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オーガニクス 作者:
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現在編 第六話:「知ってた」

繁華街での戦いが終わり、大輔たちはそれぞれの場所に戻った。
大輔と賢吾とスミスとアレクのとるべき道は
--またこの夢だ
俺はいつも着てる鎧が綺麗になってるのに気がつき、
「なんだ?新品・・・とはいかないまでも、嘘みたいに綺麗になってるな」
と言った。錆びがなくなり光沢が戻ってる。
「どうやら新しく入った雑用が大分真面目な奴らしいですよ」
部下が言う。
「へぇ~お前らのまで綺麗じゃないか」
俺は感心した。部隊の鎧がすべて綺麗になってる。
「なんか。戦災孤児を城で働かせるって政策があるじゃないですか。
あれで入った奴みたいですね」
「なるほどなぁ。ちょっとお礼を言ってくるよ」
「隊長。彼らは仕事をやってるだけなんですからそんな必要ないんでは?」
「何いってるんだ。有りがたいと思ったらお礼をする。当たり前だ」
そう言って俺は雑用係の部屋に行った。
俺は雑用係の部屋長へ、鎧を磨いてた男は誰か聞いた。
すると部屋長は年端も行かない少年をつれてきた。
「は・・・はじめましてアレクと言います」
俺は心臓が止まりそうになった。
半年前に戦争で死んだ弟の面影をしていたからだ。
「・・・」
「隊長?」
アレクは俺を呼ぶ。
「あ、ああ、すまない。しかし・・似てるな・・・」
「?」
「あ、いや、鎧を綺麗に磨いてくれてありがとう。お礼を言うよ」
俺は頭を下げた。
「いや、そんなたいした事じゃ・・・逆に仕事を貰った以上は当然です。
頭を下げないでください。」
アレクは慌ててそう言った。
「アレク君、お礼がしたい。飲みに行かないか?」
「あ・・はい。友達も一緒で良いですか?」
「もちろん構わないよ」
「ありがとうございます。セリアも喜びます。隊長は有名ですから」
俺とアレク、セリアが親しくなるのに時間は掛からなかった。
失った家族をもう一度俺は手に入れたそんな気持ちだった。
--記憶の中の彼はここで仮初めの家族を手に入れ、強く後悔することになる。


