天に集うは天使
「本当に、これでよかったんだな?」
時任は、後ろで輪ゴム遊びをしている火昏に聞いた。
まったく、勤務中にそんなレトロな遊びをしてるとは、個性的というべきか、自然体というべきか……。
時任は、有能なのに性格で損している火昏を、すこし哀れに思っていた。
「いいんだよ、時任」
緊張感のない声で、火昏がこたえる。
「それより、もうすぐ、迎えに行かなきゃいけないぞ? 『希望』と『壁』を」
「それはそうだが……」
「ついに、呼ぶのか……」
「なーに、男ふたりして深刻な空気になってんの?」
後ろから聞こえてきたのは、伍洞の静かな声と、神楽の高い声。
「神楽、俺は深刻になってたつもりはないぞ。深刻になってんのは、時任」
「確かだな」
コートのフードで顔を隠しながら、伍洞がいう。
「もうすぐ着くわよ、二人が」
いつの間にか現れていた市が、ディスプレイを凝視している。
その隣の、女性にしては背の高い、市の胸くらいの少年が、時任を見上げる。
「姉さん、時任さん、僕、行ってこようか?」
「いや、オマエはまだいい、裏葉」
「ちぇ」
裏葉と呼ばれた少年は、唇を尖らした。
「……私は……?」
漆黒の闇に包まれ、女性が現れる。
女性に気づいた火昏が、彼女の名を呼んだ。
「おお、霧坂。キミの出番も、まだこないぜ」
「いいの……私は……斬りたいだけ……それだけで……いい……」
「わかったわかった、だからおとなしくしててくれ」
霧坂の危険な発言に、こまったもんだというふうに静止をかける時任。
「そろそろのようね……火昏、許可を」
市のことばに、火昏は口を開く。
「じゃ〜、計画開始といきますか〜?」
その声に、その場の人間たちがいっせいに消え去った。
彼らは、それぞれの任務を果たすべく、ある者は誠実に、ある者は不穏に、ある者は気楽に動き出す。
「さ〜て、どうなることやら」
自分しかいなくなった部屋で、火昏はニヤリと笑った。
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