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オーガニクス 作者:
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過去編 第一話:「僕が・・やったのか。」

<登場人物>
■アレク
過去編の主人公。
リラーンにすむ16歳の少年で一年前の
アーベンドが攻めこんできた戦争で両親をなくし、
同時期に親をなくした少女セリアと生活を共にしている。
優しく呑気で真面目。

■セリア
リラーンにすむ15歳の少女
戦争で両親を失いアレクと生活を共にしている。
シッカリもので自尊心が高い。アレクをよく注意している。

■ゼオ
リラーンの将軍25歳
数々の武勲で21歳の若さで将軍となった。
良識的な彼は城内外で人望が厚い。
城に働きに来ているアレクを可愛がっている。

■カイル
アーベンドの王40歳。
武族で農耕などのノウハウのない自国の未来を案じている。
リラーンを倒す事で略奪や侵略以外の生命線を得たい。

■ゲイン
リラーンの将軍35歳アーベンドの将軍。
倒れていた謎の少年をアーベンドにつれてきた。
頭に血が上りやすく気持ちが行動に出やすい。

■謎の青年
巨人と共にいた。何か目的があるようだ。
ある発作を持っている。
人々の暮らしが、狩猟から農耕に移って、生活が安定した頃。
野生の竜や獣から身を守る為、いくつかの集落が集まって村ができた。
村に人が集まり、代表は王となり、いくつか国ができて、
工業などが発展し、壁は土から石になった。
いつからか人は食物連鎖の頂上に立ち、竜でさえも飼いならし、
鉄を加工することができるようになり、
生活も豊かになった日に鉄は道具から兵器に変わった。
命と引き換えに得る豊かさの為、戦いの時代に世界は突入する。


この時代この場所には二つの大国があった。
そのうちのひとつの大国アーベンドは、
王女をなくした王を中心とした狩猟と畜産、
鉄器の開発を中心とした活気のある国であった。
しかし、この国に転機が訪れた。


玉座に血だらけの王が横たわっていた。
「兄上・・・この国は変革が必要なのです。
畜産だけでは民の豊かな暮らしは望めないのですよ・・・」
大き目の赤くぬれたナイフを持ちながら倒れている王を見下し、その男はいった。
「・・・ぐ、カイル・・・言いたいことはわかるが、勝ち続けることなど・・・」
カイルはしゃがみこんだ。
「王、いや、兄上もう、後は私にお任せください」
「・・・カイル・・・狂っている・・・」
カイルはにやりと笑っ言う。
「何か、最後におっしゃりたいことはございますか?」
「・・・命を・・・命だけは・・・」
「わかりました」
そういうと、カイルは王の背中にナイフをつきたて、王は動かなくなった。
この日からアーベンドは他国を侵略し勢力を増やす国となった。


アーベンドが変わった五年後。


いつもの日常と違うのは、夜が暗すぎる・・だけであった。
一筋の光が何本か落ち、轟音と共に赤い光が大地を照らし轟音が大地をえぐった。
一つは森、一つは海、一つは・・・
いくつかの光と音がこの世界への到達を告げていた。

空に明かりがともり、村人達は朝を迎える。
いつもと同じ朝、いつもとおなじ日々が始まるはずだった。
この日に新しい時代の幕が開けるのである。

小さな城下町の小さな家で、窓の隙間から入ってくる光の眩しさで彼は目がさめた。
だが、ちょっと寒かったのかもう少しこの暖かい空間にとどまろうと思っていた。
その矢先に、鈍く扉が開く音がして、その予定は狂った。

少女が彼にささやきかける。
「ちょっとアレク・・・いつまで寝てるの?」
少年はだるい目をしながら起きあがった。
「・・・おはよう・・・よくおきられるね・・」
少年の名前はアレクという。
1年前の戦争で両親を無くし、城の雑用係として働いている。
性格はおとなしく、優しい顔立ちをした男で、
同じく戦争で両親を無くした少女セリアと暮らしていた。