「・・・またか・・・」
賢悟はベットで目を覚ます。部屋を見渡す。
「・・・・・・」
部屋の隅でソバニコフが椅子に座りこちらを見ているが暗闇で姿は見えない。
賢悟は繁華街でのことを思い出す。
「・・・お前が運んできてくれたのか」
ソバニコフはの影が頷く。
「モハメッドはどうした?」
ソバニコフは頭を振った。
「・・・そうか」
そう言って賢悟はテレビをつける。
――日本で謎の巨人が暴れ都市を壊滅的な状況にしておりますが――
――奇跡的に死者、行方不明者は出ていない様です。――
――我々アメリカとしても対応を考えなければなりません――
「・・・・・・」
ソバニコフは黙ってその映像を見ていた。
「結果的に我々の負けか。・・・ソバニコフ」
「・・・・・・」
ソバニコフは賢悟の方を向いた。
そのときドアが開き、もう一人の男が入ってきた。
ソバニコフがあわてて取り繕ろうとしたが、賢吾はそれを止めた。
明るい部屋から入った男の顔は逆光で最初は見えなかったが、
直ぐに目がなれ顔が見えた。
その顔は賢吾を驚愕させた。
「・・・スミスだ。長村賢吾」
スミスの顔は若いころの自分にそっくりだった。
「お前は・・・何だ?」
賢吾はスミスに疑問を投げかける。
「俺は・・・そうだな、お前の未来を知るものだ」
「・・・俺の顔は同じでも、しゃべる冗談は面白くないな」
賢吾の視線に、スミスはため息をついて話し始めた。
「施設に設置された箱に預けられたお前は、施設で育った。
別に、苦しい生活だったわけじゃない、普通にそれなりに育った。
だが途中で良く解らない研究所に移された。
そこで、培養学、生物学、天文学、心理学、機械学、情報学を覚えた。
研究は楽しかった。周りは外国人だらけで語学もそこで大体覚えた」
「!・・・なぜだ?」
賢吾はなぜスミスが自分の感情まで知っているのか、
完全に追えなくしたはずの、自分を知っているのが理解できない。
「そして、お前は自分がいる研究所が兵器開発所であり、
良かれとおもって施設を出たのに、
施設の人間はお前の痕跡を消すために全員行方不明で、絶望した」
「・・・どこで調べた」
賢吾はスミスを見据える。ソバニコフは落ち着かないようだ。
「言っただろう、俺はお前の未来を知っている。お前の全てを知っている。
ただ、お前はまず、理解することが必要だ。俺がお前を理解するように」
「・・・」
「まだ、信じられないか?
そうだな、お前が唯一認めた人間の話でもするか?
お前が名づけた月で拾った巨人、
オーガニクスの調査依頼を出してきたエージェント、
ライ=メイ、拳のオーガニクスを扱っていた男だ。
彼がお前にオーガニクスという夢を与えた。悪夢を」
「・・・もういい、種を明かしてもらおう。お前の物腰は訓練された物腰だ。
俺もソバニコフもお前を今、生身では倒せない」
「そうだ、まずは俺の話を聞いてもらおう」
スミスは表情も変えずに賢吾のベットの前に座り足を組んだ。
「そうだ、お前は知らなくてはならない。この後に起きることを。
それが俺の・・・いや、俺達の存在の理由になるかもしれない」
「ずいぶん、もったいぶるな」
賢吾は同じ顔を持つ男を見ながら聞いた。
どこかのエージェントの整形だとおもったが、手術のあとはない。
「・・・ずいぶんと疑り深いが・・・理解できる。そうだな、ファイル0550966で、理解できるかな」
そのファイルは賢吾が個人的なプランとして立ち上げようとしている物だった。
ダレにも話したこともなければ見せたことも、見れる場所にも置いていない。
しかもそのプランは、禁忌とされるプランである。
「・・・おまえ、本当に・・・」


「そうだ。もう一度言おう。俺はお前のクローンだ」



繁華街の騒動のあと、かれこれ一ヶ月がたった。
大輔はアレクを連れてきて、健康診断と検査をしたが、
記憶がない以外は一般的な男性と差異はまったくでず、
大輔、マリー、マイクとライを困惑させたが、数値上は問題がないので大輔の
「いやぁまぁ良いんじゃない。仲間で。助けてくれたし」
の一言により、マイクが「ダイスケ アレク イッショ スムネー」と言い、
大輔とアレクの共同生活が始まった。
大輔はアレクと住むことは、「夜のお楽しみが困るな」以外はどうでもよかったが、
なによりも、マリー、ライと比べ、
マイクの日本語がB級日本モチーフ映画のように下手であることが気になった。
まぁ大輔は日本語以外はしゃべれないので、大きなお世話であるのだが。
とりあえず大輔は食堂で、アレクは掃除非常勤の職員として基地で働く事にした。
オーガニクスが現れないとやることがないので、
何もしていないと罪悪感があったからだ。

