奇跡のカケラ(7/16)PDFで表示縦書き表示RDF


奇跡のカケラ
作:光璃



No.6 キャンプ


 優輝は、朝早くから起きて、昨夜用意したバッグの中身を点検していた。
 チャラン、チャララン♪と携帯の着信音がなる。よくみるとメールが三通くらいたまっていた。
「はいはーい♪」
『優輝?なんでメールでなかったの?体調悪い?』
 心配そうな瑞希の声が聞こえた。
「そんなことないよ。それよりどうしたの?」
 瑞希はあの日以来、元気を取り戻してきていた。というか、前より心が強くなった気がする。傷やアザもだいたいは治っていた。
 今日は四人でキャンプに行く予定だった。集合は10時のはず。
『んー、私、ワイシャツきたいんだけど…手首の傷かあるし…どうすればいいのかなって』
 リストカットの事だとすぐにわかった。あの二人にはいってなかった。優輝は考えて答えた。
「瑞希、ワイシャツはきていいから。集合より30分前にきて」
 わかった、と言い、その後簡単な話をして電話をきった。
 優輝は、着替えをすませると、バッグの中身を全部いれ、あるものをとって集合場所にむかった。

     †

「優輝〜!こっちだよ」
 瑞希が手をふっていて優輝はそっちにむかった。
「ごめん、待った?」
 瑞希は首を振る。
「ううん、今きたとこ。それより手首…」
 優輝はバッグの中からラッピングされた袋を取り出してあげた。
「プレゼントだよ」
 袋をあけて、入っていたものはラメが入った可愛いリストバンド。
「これでばっちり隠せるでしょ?」
 瑞希はそれをさっそくつけて微笑んだ。
「ありがとう!大切につかうね」
 付けていても、オシャレにしか見えない。前から選んでいたものだが、中々渡す機会もなかったから家に置いていたのだ。
 そして10分後、男子二人が到着。
「遅いよ〜!」
「ごめんごめん。てかまだ遅刻じゃないじゃん」
 確かに今は九時五十五分。すると相馬が悟の頭を叩いていった。
「こいつ、今日九時にいきなり花火がない、とか言いだして。大慌てで買いにいったんだ」
 悟があわてて弁解をはじめようとする。でも優輝と瑞希はそれをさえぎってプッと笑いだした。
「うっわ、悟ダサ!」
「かっこわる〜」
 悟は、顔を赤くして相馬を叩く。
「黙っとけっ、ていったろ!」
「さぁねぇ」
 相馬はしらばっくれている。その二人の姿がまたおもしろくって、みんなで笑った。
「ここにするか」
 相馬のその一言で、バーベキューの準備を優輝と瑞希が、テントを悟と相馬がし始めた。
 そして準備が終わって、河でみんなで遊んでいるとき、優輝は思い出した。
「そうだ。やっぱり歌詞考えたんだけど…上手くいかないんだ」
 優輝が申し訳なさそうに言う。でも相馬が微笑んで言った。
「急がなくていい。お前のペースで、ゆっくりいけばいいんだ」
 その言葉が嬉しかった。うん、と優輝は頷いた。しると相馬が何かを渡すしぐさをした。
「手、だして」
 そして、その手に握らされたのは四つ葉のクローバーだった。
「今さっき見つけたんだ。やるよ」
「ありがとう!」
 すると悟がいきなり優輝を呼んだ。
「吉崎〜!ちょっと、こっちきて」
 この一年間で相馬と悟も優輝達へのサン付けはなくなっていた。
「なに?」
 悟は、岩と岩の間をのぞいていた。そこには小さな蟹がいた。
「わっ、かわいい!」
 二人ではしゃいでいたら、瑞希に呼ばれた。
「バーベキュー始めるよ!手伝って〜」
 はーい、と返事をして瑞希のほうにかけていく。
 バーベキューは本当においしかった。お腹いっぱい食べたあと、みんなで石を投げて遊んだ。
 いろんな遊びをして、いつの間にか日が沈みかけ、三日月がでていた。
 ということで、メインの花火をはじめる。とても綺麗で、思わずみとれてしまった。
「優輝、最後に線香花火しない?」
「賛成!」
 パチパチとかわいい音をたてながら光を放つ。星がおりてきたようで、とても綺麗だった。
「優輝はさ、好きな人とかいないの?」
「――なんで?」
 瑞希が、優輝の方を見つめながら言った。
「いや、ほら。私は優輝にいろいろ助けてもらったじゃない?でも私はなんにもしてないし…」
 優輝は線香花火に視線を戻し、あたりまえのようにいった。
「…私は、好きな人はいないし、きっと―――これからも、出来ないと思う。それに、瑞希には、いつも助けてもらってる。私がしている事は、あたりまえなんだよ」
 瑞希が、悲しそうに聞いた。
「どうして、好きな人ができないの?」
 優輝は、その質問に少し戸惑った。でも、微笑んで言う。
「つくる気ないし、私は友情だけで十分だよ」
 瑞希は納得いかないようだったが、本当のことも言えないし。なんとか、誤魔化して話をそらす。
「もう寝るぞ〜」
「はーい」
 テントをくぐって布団に優輝と瑞希、二人で入る。つかれていたのか、すぐに寝てしまった。












ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう