挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
オーガニクス 作者:
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

15/22

現在編 第五話:「今後ともよろしく」

繁華街にオーガニクスが集結しつつあった。

剣?:大輔、剣:名前不明、斧:賢吾、
弓:マリー、拳:ライ、銃:マイク、
爪:エンプリオ、打:ソバニコフ、砲:モハメッド

オーガニクス達は膠着状態となった。
そんななか、賢吾とライは互いに力を集中し激突させた。
その余波は一帯を吹き飛ばした。

賢吾は呆然とするマリーを見つけ止めを刺すために斧を振り上げるが、
大輔がマリーを庇って攻撃を受けたのだった。
--斧を振り上げながら、また見たこともない記憶がフラッシュバックする。
「巨人が見つかった?」
「はい。あの少年が拾ったと言っていた場所の近くにありました」
その男は部下からの報告を聞きたちあがる。
「そうか・・王はなんと?」
「はい。その巨人には貴方様が乗れと」
その報告に男は唾を飲む。
「もしかしたら・・・これでアイツを戦場に出さなくても・・・良いかもしれない」
呟き拳を強く握る。
俺はあの優しい少年を戦わせてしまっている。
もっとも向いてない事をさせている。
その後悔が何時も心に残る。
少年には悪災といえるあの力があれば、
お互いに苦しみから逃れられるかもしれない。
「ひきうけました。王にはそう伝えてくれ。ご苦労だった。」
「ハッ!」
そう兵士は言い部屋から出ていた。
可能性は低いがこれですべてもとに戻れるかもしれない。
最悪でも一緒に戦う事ができる。
「あの子らを死なせはしない」
俺はそう誓った。
--彼は力の使い方をわかっていないのだ。
この力は守るだけじゃない。
守るだけでは何も変えれない。


賢悟は斧を大輔の体に振り落とす。
その度に鈍い音と黒い飛沫が上がる。
「なんだ?やる気がないのか?」
「・・・・」
賢悟の呼びかけに大輔は反応しない。
と言うよりは反応が出来なかった。
「もういいか・・・そろそろ」
賢悟は斧を大きく振りかぶる。
「・・・!!!」
マリーはうめき声を出し震えている。
好機を狙っていた。大輔の言うとおり自分の役割を果たすために。
「まとめて殺してやる」
斧を振りおろそうとした彼を止める声が響いた。
「そこまでです」
良く響くその声の主はライだった。
「賢悟。そこからは私が相手します」
ライは賢悟の元へ歩き出した。
明かに怒っている。歩き方が伝えている。
「はは・・・死んでないか。さすがは・・・ライか。」
賢悟は軽くライ見てマリーを見る。
「少しだけ長く生きられるな。ハハハ」
賢悟はそう呟き、ライへ立ち向かう。
「俺を忘れてもらっちゃ困る」
上空からモハメッドがライの目の前に舞い降りる。
「邪魔ですよ」
ライは一言呟きモハメッドの横を過ぎる。
「お前、バカにするのも・・・・」
モハメッドは武器である鎖状のハンマーを構え、
「いいかげんにしろォ!」
叫びながらハンマーをライに投げた。
ライは軽く振り向き右の拳をハンマーに合わせる。
裏拳があたり轟音が響く。
「私は邪魔だと言った」
「な・・・」
モハメッドは驚愕した。
彼はライにハンマーを砕かれたのだ。
「・・・死にたくなければ邪魔をするな」
ライはそのまま賢悟へ歩んでいく。