大輔は食堂のお昼の勤務が終わり、部屋に帰ろうとしていた。
今日もよく働いた。厨房の指示はわからないが、
求めていることはざっくりとわかったし、そもそも雰囲気が嫌いじゃない。
あと、想像を超える肉を焼き続けるのも悪くない。
「ヘイ!ダイスケ!」
屈強な男すれ違いざまに大輔に声をかける。
彼は何時もレア気味の肉を頼む男。
彼は手を上げてる。
「へい!」大輔はそういって彼の手をたたき、いい音がする。
二人は何食わぬ感じですれ違う。
彼だけではない、大輔はうまくなじんでいた。
「ハーイ、ダイスケ」
こんどすれ違う女性職員の二人が笑いかけながら、軽くて手を振った。
「ちゃお!」
大輔はご機嫌で挨拶を返し手を振り返した。
女性二人は微笑んですれ違う。
大輔はどんなときにも完全に日本語で応対している。
彼らの気持ちはざっくり理解しているが、下手な英語をしゃべったところで、
自分の気持ちが伝わらないなとおもったからだった。
今後、言葉を自由に話せるようになったら、ちゃんとしゃべろうと思っている。
「・・・ムムム」
その姿を難しい顔で見ていた影から見ている女性がいる。
書類を両手で抱え、自分の気持ちに悩んでいた。
大輔や、アレクがなじむのは悪くないのだが、
大輔が女性と仲良くしているのはモヤモヤする。
別に言うことじゃないのだが、
ここに入れるようにしたのは自分なのにと、たまに思う。が、
ただ、いてほしいから自分でそうしたし、結果として正解だったのに、
理解できない感情がぐるぐるする。

大輔が急にその女性の方向を向いた。
満面の笑顔で思わず腰が引ける。
「マリー!」
大輔は女性の名を呼ぶ。
マリーは引きつった笑顔で返すと、大輔は小走りでマリーのほうへ向ってきた。
「だ、大輔、恥ずかしいから、声が大きいと」
マリーは大輔を注意する。
「あぁごめん、うれしくてさーやっぱ一日に一回は見ておきたいんだよね」
大輔に言われて、ぐるぐるした気持ちが少し晴れる。
さっきすれ違った人たちとは待遇が違うからだろうか。
「だ、大分なれたみたいね。良かった」
「いやーここは良いよね。いい人ばっかりで楽しいよ。マリーのおかげだよ」
「そ、そう」
そう言われるとちょっとうれしい。
「なら良かったわ。大輔も、アレクも大変評判がよいの。私も鼻が高いわ」
「そっかーなら良かった。あ、この後仕事あるの?」
「え?今日はもう終わり、食事をして調べ物をする予定だわ」
「じゃぁご飯食べに行こうよ。何食べたい?」
「うーん、外に行くならラーメンが久々に食べたいかも。日本のラーメンはすばらしいわ」
「そうかーうーん珍しいのいく?」
「?」
「ジローって言うんだけど」
「?初めて聞くわ。おいしいの?」
「うーん、マイノリティかなぁ。まぁ初心者向けじゃなね。どうしようかな」
「まって、そういうのは嫌いじゃないわ。ヨコハマイエケイも好きよ」
「ちょっとちがうけど、よーしじゃぁラーメン食べにジローいこうか!腹も減っているし」
「大輔、貴方は大変尊敬できる人物だが、いまの言葉は聞き捨てならない」
後ろから急にめがねの男が話に入ってきた。めがねだけがひかり、怪しい。
「ライ?まさか・・・」
大輔は困惑する。今まで見たことがない。
「そうです。大輔。ジローはラーメンではありません。ジローという食べ物なんです。」
「??????」
マリーは話についていけなくなってきた。
ライはまだ続ける。
「良いですか?もっと言うと、食事をしようとして二郎に行くのが間違えています。
欲したときに、儀式をしにいく、それが二郎なのです」
「あんた!どうしたんだ?あんな冷静なあんたが・・・まさか・・・ジロリ・・・」
ライは大輔の言葉を無視して話を続ける。
「大輔、貴方らしくもない、貴方は本質を掴む人、二郎の経験者のようだが・・・
まだ、経験が足りないな。大輔、セカンドコールは?」
「セカンドコール?」
大輔は振り落とされそうだ。
ライは頭を振った。
「大輔、常識ですよ。
麺の硬さをファーストコール、トッピングを我らの中ではセカンドコールといいます。そもそも・・・」
「え?続くの?」
「聞きなさい。セカンドコールの<にんにく入れますか>というのは、<貴方は許されたいのか>という意味です」
「・・・え?」
ライは無視して、まだ話を続ける
「ライ?まるで違う人みたいに・・・」
「マリー聞きなさい。貴方は未経験である。覚えておかねば取り込まれますよ。
オーガニクスと同じです。理解することが大事です」
マリーは口をぽかんと開けつつ、ポケットからメモ帳を取り出してメモを始めた。
その三人を見つけて、マイクは声をかけようとしたが、
雰囲気でジローの話をしていることを理解した。
このときばかりはライはおかしい感じになる。
彼がライと初めてジローに行ったことを思い直し、声をかけるのをやめた。
マイクには合わなかったのだ。
マイクはそのまま声をかけるのをやめ部屋に戻った。
危険回避の撤退は恥ずべきことではなかった。
「セカンドコールには、<マシ>という言葉で答えます。これは<罪>です」
「わぁ・・・だめだ、この人ジロリアンだ」
大輔はジローに取り付かれた人間をジロリアンと呼ばれることを知っていた。
「いいですかヤサイ、アブラ、カラメ、ニンニクこれは四つの柱。
世界も四つの柱で支えられているといいます。世界の罪。これがマシなのです。
罪のあがないを宣言し、残す、あがないきれないのは許されない。すなわちギルティ」
「ふむふむ。ずいぶん完成されているのね」
マリーはうなずいている。
「で、大輔、どこ行きますか?」
「え?どこ行くってジローじゃないの?」
大輔は今までの話から、急に食べるものを変えるとは思えなかった。
「・・・大輔、何を言っているのですか?どこ行くか?と聞いたらどの店舗にするかでしょう!」
「・・・じゃぁ、ここからだと品川が近いかな」
大輔がそういった。
「そうですね。ここからだと、一番近いのは品川ですね。
本来であれば初心者がいる以上歌舞伎町からはじめるべきなのですが、
マリーはまじめに勉強をしました。本質も掴んだようです。きっと大丈夫でしょう」
「?チェーン店なの?」
「マリー、二郎はね・・・」
「二郎はチェーン店ですが、それぞれ店の味を持っているんですよ。
そもそもこれはブレと呼ぶのですが、このブレこそがジローのすばらしさなんですよ」
「ブレか・・・」
マリーは、またもやそれをメモしている。
「・・・じゃぁオーガニクスで・・・」
「大輔・・・オーガニクスを車感覚で使わないで」
「はぁーい。じゃぁ電車で行こうか、歩くけど良いよね」