「あんなにスゴイ音がなった日に、早く起きないほうがおかしいわ」
「?」
アレクはキョトンと不思議そうな顔をした
「え?起きなかったの?昨日は星が落ちてきたのかと思ったんだから
・・・怖いから家からは出なかったけど」
「そう・・・まぁ今、生きてるから大丈夫じゃないかなァ」
呑気なアレクの言葉にセリアはため息をつく。
「・・・早く行かないと遅れちゃうよ、用意しておいたから着替えて!」
「ありがとセリア・・・毎回」
アレクはその場で着替え始めた
「あ・・・ちょっと女の子の前で着替えないの!」
セリアは照れながらアレクの部屋のドアを開けて、隣の部屋に移動した。
アレクはキョトンとしながら「あ・・・」とつぶやいた。
この日常はいつまでも続くはずだった。


アレクの住むもうひとつの大国「リラーン」は美しい緑の大地で知られている。
農耕を中心に発展していたが、
一年前に隣国である「ア-ベンド」との戦争が起き、
王が傷を追い他界してしまった為に、若干二十代の国王が国を治めるようになった。
二十代の国王の誕生は国民を不安にさせたが、
若き王は農地の拡大や、用水路の整備、軍事力の開発、業種別族化などの政策を立た。
その手腕は「リラーン」にこの王ありとまで言われるまでになった。
アレクはその国に住み、城に働きに出ている。
国の政策で両親を失った子供達はみな雑用として働き、
今後の身の振り方を考えるのである。
この政策も現在の王が考えた被害保険の一つである。
ある程度の期間で、あるものは兵族に、あるもの耕族になり繁栄に勤めた。
アレクはあと3ヶ月で答えを出さなければならなかった。

「おはようございます」
アレクは仕事場の皆に挨拶をし作業をはじめた。
今日の仕事は兵士達の鎧を磨くことである。
早速アレクは壁に掛けられている鎧を磨くことにした。
「・・・汚いなぁ・・泥だらけだよ、・・ちょっと匂うし」
ゴシゴシっと木の実の皮で出来たたわしで鎧をこすっていると、
一人の男が扉を開けアレクのもとへ近づいてきた。
男の名前はゼオ、騎兵隊の隊長をしている。
温厚で気遣いをする為に、下からも上からも人望が厚い。
体はガッシリしているが顔が整っている為、男女双方から人気があった。
アレク自身も兄の様にしたっていたし、ゼオもアレクを弟のように思っていて、
二人はお互いの家を何度もいききするくらい仲が良かった。
「よお、アレク元気か?次は決まったかい?」
「うん、きめた!野菜とか・・育て様と思って・・
それを売って生活しようと思ってるんだ」
「ふ~ん、気の優しいおまえじゃ兵士とかは無理だモンなぁ。
良い案なんじゃないかなぁ?セリアは賛成してくれてんの?」
「うん、セリアは大賛成してくれたよ。二人でやるんだ。」
「ほお~熱いなぁ。あやかりたいもんだ。」


アレクの顔がすこし赤くなった。
「からかわないでよ、一諸に住んでるだけなんだから」
「うわぁ!でた!この照れ屋め!好きで好きでタマランくせに」
「そりゃぁ・・でも・・・」
「ハハハ、そんなに困るなよ」
その時だった。
扉が大きな音を響かして開き、鎧をまとった兵士が大声を開けた。
「ゼオ隊長!敵襲です!南町が焼かれています!」
ゼオの顔が一瞬で温厚な顔から険しい顔に変わる。
「わかった!すぐに行く!すぐ馬を手配しろ!あと王の警護を決め、直ちに守れ」
大声で指示を出し、鎧を着込みアレクにゼオは言う。
「すぐに町に戻ってセリアと逃げろ!おまえの北町ならまだ大丈夫なはずだ」
鎧の音をたてながらゼオは言った。
「わかったよ!ゼオ・・死なないで!」
「当たり前だ!今夜も飲みたいからな!」
ゼオは足早に出ていった。それに続きアレクも城を後にした。


