそうゼオにいう。
「お!アンタ話がわかるなァ、相方もそう言ってるし、王様に会わせてよ」
エリオはすがる様に言った。
「悪い人じゃないよ。多分」
アレクはゼオに助言する。
「わかった・・・では面会してもらおう」
ゼオはエリオにそう告げた。
「ひゃっほい!そうこなくっちゃ!」
エリオのオーガニクスが飛びあがる。
「・・・大丈夫だろうか・」
ゼオは心配になった。
アレクは黒い鎌を持ったオーガニクスが気になっていた。


再度アレク達は王の前へ集まった。
先ほどと違うのは、エリオという男が新に参加しているところだ。
「では始めから、わが国に遣える為に来たと言う事だな」
王であるテリアスはそう聞き、その質問にエリオは答える。
「はい」
長い髪の毛を後に束ねた男は客観から見ても美形だった。
アレクはこの男が棍棒を振りまわして、
好戦的な物言いをしていた人には見えなかった。
「なぜだ?」
テリアスは再度質問をした。
「折角巨人を拾ったんで、この力を売りに来ました。」
エリオは単刀直入に言った。考えて喋るのは苦手の様だ。
アレクは急にイメージが繋がりゼオは言葉を失った。
「・・・そうか。」
王も言葉を失った。
「だめだったらこのまま帰りますけど、どうですか?」
なぜか自信を感じさせる。テリアスは少し考えてから決断をくだした。
「わかった。だが戦士としてだ。よいか?」
「いいですよ」
エリオは即答した。
彼は強大な力を得たときに、兵器として扱われる事も承知の上だった。
「・・・わかった。ではお主には今日から戦士としてこの国に仕えてもらおう」
「わかりました。期待に添えるように頑張ります」
テリアスの言葉にエリオは答えた。
「では、今後の事を話そう」
広間の人々は聞き入る。
「巨人二体でアーベンドを襲撃する。一体と兵士達は城の防衛をする」
王は続ける。
「襲撃はアレクとエリオ、防衛はゼオだ。
作戦として急だが、敵国の巨人にまた攻められたらこの国は終りだ。
これは私はこの国の存続の為の作戦である。」
優雅を誇ったこの国はシオンの攻撃により、残された戦力も国力も僅かになっている。
戦争を続ける力をそろそろ復旧に向けねばこの国は終る。
そうならない為にも目の上のたんこぶである、
アーベンドを攻め打ち倒さなければ未来はない。
待った所で平和は来ないのだ。
その為の攻撃をアレクとエリオにやらせ、信用の置けるゼオを防衛に置く。
「では皆、明日のための用意をしろ」
アレクは指示に従うしかないが、立ち尽くしていた。
エリオが信頼できるかどうかはわからないがやるしかない。
「・・・この戦いに勝ったら・・・」
テリアスはアレクを見て、口を開く。
「元の生活に戻してやっても良い。頼むぞ」
王の口を出てきたのはアレクにとって望んでいたものだった。
「エリオ。お主にもこの作戦を遂行できたら、
国でお前の一族すべてを士族として迎える。」
この二人に作戦はかかっている。その二人が望むものが差し出されてた。
「私は危険を承知でお前達に指示している。それに値するものを用意したつもりだ」
王としては最大の譲歩であった。
「オシ!俺はやりますよ王様。」
エリオは嬉しそうだった。
「やれるな。アレク。」
テリアスは問いかける。
「・・・やります。」
アレクは王の顔を見る。


「これが最後なら・・・」
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