品川、ラーメンジロー前に来た。
メンバーは五人。ライ、マイク、アレク、マリー、大輔。
「???ナゼ、わたしココイマスカー」
マイクは信じられなかった。なぜか気がついたらいたのだ。
しかも並んでいる。この場所に並んでいるのだ。
マイクは一度ライとこの店に来たことがある。
正直、マイクはあまり味が合わず、二度と来る気がなかった。
あのとき部屋に戻ったことで回避したはずだった。
なのになんで、ここにいるのか。
大輔を見る。大輔は珍しく困惑した顔をしている。
マリーはさっきからずっとセカンドコールがどうのこうのブツブツ言っている。
正体不明の謎少年アレクはずっとニコニコしている。
ライはずっと黒ウーロン茶を飲んでいる。
ライはうろたえるマイクに気がつき、マイクにプラステチックの板を渡した。
「マイクは小ブタがいいでしょう」
そういってにやりと笑う。
もうだめだ。マイクはそう思った。

とか、考えていたら知らない間にカウンターに座っていた。
もう状況についていけない。
ライは隣で、なぜかめがねをはずし、カウンタにひじをおき、両手を握り固めた。
大輔は感情がなくなった顔をしており、アレク、マリーはニコニコしている。
二人はあの食べ物を知らないから笑ってられるのだ。
「ラ、ライ・・・チョト・・・」
「ギルティ、マイク、しゃべるな」
ライの眼光が鋭い。この場所でライはだめだった。
大輔はずっと考えていた。
「・・・俺はライにデートをつぶされた気がする・・・」
大輔にとって事実はそこだけだ。
そこにカウンタの向こうのおっさんが声を出す。
「・・ニンニク・・ま・・」
おっさんの声はよく聞こえない。
マリーの目が光る。
「これが、電車の中で習ったサイレントセカンドコールね!」
ライが強くうなずく。
おっさんはライ、マイク、マリー、大輔、アレクを指差す。
「ヤサイマシマシアブラカラメニンイクチョモ」
「ヤサイムシ・・・」
「ヤサイマシマシ」
「全部」
「ふつうで」
彼らのコールにおっさんは無言で答えた。
次々とラーメンのどんぶりが置かれていく。
大輔はマリーの前に置かれたどんぶりに衝撃を受ける。
これはいじめだよ。と思うような量だ。
「いただきます」
マリーは割り箸を割った。
「モウ、ダメダー」
マイクは目の前が真っ暗になった気がした。



「--お前の目的は果たされることはない」
賢悟はホテルのロビーでサングラスで顔を隠しコーヒーを飲んでいた。
あの日、賢悟が自分のクローンであるスミスに言われた言葉が引っかかる。
スミスは自分が、彼のオーガニクスを作ったとも言った。
オリジナルの、いまの自分が何も果たせないであればこのまま、
オーガニクスに乗る意味などあるのだろうか。
それに・・・引っかかる事がある。


そのときロビーが少しだけ騒しくなった。
あまりにもみすぼらしい、というか格好に無頓着なもう一人の自分に、身の回りの物を用意させた。
なにしろ彼は汚い作業着のようなものしかもって来ていなかったのだ。
本人は不満そうだったが、
賢悟自体が未来からきた、過去の自分の顔を持つ人間が
みすぼらしい格好をしているのが嫌だった。
ロビーの視線を集める男が賢悟の前に立った。
「ずいぶん様になっているじゃないか」
賢悟はその男にそういった。
髪を整え、フォーマルなスーツだがネクタイをしていない。首元を空けた男。
「・・・この格好は問題があるのじゃないか?いろいろな人間に見られるのだが」
スミスは不満そうに答えた。
視線が集中している気がする。理由はわからないがあまり目立ちたくはない。
スミスはきっとどの俳優よりも格好が良い。女性の視線を集めていた。
だが、スミスは落ち着かないようだ。
「・・・何か飲むか?」
賢悟はスミスに飲み物を勧める。
「・・・お前と同じものを」
スミスは賢悟の前に置かれたアイスコーヒーを指した。
「?」
スミスのアイスコーヒーの頼み方に違和感を覚えたが、賢悟はひとまず店員を呼んだ。
メニューを指差し、注文をすると店員はお辞儀をし、奥に戻っていった。
「・・・」
スミスは落ち着かないようだ。
賢悟がスミスに声をかけた。
「・・・コーヒー・・・って知っているか?」
スミスはビクッとした。
「・・・なぜ・・・そんなことを聞くんだ」
「・・・いや、どうでもいい事だな。聞きたいことは別にある」
「・・・なんだ?ソバニコフは?」
「ソバニコフはプールに行くと言っていた」
スミスは足を組んだ。
「お待たせいたしました」
アイスコーヒーがスミスの前に置かれる。
「・・・」
スミスは賢悟のアイスコーヒーを見て、
ストローを開けてアイスコーヒーのグラスに入れた。
黒い液体がストローを登りスミスの口へ向かう。
「!ゲホホォゲホォ!」
「・・・」
賢悟はむせるスミスを見て言葉を失っていた。
「賢悟、これは本当にコーヒーか?お前はコーヒーをうまいものとしていなかったか」
スミスは立ち上がり、そう賢悟に向かって言った。
「・・・この味が良いんじゃないか」
「オリジナルは味覚に異常があるのか・・・」
「いいから座れよ。まぁ慣れが必要な飲み物だからな、これを使え」
賢悟はスミスにガムシロップとミルクを勧めた。
「?何だこれは」
「この透明な液体で甘さを、白いほうで苦味をとる。自分で調整するんだ」
スミスは座り、透明な液体を少し入れ、ミルクも少しいれる。
「・・・」
賢悟をチラッと見る。
賢悟は頷いた。
茶色い液体がスミスの口元に登る。
「・・・これは・・・うまいな」
スミスは驚愕の表情を浮かべた。
賢悟はその姿を見て俺の知識は持っているが、経験が足りないなと考えた。
彼はきっと身体よりも幼い。そう思った。
「・・・では、納得したところで、話をしよう」
「なんだ?」
スミスはアイスコーヒーを置いて、答えた。
「・・・なぜ、俺にこの後に起きることを教えた?
俺が考えを改めたら、お前は存在しなくなるのではないのか?」
「・・・そんなことか」
スミスはまたアイスコーヒーを手に取った。
そしてスミスは続けて答える。
「決まっている。俺のことなんてどうでもいい。俺はお前達とは違う。
俺は兵器を操るために作為的に作られた生物だ。
話したが、俺はオーガニクスを消え去るためにココにいる。
あの不気味なオーガニクスと、あの戦いにくいオーガニクス・・・
今はあいつらを倒すためにお前と手を組んでおく。
話したのは・・・お前、いや、我々が大変愚かであったことを共有しておくためだ。
自分自身のけじめとしてだ。
・・・俺は最終的にはお前も倒し、俺も、オーガニクスも消す。
時間を超えたのは・・・理解できないがいい機会だ」
その話を聞いて、賢悟は軽く笑った。
「面白いな、スミス。お前は俺であって、俺ではないんだな似ているのは外見だけだ。
いいだろう。全てが終われば答えを出そう」



大輔たちは黄色い看板の店を背にした。
「・・・こうなったかー」
ライ、大輔は経験者である。自分の量をわかって挑戦した。
しかし意外だったのはマリー。
「私、ニンニク好きだわ。癖になる個性的な味ね」
マリーは振り向き笑顔を見せた。
代謝がいいのか汗が輝いている。
あぁかわいい。こんなかわいい人の胃袋にはあのジローが入っている。
しかもあの速さでぺろりと食べたやつが。大輔はそう思った。
マイクは震えていた。
なんとマイクも全て食べることができた。
最初は体が受け付けなかったあの食べ物が・・・
そこで気配を感じ、後ろを振り返るとライがサムズアップでこれ以上ない笑顔で言った。
「ウェルカムトゥジローワールド!」
マイクは開いた口がふさがらなかった。
大輔はアレクを見る。
アレクは、ジローを残していて口元を押さえていた。
「・・・先を・・読むべきだった・・・こんな罠が・・・ウプ・・・」
大輔はフラフラのアレクを見ていた。
マリーが急に声を上げる。
「大分、カロリーをとったわね。よし、プール行きしょう」
マリーの笑顔がまぶしい。
「いいですね。行きましょう」
「ソスナー」
「うぷ・・・」
ライはさわやかに、マイクは片言、アレクは答えていなかった。
大輔はプールと聞いてマリーの水着を瞬時に想像し、
俺の時代が来たなと思った。