南町はもう見る影も無くなっていた、
広がる瓦礫の山に横たわる罪も無き人々、そして人間だった部分。
まさに地獄と化していた。
隣国「アーベンド」の黒い紋章がその事を教えていた。
もとは豊富に取れる採掘場の恩恵で、鉄器の開発が有名な部族国であった。
リラーンを襲うのは2度目であった。
戦場にゼオいた。ゼオはことごとく襲ってくる敵兵達をしりぞけ、大声をあげる。
「押されるな!もうすぐ決着がつく!この国を守るんだ!」
響く轟音の中で、その声を聞いたリラーン兵達は、大声を上げて敵に襲い掛かる
守る者の為に兵士達は命を掛けていた。
「くそ・・・アヤツめ・・・よし!あれをだせ!」アーベンドの隊長が指揮をした。
用意されていた台車の中から、四足で歩く竜が出てきた。
ゆっくりとした動きをしていた竜たちは、
隊長の声で加速し、信じられない迅速な動きで、
次々にリラーンの兵士に駆け寄り襲いかかる。
「アーベンドは・・竜の調教に成功したのか!くそ!」
相手は人間ではない、戦争よりも侵略に近かった。


ゼオは襲いかかる4本足の竜と、何度も応戦し疲弊していた。
「こりゃぁ・・飲めそうに無いかな」
竜は彼に舌をだしながら威嚇する。
戦った事の無い相手と言うのは厳しい上に、
竜だけではなく、兵士達も襲いかかってくるのでは、応戦のしようが無かった。
ゼオが絶望した瞬間に世界が明るくなった。
その場所にいた兵士達ががざわめき、竜達は目を伏せた。
急に後から光が溢れた事はゼオも気になったが、敵を前に後を向くことは出来ない。
不意に敵国の隊長が叫ぶ。
「神の光だ!巨人が!巨人が降臨する!」
大声に反応して敵の兵士は一斉にゼオの後ろを向き、
竜も大声に驚いたのか、動きが止まった。
「何言ってるんだ?しかし・・・チャンスだ」
ゼオは持っていた手槍を、力任せに大声を出した兵士に向かって投げた。
ゼオの標的は言葉にならない言葉をはなち、槍を口内に得て命を失った。
「戦いの最中で注意を怠るとは・・・」
ゼオは敵の絶命を確信すると、その場をひとまず退こうと考えて振り向いた。
そこには空から落ちてくる一本の光が大地に降りようとしていた。
「雷?」
ゼオは自分に問う。しかし答えが出るわけではない。
光は大地に届き、轟音を出して大地を揺らした。
「ふせろ!」
危険を回避するために出す精一杯の指示であった。
一帯は白い光で染まった。


一方、アレクは街を一心不乱に走った。
血の匂いと焼かれた煙の匂い不快な匂いが漂う。
それは被害が広がっている事を意味していた。
悲鳴や金属音が聞こえる。
アレクは耳をふさぎながら自分の家に向かって走った。
「どうか無事でいて!」
勢い良く自分の家の扉を開け、人影を確認した。
「どうしたの?ア・・」
アレクは大声でセリアの言葉をさえぎった。
「いそいでセリア!この家から出て早く!戦争が起こっているんだ!」
セリアは唇をかみ締めて、すぐアレクとともに家をでた。
彼らは二人とも戦災孤児である。その恐怖が蘇る。
「でもアレク!どこに逃げるの?皆は?」
アレクはセリアの手を引きながら走った。
「南町はもう壊滅だ、他はわからないとりあえず逃げるんだ。」
「でも私だけ逃げるのも・・」
「僕らが居ても邪魔になるだけだ!」
「でもどこに行くの?あてなんかあるの?」
「・・・森に逃げよう!あそこなら見つからないはずだ!」
「!・・そうね、竜がいるけどここよりは・・・」
二人は森に向かう・・空は曇っていた。