賢悟とライは近距離で向き合っていた。
静かに互いに武器を構える。
「お前は変わった。お前がこの力に目がくらむとは残念だ」
ライはそう告げる。
「・・・お前に評価してもらえるとは光栄だな」
賢悟は静かに答える。
「なぜだ?力の使い方を知っていたお前が・・・」
ライは拳を賢悟に向けるが斧で弾かれる。
「なぜ?わかったからさ。世界はゆがんでいる」
賢悟は淡々と喋る。
「バカな!一人よがりな考えだけで答えが出せるものか!」
ライは叫び問いかける。
「だったら、お前は全力で俺を止めれば良い」
賢悟は左手でライの腕を振り払う。
「な・・・」
ライは賢悟の言葉に無意識に声を上げる
「この巨人が審判を下す。俺とお前達どちらが正しいのか」
賢悟の斧が光をまき散らかしてライを襲う。ライが避け、周囲がめくれ上がる。
「この場所を完全に破壊する事に躊躇はない。そこが俺とお前は違う」
ライは賢悟に力を出しきれない事を読まれていた。
「お前がいくら強くても、抑制がある以上、俺の優位は変わらない」
「クッ」
状況が読まれている。空中で戦おうとした所で賢悟は乗ってこない。
飛んだ瞬間に、大輔とマリーはまた狙われる。
そして戦意喪失しているとはいえモハメッドもいる。
「・・・マズイ状況ですね・・・」
ライは呟いた。
その時、光弾が賢悟の背中を襲った。防御が間に合わず賢悟に直撃する。
「・・・ッツ」
押し殺す様に声を出し膝を突く
「勝った気になるのはまだ早い」
攻撃をしたマイクは瓦礫の中から現れた。
「・・・今ので・・・俺を・・・」
賢悟はユラリと立ちあがる。
「仕留める事が出来ないのは・・・致命的だ」
マイクの目には心なしか賢悟の体が黒ずんだように見えたが錯覚だと思いこんだ。
「まちなさい賢悟。貴方の相手はわたしでしょう」
ライの右腕が賢悟を狙う。
そこにソバニコフが降りライの拳を抑えた。
「あなたも・・・生きていた。」
ライはそういった。
「・・・・・・」
やはりソバニコフは答えない。
「おい立ちあがれモハメッド」
賢悟は冷たく言う。
「ああぁ」
モハメッドはゆっくり立ちあがる。
「結局スタートに逆戻りか」
マイクは軽く言う。
「?少なくとも奥の2体は戦闘不能だ。お前らの不利は変わらん」
賢悟はマイクの言葉を軽くいなす。
「さぁ戦いだ」
賢悟はやさしく話かけた。


目の前で広がる巨人同士の争いをマリーは呆然と見ていた。
敗れる事を考えていなかった訳じゃない。
この戦力では消耗するしかないことを理解してしまった。
「私は・・・どうすれば・・・」
マリーは考えた。
「マリーは隊長だろ」
大輔の言葉が頭に響く。
「・・・そう。そうだ」
マリーは自分がやるべきことを思いだした。
「私は私のやれることをまだやれていない。」
マリーは大輔を優しく寝かし、立ちあがる。
大輔から生気を感じる。
「大輔・・・まだお互い生きていたら・・・」
決意を固め目線を改め彼女は向う。死線へ。


マイクはモハメッドのハンマーをギリギリで避けた。
「しぶといヤツだ!」
モハメッドは仕留められない苛立ちを声に上げる。
「静かにしろよ!」
マイクは転がりながら銃を撃つ。
その光の弾はモハメッドの左腕を捕らえふき飛ばす。
黒い液体が飛沫を上げる。
「俺の腕を・・くそぉぉ!」
モハメッドは無くなった腕の根元を光らせ左腕を再生する。
「やはり簡単には・・・さすが巨人ってことか」
マイクは変に納得し構えなおすが、悪寒を感じその場を離れる。
その瞬間にマイクいた場所は粉々になっていた。
「・・・・・・」
ソバニコフの棍棒がその場所を砕いていた。
「ま・・・またお前か!やりにくいんだよお前は!」
マイクは心から嫌だった。
「・・・・・・」
ソバニコフは棍棒を振り上げるその時、激しく光が溢れた。
「私はまだ戦える!」
「マリー!」
現れたマリーにライとマイクは同時に彼女の名を呼ぶ。
「・・・弓か。さすがに長距離二体は面倒だ・・・」

