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揚物語

 僕は揚げ物界において、非常に地味ながらにして、人気のあるかき揚げである。
 そして、あそこのバットの上に並んでいるのが、揚げ物の中の揚げ物、唐揚げである。
 唐揚げは、いつもは、カラっと揚がると冷めないうちに食べられる。
 しかも、大量につくられても、子供も大人も皆食べるから、直ぐに無くなってしまうのだった。
 それに比べて僕はどうだ。
 僕は地味なかき揚げだ。
 冷めても、天つゆをかければ、美味しく食べることができるが、老若男女問わず人気と言うわけでもない。
 それでいても、天ぷら界ではナンバー2だ。
 でも、僕がナンバー2ということは、「ナンバー1は誰だ」、ということになるだろう。
 それは、海老天である。
 海老天。
 天ぷら界の王道。
 王道にして頂点。
 勿論冷めても天つゆをかければ美味しいのである。
 しかし、あそこに置いてある天ぷらは、逆に冷めさせられているではないか。
 しかも、なんだ、あのポージングは。
 いやらしい。
 人間達には、理解できないかもしれないが、あのボディの反り具合と、あの尻尾のキュートさがたまらない。
 その海老天は、扇情的なポーズをしながら、扇風機で冷まされている。
 そう語っているうちに、お腹が空いてきた。
 今日は何かな。
 天ぷらかな。
 そう思っていると、いきなり、子供が僕を手で掴みだし、僕を汁のいれてある皿にたっぷりとつける。
 「おいしそうなかき揚げだ」
 子供はそう言って、大きな口をあけて、僕を食べてしまった。
 「うん、おいしい」
 子供は、笑顔で「おいしい」と言った。
 それが、僕にはどれだけ嬉しかったかは、人間にはわからないことだ。
 数分後、子供は唐揚げの置いてあるバットのほうを覗き、周りを確認しながら、唐揚げを食べた。
 つまみ食いである。
 「やっぱ、かき揚げより、唐揚げのほうがうめぇ」
 子供はそう言った。
 僕は悲しかった。

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