森の中へ、森の中へとアレクとセリアは入っていく。
木にはツタがからまり、とても歩きにくい。
二人は大樹の下で一息つくことにした。
「ゼオさん大丈夫かしら?」
「・・・ゼオなら平気だよ!
こんなことで・・こんなことでいなくなったりしないよ!」
震えながらアレクは言ったが、あの荒れ模様からは、
とてもゼオが平気でいられるとは思えなかった。
走ってる途中で気がついていたが、
ゼオの言われるがまま行動した自分に、納得がいかなかった。
「そう・・そうよね!大丈夫よね。」
「なんで戦争なんて起こるんだ!クソ!ただ静かに暮らしたいだけなのに!」
アレクは木にあたった。
「アレク・・・」
セリアは軽くアレクの肩を抱いた。
「だいじょうぶだよ・・きっとすぐ終るわ」
セリアの優しい微笑みをアレクに向けた。
肩越しにセリアが震えているのがわかる。
しっかりしている様でもやはり女の子なんだなと感じた。
少し落ちついたその時、なにかがアレクの頭に響いた。
「?先に・・何かあるのか?」
アレクはゆっくり立ち上がり歩き出す。
「え?どうしたのアレク?」
「なにかあるような・・・気がするんだ」
「?なにかあるの?」
「行ってくるから・・・待っていてセリア」
セリアは首を横にふった。
「やだよ!私も行く!」
確かにこの状態で一人は心細い。
「・・・行こう」
アレクはまたセリアの手を引き進んだ。
先には荒地の深い穴ができていた。
「セリア・・こんなところあったっけ?」
いつもの山菜を採りに来ていた風景とは違う風景が広がる。
「・・・ココはまだ森のはずよ」
まるでえぐられたような背景が二人の前に広がる。
「先に行ってみよう」
アレクはセリアの手をひいて進んだ・・・その時、翼竜の叫び声が聞こえた。
翼竜は群れで獲物を襲う。
飛べない人間にとって、相手にしたくない獰猛な生き物である。
「・・やばい翼竜だ・・・逃げるよ!!」
とても森に戻る時間は無い。
息を切らし、手をつなぎながら二人は荒地を進む。
そして底に到達した二人は土の窪みに隠れた。
「ココなら・・見つからない・・降りてこない間は」
「アレク・・・私達どうなるのかな・・」
「・・・大丈夫。君だけは・・守るよ」
「私だけはイヤよ!アレクも、ね・・」
二人が手を強く握り合った時、土の窪みは崩れた。
「きゃぁ!」とセリアが声を上げる。
パラパラと土が落ちてきて、天井の隙間から光が通る。
アレクとセリアの上には巨大な手があった。
「え?なにこれ・・」
セリアが目をシロクロさせたその瞬間、巨大な手がアレクを捉えた
「うおぉ!!」
アレクは悲鳴に似た声をあげたが、彼を持ち上げる手は上っていく。
その光景にセリアも悲鳴を上げる。
「アレク!アレクを離してぇ!」
だがアレクを持ち上げる腕は止まることは無い。
高く持ち上げられたアレクの視界には、泣き叫ぶセリアが見える。
「なんだこれ?なんだこれ?」
何度も頭の中で疑問を投げかけるが動きは止まらない、
アレクの視線は地面に向けられるが、そこには穴があいていた。
そして、その穴に放り込まれる
「ああああああ!」そうとしか叫べなかった。
「アレクーーー!」
セリアの声は空しく響いた。


アレクは意識を取り戻した。
記憶があやふやになっているが、暗さだけは感じる。
まず、目を開け起き上がる。
体に粉っぽさを感じる、砂の中にいる感覚。
不快感を感じ、砂を払うと声が聞こえた。
アレクは反射的に上半身を起こし、まわりを確認した・・・
セリアが手の近くにいて、アレクの腕を砂だらけになりながら叩いていた。
「アレクを返して!」
彼女は泣いていた。
「・・いやだなぁ、何を言ってるの?ぼくなら・・・?」
アレクは自分の腕が自分の腕でない事と、セリアが小さいことに気がついた。
目線が高い、明らかに今までと違う体を感じる。