賢悟は隙を見せたライの脇腹に斧をめり込ませる。
ライはうめき声を上げる。膝を着く。
「一体増えて余裕のつもりか?」
脇腹を抑えライは後ずさる。賢悟は斧を強く握る。
その瞬間、無数の光の矢が賢悟をとらえ、吹き飛ばした。
「仲間をやらせない!」
マリーは叫ぶ。
「なんだ!お前は!」
モハメッドがマリーに襲いかかる。
「甘い!」
ライつめたく喋り右腕に理力を込め、モハメッドに撃ち込んだ。
激しく閃光起こりモハメッドは衝撃で宙に舞う。
「・・・これ以上は消耗戦か、戦局を変える必要があるな」
賢悟は斧を頭上に上げた。
「?何をする気だ?」
マイクは問いかける。
「吹き飛ばしてやる!お前らも!街も!」
賢悟は叫び斧を光らせる。
「くそ!」
マイクが一言漏らしマリーとは賢悟を狙いを合わせ弓と銃を構え攻撃を開始する。
光弾が賢悟を襲う。
「・・・・・・」
しかし賢悟の前に立ったソバニコフがさえぎった。
「またアイツか!」
マイクは吐き捨てる。
あの光の量から威力は絶大な物になる。
「まずいですね・・・」
ライは静かに囁く。
「理力を防御に向けて。ここを崩壊させる訳には・・・」
マリーは二人に指示をする。
「あ、あいつ!」
モハメッドは賢吾の動きを悟り、防御した。


「・・・」
「・・・?」
「・・・さん・・・」
「・・・あと・・・五分・・・」
「!?なにを言ってるんですか!」
「え?」
「大輔さん!おきてください!」
「もーなんだよぉ、つけれている感じなんだけど」
「目を覚ましてください!呼んでますよ!」
「何がだよー。つか、あんたダレ?」
「僕はアレクって言いま・・・そんなことより、意識をつなぎますよ!」
「はぁ。何を言っているのかね、アレクとやら」
「・・・だめだ、だめだこの人は、だけど、この人なんだ、変える事ができるのは」
「繋ぎますよ!」
「・・・大輔!大輔は何やっているんだ!」
「・・・力の限り戦っていた彼のためにも!」
大輔にマイクとライの声が聞こえる。
「?え?」

「大輔・・・!私に力を・・・」
最後にマリーの声が聞こえた。


「・・・うわぁああああああああああああ!」
マリーの声に彼女の危機を感じた。
大輔のオーガニクスは直ぐに、飛び起きた。
目には激しい光が灯り体全体を輝かせた。
直感でオーガニクスたちが戦っている場所を見る。
「今、行く!すぐにイク!」
大輔は光をまとい飛び出していった。

その光景を見ていた少年がいた。
呆然としていたが、意識を取り戻し微笑んだ。
「・・・すごいな、あの人は。でも、これで・・・僕も・・・オーガニクスを呼べる」


「消えろ・・・!」
賢悟は斧を振るい、まばゆい光が彼らを襲うはずだった。
だが、最大まで力をこめた一撃が抑えられている。
「また・・・またお前か!」
賢悟は猛り叫んだ。
「・・・・・・」
ソバニコフも驚いた様だが声は無かった。
「!!!」
マリー、ライ、マイクも言葉を失っていた
「びっくりした?」
彼ら三人の前に立ち賢悟の理力を抑えていたオーガニクスは飄々と聞いてくる。
「・・・」
三人は言葉を失った。
深刻な雰囲気を覆す男は一人しかいない。
「大輔!」
マリーは叫んだ。信じられないさっきまで瀕死だった男が立っているのだ。
「いやぁひさしぶり。」
大輔は理力を抑えながら振り向かずに答える。
「ひさしぶり。じゃない!どこにこんな力が・・・」
マリーはまだ信じられない。
「耐えれるんですか?」
ライはそう聞いた。一人の力で賢吾の理力を抑えている。
「わかんないけど・・・こんなんじゃ死んでられんでしょ」
大輔の体が眩しく光っている。
「なんか理力?の使い方わかってきた。」
大輔の光が賢悟の光を打ち消す。
「な・・・」
賢悟は驚きの声をあげる。
彼の放った光が消え、大輔も消えたのだ。
「どう言う事だ?」
「こんな感じ」
賢悟の後から声が聞こえたそこには
一回り大きいオーガニクスがいた。
「お前は・・・」
体の一部が模様のように光るそのオーガニクスは大輔の声で
「やりすぎだバカ」
と言い賢悟を殴った。
賢悟は吹き飛び地面へ激突する。
煙が立ち昇りマリーたちの周りが見えなくなる。
「ば・・・ばかな!」
「・・・・・・!」
ソバニコフとモハメッドは移動したとは思えないその速度に驚愕した。
大輔は二人を見つめ言う。
「おまえらこんな下らない事してないでアイツつれて帰れ。」
「な・・・」
モハメッドを聞き震える。
「バカにするなー!」
モハメッドは武器を振りまわす。が大輔はもうそこには居ない。
「な・・・」
モハメッドは慌ててあたりを見渡す。
「う・し・ろ」
その声に慌ててモハメッドは後を振りかえる。
すると打音が響く、大輔がモヘメッドにデコピンをしたのであった。
凄まじい衝撃だ。
「ダ・・・」
モハメッドはよろめきながら頭を振る。
「・・・・・・」
ソバニコフは喋らず。下降していく。
「もう良いだろ。消えちゃえよ。もう二度と姿を見せるな。」
大輔は淡々と伝える。
「クソ!」
モハメッドもソバニコフに続き下降する。
「なんだ・・・なんだアイツは・・それにあの体は・・・」
モハメッドは大輔の巨大な力とその一回り大きい、
さっきまでとは違う体に疑問を持っていた。
明かに力の差がある。それを感じていた。
下ではソバニコフが賢悟を引き上げ担いでいた。


大輔は上空を見て続けて伝える。
「あんたも、帰ってくれないか。頼むよ」
上空にいる剣を持つオーガニクスに声をかける。
彼は少しだけ休むことができた。時間は15分ほどだが十分だった。
「・・・お前が、リボーンしたのであれば・・・帰ることはできない・・・」
(それに・・・この時代でなくても、帰る場所なんてない)
大輔はリボーンしていた。対抗できるのは彼しかいない。
「・・・俺は、大輔。あんたは?」
「・・・すまないが、名前を言うのは苦手だ・・・スミスだ。偽名だがかまわないだろ?」
彼はもっとも印象に残っている名前を偽名として使った。
カルバンとの戦いで名前を教えた事を後悔していた。
「いいさ。俺は俺のポリシーを通しただけだから」
二体のオーガニクスが見詰め合う。
「・・・リボーンしたオーガニクスは、リボーンしたオーガニクスだけが!」
スミスのオーガニクスが光り輝く。そして、光となって大輔に向かってゆく。
大輔は剣を振り上げると互いの剣が激しくぶつかった。
スミスのオーガニクスは一回りでかくなっていた。
オーガニクスは乗り込んだ人間の意志の力がオーガニクスの許容量を超えた場合は
リボーンする。つまりはオーガニクスとして新しい体を手にいれ、生まれ変るのだ。
そしてリボーンしたオーガニクスはリボーンしたオーガニクスでしか倒せない。
その力はすさまじく、大輔とスミスがぶつかった衝撃が広がる。
瓦礫が吹き飛び二人はクレータの中にいた。
「こんな力か!スミス!付き合ってもらう!」
大輔は空に上がり、理力を飛ばす。
しかしその場所にすでにスミスはおらず、大輔の後ろにいた。
リボーンしたオーガニクスは瞬間移動ができる。
「・・・付き合おう」
スミスはそういって大輔を後ろから切りつける。
スミスは、大輔が自分の力が強すぎることに驚き、
スミスを空へ誘った事をわかっていた。
「ありがとうよ!」大輔はその攻撃をうけ、
スミスの武器と大輔の武器が重なる場所から光が飛び散る。
大輔は距離をとり、スミスの瞬間移動する。
「で、できた!俺にもできた!」
「せめて後ろをねらえ、離れて戻ってきて何の意味がある」
スミスは大輔の腹に手をつけ理力をこめる。光が収束する。
大輔は直ぐに消えて、スミスの上空に瞬間移動した。
「あいつ、あぶねぇ、手加減を知らない」
大輔は額をぬぐう。
自分がオーガニクスで、
汗をかいているわけではないがそんな行動をとった。
「俺の目的はお前を倒すことだからな」
その声が聞こえて、大輔の背中で光が爆発する。
「うお!」
大輔はのけぞり、振り返り空中で停止する。
「・・・強いね、あんた」
大輔は武器を構える。
「・・・やりにくいな。お前は。オーガニクスを降りる気はないのか」
リボーンしたオーガニクスを相手にするのは初めてではないが、
カルバンのときとは違う。彼には敵意を感じない。
「そんな気はないね。やることがあるからな」
「・・・残念だ。交渉は決裂だな」
二人の武器が重なり光が生まれる。


マリーたちは上空に散らばる光を見ていた。
夜の漆黒の中に光が点々と散らばる。
そのいくつもの光は大輔とスミスの交戦を表していた。
その光をオーガニクスたちが見ていた。
リボーンしたオーガニクスの力が彼らに語っていた。
二人の間に割り込むのであればリボーンをするしかない。
戦いを忘れその光を見ているオーガニクスたちから距離をとり、
大輔とスミスを見つめる少年がいた。
「そろそろ止めないと・・・」
少年の名はアレクと言った。


大輔とスミスがぶつかり合う。
「お前は!この力でどーしたいんだ!」
大輔はスミスに向かって叫ぶ。
スミスの剣の攻撃はとまらない。
「俺は全てのオーガニクスを倒す。お前もだ。大輔」
「あー!もー!」
大輔はスミスを倒すことに集中できなかった。
大輔は人を見る目に絶対の自信があった。
彼のカンが告げる。スミスは悪い奴ではない。
だが何もできない。伝わらない。
それがもどかしかった。
その時だった。大輔とスミスの動きが止まる。
二体は距離をとり、下を見た。
一点から強大な力を感じる。大輔やスミスの力の比ではない重圧。
そこには一人の少年アレクがいる。

そして大きな破裂音が鳴る。
二人は、いやその場にいる全員が目を疑う。空間がゆがんだのだ。
アレクの頭上に指がゆっくりと出て、空間を掴んでいる。
「・・・現れたな・・・」
スミスは息を呑む。彼をこの場所につれてきたあのオーガニクスを感じる。
「あ、あれはやばい」
大輔もつぶやく。
指は空間を広げ、ゆっくりと腕を見せてゆく、オーガニクスはリボーンしているわけではない。
ゆっくりと、体を出してゆく、あのオーガニクスはあの少年アレクのものだ。
それは皆、理解していた。しかし疑問がある。
アレクはそのオーガニクスに乗っていない。勝手に動いているのだ。