ホテルのプールについた。
大輔は直ぐに着替えプールサイドでマリーを待った。
万が一にでも水にぬれる前のマリーを見逃すわけにはいかなかったからだ。
アレクは更衣室の椅子に寝かしてきた。
まだジローが消化でいていないのだろう。無理をさせるのはやめた。
それにアレクにかまけている場合ではない。
マリーを凝視する。決めていた。
あの何時も一部のすごいボリュームがよりどうなっているか確認しやすい状態なのだ。
大輔はスパッツタイプの水着を借りた。
男で着替えやすくてよかった。
そうして入り口を見つめえいるとマイクが近づいてきた。
「ハヤイネー デースケ」
マイクもスパッツタイプのオーソドックスな水着を着ている。
マイクはずっと今日ジローを食べれたことについて考えていた。
前回はまずくて臭くて濃くて食えたもんじゃなかった。
しかし今日はすべてが悪くないと思った。
体がジローを食べれるように進化したかのようだった。
前回はあんなに苦しく、不愉快さがあったに、今は満足感と幸福感がある。
「ドーナッテ シマッタ ンダー」
マイクは急に頭を振り乱した。考えればカ考えるほど
慣らされてしまったことを意識した。
急に頭を振り回すマイクを見て大輔は、「アブネー」と思っていた。
そこで気がつく、マイクを見ている場合じゃ・・・
「うわぁ」
振り返った大輔を驚かせたのは音もなくそばに立っているライだった。
マイクはすごく鍛え抜かれたいい体をしていた。
そして、すごくコンモリとしている股間。ブーメランパンツが目立つ。
「でけぇー!」
大輔は軽く両手を挙げた。
ライはすごいきれいな笑顔を向け、筋肉をアピールするポーズをいくつも連続でとる。
まるでボディビルダーのようだ。
「ライハ ナルシスト ネー」
マイクはそういう。
「ジローを食し、適度な運動をするだけでこの体が作れるのです。どうですか貴方も。」
白い歯が光る。ブーメランパンツが目立つ、なぜこんなパンツなんだ。
大輔は「つか、重大な心も問題があるんじゃないの?」と思ったが
今後の付き合いがあるから言わなかった。
「違う!」
大輔はライを見ている場合じゃないことに気がついた。
固い男の体をではない、こんなものを目に焼きつけている場合じゃない。
ライはポージングをやめない。マイクは手を組んで片手であご先を手で支えた。
「イイネー キレテイル ネー ダイキョウキン イイネー」
マイクがライをほめだした。
いつもだったら突っ込むとこだが今は放置する。
食べすぎで朦朧としているアレクを放置した大輔に、
ライとマイクを放置することなど造作もないことだった。

そこに、大輔が待ちに待った女性が現れた。
「キター」
大輔はその女性を凝視する。競泳のようなワンピース。
すらりと伸びた足、しまったウェスト、豊満な胸。
そして長い髪を無理やり入れボコボコになった異形な頭。
真っ黒くアニメに出てきそうな大きめな水中眼鏡。
「え?マリー?」
マリーのような気がする。だが遠目で判別がつかない。
「なんてこった!」
判断ポイントが巨乳しかない、もっと情報を集めなければ。
大輔の眼光は鋭くなる。大輔が女性に近づく、
女性は大輔を見て軽く微笑む。大輔はその顔をみてマリーだと確認し、足を止めた。
すぐにマリーは水の中へ飛び込んだ。
力強い平泳ぎ、意外と早い。
「あぁ、台無しだ・・・」
帽子はプールサイドでつけてほしかった。めがねも・・・
そしてこういうときはクロールじゃないのか。
大輔は期待の斜め上を行く行動に衝撃を受けた。
「・・・だけど!そういうところも良い!」
大輔は声を出す。するとマイクに肩をたたかれた。
「セイシュン ダネー」
マイクは後ろでサムズアップしているライが、マイクよりも気になる。
「君らも、泳いだら?」

プールに来て一時間たった。
大輔も、もうあきらめて、しこたま泳いでプールサイドで休んでいた。
そこに少し泳いだマイクが隣に座った。
マリーは、まだ泳いでいる。
「すごい体力だなー」
大輔は感心していた。
「マリー ハ センス アルネ」
「・・・マイクさ、俺、気になってるんだけど」
「ナンダロネー」
「マリーってさ、彼氏いるのかな」
「カレシ? カラシ?」
「え?えっと、恋人、ラバー」
「アー ナイネー マリー コイ キイタコトナイ」
「あんな、良いのに?」
「マリー アタマ ヨスギルネ カイキュウ タカイネ チカヅケナイネ ソレニ・・・」
「ソレニ?ナニネー」
大輔も片言になった。
「マワリ オッサン ダラケネー オトウサンネ」
「でもマイクは、気にならないの?」
「オレ コノミ ナイネー ボインボインネ コノミ アアイウノネ」
マイクが指を方向には一人の少女がいた。
彼女も金髪で碧眼、体つきは幼く、14歳くらいだろうか
スラリと長い手足に肩ぐらいまでのショートの髪型。
軽く色気を感じる。まるで妖精のようだ。
・・・ゆっくりと大輔はマイクを見る。
「マイクってロ・・・」
「NO!イケナイ!ロリコン ジャナイネ!」
大輔が何かを言おうとしたところ、マイクは険しい顔で大輔を止めた。
なら、マイクに関しては問題がない。
ライは・・・とライをみる。
ライは良い笑顔でカッコつけて椅子に座っていた。髪の毛がぬれていない。
「マイク・・・ライ泳いでなくない?」
「ライ オヨゲナイネー」
「何できたんだよ!」
「ライ キンニク ミセタイネ」
「・・・まぁライは自分が好きだから安心かな」
そう思っていたら、マリーがプールからあがってきて大輔の下に近づいてきた。
「お・・・おぉぉぉう」
すごいボリュームだ。ロリコンのマイクには理解できない喜び。
「そろそろ時間だわ。戻りましょう。よく泳いだわ。」
マリーは水中眼鏡もはずさずに大輔に言った。
「マリー メガネと帽子はずさない?」
「?」
マリーはキョトンとした。男心がわかっていない。
こりゃぁ男関係は安心そうだと思った。
「よくわからないけど、これでいい?」
マリーは水中眼鏡と帽子をはずした。
少しぬれた髪が零れ落ちる。
「リップも塗ってないから、すこし恥ずかしいわ」
マリーはすっぴんだが、もともと化粧をがっちりしているタイプでもない。
「良い、色っぽい・・・」
まるで風呂上りのような雰囲気が大輔の一部を刺激する。
「?大輔、マイクは?」
知らない間にマイクが消えていた。
大輔は周りを見渡すと、マイクはあの幼い妖精のような娘の前にいた。
「マーイク!」
大輔は走っていってマイクへ向かった。
犯罪者を知人のなかから出したくなかった。
たとえお互いに日本の法律外だとしても。
「マイク!」
大輔はマイクのパンツを掴んで引っ張った。
「NO!ダイスケ!NO!」
いろんな意味でマイクは悲痛な叫びが響く。
「ごめんねー」
ダイスケは騒がしくしたことを妖精のような娘に言った。
妖精のような娘が苦笑いをして会釈をした。
そのとき妖精のような娘の携帯電話が震えた。
「どうぞ」
大輔はそう言って手で携帯電話をさした。
妖精のような娘は電話を取った。
・・・ソバニコフ?・・・
電話口から確かにそう聞こえた気がした。が、人様の電話を聞くのは良くない
大輔は手を小さく振り立ち去ろうとすると、その娘も小さく手を振って答えてくれた。
「NO・・・・」
マイクは残念そうだった。
「・・・ソバニコフ、どっかで聞いたな・・・」

大輔たちは更衣室に戻り、ライとマイクは着替えを終わらせ外に出ていた。
アレクも大分調子がもどってそうだった。
「どう、アレク、調子は」
「大分良くなりました」
「良かった。アレクが寝ている間にオレはいろんなことがあったよ。」
「・・・大輔さん」
「ん?なに?」
急に神妙になるアレクに大輔は答えた。
「僕は・・・こんな状態で急に言うのもどうかと思いますけど」
「なに?トイレ?」
「いやそういうのじゃなくって・・・実は」
「?」
「この時代の人間じゃないんです」
「あぁ、そんなこと」
「え?」
「知ってた」
「え?」
「知ってた」
+注意+
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