「うわぁ!」
アレクは驚いたが、その声を聞いたセリアはもっと驚いた。
「?あ・・アレクなの?」
何度も聞いてきた声を聞いて、セリアはアレクの声だと確信した。
「え?あ、そうだけど・・アレ?何コレ?どうなってるの?」
アレクは訳がわからなくなってしまい、動揺を隠せなかった。
「えっと・・大丈夫なの?」
セリアの問いにアレクは答える。
「・・・生きて・・いるけど」
「ちょっと・・・アレクじゃないみたい・・外見が」
灰色の巨人。それが今のアレクだった。
「・・・ちょっとかな?」
不意に翼竜の泣き声が響き、アレク今までのことを瞬時に思い出してセリアに言う。
「セリア!忘れてたけど逃げなきゃ!どっか隠れて!」
「どっかって・・どこ?」
「僕が囮になる!こんな身体じゃすぐ見つかるし・・身体に力を感じるんだ」
上空で翼竜が咆哮を上げる。
「見つかった・・・ヤバイ!」
セリアが慌て聞く。
「見つかったって・・・まだ竜も見えてないのに・・何でわかるの?」
「え?あれ?・・わからないけど・・」
なぜか見つかった事を理解しアレクはセリアに答える。
「8匹だ・・・セリアを隠さなきゃ・・・そうだ!」
アレクは新しい身体でセリアに豪快に土と砂をかける。
「えぇ?ゲホゲホ」
セリアはむせたが、お構いなしに砂を降りかける。
「ゴメン!でもこうするしかないんだ」
セリアを隠したアレクは、次の行動を起こした。
いつもと同じ感覚で立ち上がり、いつものように身体を動かす。
ミニチュアの森にアレクは立った。



―オーガニクス過去編<アレクとオーガニクス>―



森の中の荒地で、5メートルほどの薄い灰色の巨人。
それが今のアレクだった。彼は翼竜達を見る。
いつもと比べ軽い身体に、何故か感情が高ぶる。
翼竜は咆哮を上げ群れをアレクの方向に誘導する。
アレクは状況を理解した。感じた。


今はその異常に過敏な感覚に気が付かなかった。
速度を上げて次々と翼竜が巨人に、アレクに向かう。
アレクは牽制を考え小石・・・の感覚で岩を掴み、翼竜に向かって投げた。
追い返せれば良い、そう思っていた。
しかし投げた岩は翼竜の首から胴体にかけ貫通し、翼竜の命を奪った。
翼竜だったものは赤い液体を撒き散らし、赤黒い飛沫がアレクの顔を飾る。
アレクの胸元へ飛びこんできたそれは、ズルリとへばり付きながら地面に落下する。
湯を浴びたような暖かさを感じ少し心が満たされた。
「・・・なんだコレ?」
自分の行動と気持ちが理解できない。
ただ小石を投げただけなのに、なぜか倒してしまった。
追い払うだけだった翼竜を・・・
しかし後悔は高ぶる高揚感に追い出され、アレクは次の獲物を探す。
アレクは向ってくる翼竜から、手ごろな獲物を選び、左手で相手の首を掴んだ。
バタバタ動きもがく獲物に心が満たされる。
何をしかけても失敗しない自信が何故かある。
仲間を救おうとしているのか、鋭いくちばしでつついくるものもいた。
痛さは感じない、「ただ邪魔だな」という感情が身体をめぐり、
アレクは翼竜を手で払った。
つもりだったが翼竜の首は飛び、首のない身体は羽飛きながら、
アレクの身体を飛び散る液体で温めた。
降りきった腕は翼竜の頭を砕いた。
その高揚感でついつい左手に力を入れてしまい、
鈍い音を立てさせ握りつぶしてしまう。
大口を開け襲いかかってきた翼竜の、上と下くちばしを掴み、
上下に引き剥がし身体全体をぬらす。
思ったことが実行され、確実にうまく行く。
明らかな力の差を感じる、コレは戦いじゃない狩りだ。
もう狩られる側、狩る側の立場は逆転している。
今まで感じた事がない感情を翼竜たちは察知した。
恐怖・・・本能がそう告げたが相手が悪かった。
残る2匹の翼竜は逃走しようとしたが
面倒くさそうに伸ばされたアレクの腕に妨害される。
アレクは尻尾を握り、2匹の竜は尻尾を中心にぶら下がる
そして勢いをつけて地面に獲物を投げつける。地面に赤い模様が広がる。
・・・全ての翼竜を倒したのだった。
敵意を持つものがいなくなったからか、
それともアレクが正気に戻ったのかわからないが、
彼はみるみるうちに自分を取りもどす。
セリアは砂の中からやっと出きて周りを見渡す。
彼女の前に、むせかえる血の匂い広がる赤黒い世界。
アレクが作った風景の真中に彼はいる。
アレクはポツリとつぶやく
「僕が・・やったのか。」
+注意+
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