そのオーガニクスは膝を突き、胸を開いた。
アレクはそこに吸い込まれるように入る。
「お前は後だ大輔。今なら!」
スミスは大輔を一瞬だけ見てすぐにアレクを見た。
「・・・あいつは強力すぎる」
スミスは今リボーンしている。瞬間的にアレクの後ろに立つ。
直ぐに剣を振るう。
だがそれはアレクの剣に防がれた。
スミスの声がスミスの頭に響く。
「ここは、そこにいるオーガニクスと共に退いてくれませんか」
何かが違う。アレクの力はオーガニクスであってオーガニクスを感じない。
何もない空間からオーガニクスを出現させ、
リボーンしたオーガニクスの攻撃を、リボーンしていないアレクのオーガニクスが耐えている。
「・・・」
スミスは言葉を失う、胸騒ぎがする。
不気味さを感じる。アレクはまだ、何かを隠している。
「興味を引くことを伝えます。あの、斧のオーガニクス。あの人は長村賢吾さんです。
あの人を連れて離れて、退いていただけませんか」
アレクはスミスに伝えた。
「・・・ここは退こう。だが、俺はお前の前に立つ」
「わかっています」
スミスの呼びかけにアレクが答えるとスミスは消え、
ソバニコフと倒れた賢吾の前にたった。
「・・・わかるだろ。お前は俺には勝てない。そいつと共に逃げるぞ」
ソバニコフはゆっくりとうなずいた。そのときだった。
「誰がわかるかよ!」
エンプリオが襲い掛かる。
スミスの右腕がエンプリオののど元を掴む。
「彼は、お前の仲間か?」
スミスはソバニコフに聞く。するとソバニコフは首を横に振った。
「そうか」
そういうとスミスはエンプリオの胸元に剣を突き刺しそのまま横に流した。
「ガ・・・」
スミスはリボーンしている、通常のオーガニクスが勝てるわけがないのだ。
スミスの体をエンプリオの黒い液体がぬらす。
「な、なんなななな、お前、俺と手をくまねぇか」
それを見ていたモハメッドはスミスに話しかける。
「お、お前と俺が組めば世界は俺のもんだ。どうだ?」
「・・・彼は、お前の仲間か?」
スミスはもう一度ソバニコフに聞いた。
しかし答えたのはモハメッドだった。
「もとから、数減らしで組んだだけだ。仲間じゃねぇ。俺と組もうぜ、な!」
最初からその約束だった。数を減らして最後に生き残る。
それがモハメッドの目的だった。
この力を持つ唯一のものとして、君臨する。それが目的だった。
そのモハメッドの言葉を聴いてソバニコフは首を横に振った。
「そうか」
スミスはそう答えた瞬間だった。
モハメッドも気がつかなかっただろう。
スミスの目的がオーガニクスの殲滅であることを。
スミスはモハメッドの後ろに現れ、剣を掲げた。
「交渉は決裂だ」
スミスはそのまま剣を振り下ろす。モハメッドは二つに分断された。
このわずかな時間で2体のオーガニクスが倒された。
そのまま、スミスは倒したオーガニクス2体を抱える。
そして大輔をみる。
「・・・どちらにせよお前は戦いにくいな。仲間も今はそのままにしておいてやる。
だが・・・次はない。アレク、お前もこのままにはしておかない」
スミスはそういうと、ソバニコフが賢吾を抱えたまま、空を飛び距離をとった。
それに続きスミスも空を飛び、消えた。
マリー達は呆然としていた。呆気ない二体の最後に力の差を感じていた。
どちらにせよ、一旦、大輔たちの脅威は去った。しかし、問題は残っている。
大輔、マリー、ライ、マイクは皆ある一点を見た。
アレクと名乗る少年のオーガニクスである。
「あの・・・」
アレクの声が全員に響く。
「な・・・なんだ。」
マリーが構えて口を開く。
「アレクといいます。戦う意思はありません」
アレクが呼びかけたとき大輔がマリーの近くへ瞬間的に移動してきた。
「きゃ!」
マリーはおかしな声を上げる。
「フヒヒ。やっぱりかわいい、いや、今は違う。ちょっとみんな集まって」
「?」
マリー、ライ、マイクは大輔に集まる。
「作戦会議だ。あいつさ、名前を自分から言うからいいやつだと思うんだよね」
「確かに、邪気は感じられないが・・・さっきのを見た?私たちのオーガニクスとは少し違う」
大輔の言葉にマリーは観想を言った。
「私は大輔のしたいようにすればいいと思います。ここは君に救ってもらった。何があっても文句はない」
「つか、そのまえにお前のオーガニクスなら勝てるんじゃないのか?」
「いや、わかんないな。さっきのスミスってやつらなら、とおもったけど
スミスは急にやる気になると怖いな。躊躇がない。でもなんか、悪い奴じゃ・・・」
「大輔、今の問題はスミスじゃない」
マリーが大輔に冷静に指摘した。
「あぁそっか。まぁでも仲良くなれそうな気がするよ、アレクとは。助けてくれたしね。
あのまま戦いが続いていたら、俺かスミスがどちらかは消えてた」
「で、どうしたい?」
マリーは改めて聞いた。大輔に救われたのだから大輔の意思を尊重したいとおもった。
「俺は・・・話がしたいね。聞きたいことがある」
大輔が決めた。
「文句はありません」
「俺も」
「私も」
気持ちは決まった。
「信じてもらってありがとうございます」
アレクがそう言った。
「え?」
大輔はキョトンとする。
「・・・聞こえてましたよ」
アレクが答えた。
その言葉で大輔は恥ずかしそうにゆっくりアレクに近づき、
右手を差し出した。


「今後ともよろしく」
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