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奇跡のカケラ
作:光璃



No.11 オモイが通じた夜


 ライブが終わって、みんなで打ち上げに行った。優輝たちはみごと一位。
 でも、優輝は感じていた。自分の体に限界を…
 きっと、県大にはでられない…だから。一生懸命に考えたすえで優輝は決意した。
「みんな、ちょっと話があるんだ…」
 優輝のいつもと違う様子に、騒いでいた三人は口をふさいだ。
「私…きっと県大にはでられない」
 えっ、と驚きを隠せない様子だった。でも、優輝は言葉を続けようとした。
「だから、私の…」
「どういうことだよ?」
 悟がそれを打ち切った。たえきれないらしい。優輝は目線をそらして一時、黙り込んだ。
 悟には…いいたくないんだ。嫌われちゃいそうで。でも…私は、決めたから。仲間に隠し事はしないって…
「私、病気なんだ…」
 優輝が、うつむきながら勇気をだして…言った。みんなの表情がわからない。
 悟が、信じられないといった様子で訴える。
「そ、そんな…別に軽い病気なんだろ?そんな…」
「違うッ!そんなに軽い病気じゃない…私」
 涙が流れた。一番言うのがつらかった。
「もって、あと二ヵ月かもしれないの…」
 もう嘘をつくのは嫌だから…。
「その前に…最後にみんなでライブできて本当に、よかった。――――これが、悟と付き合えない理由。私なんかよりもっと…」
「―――どうして」
 瑞希が、優輝の言葉をさえぎった。
「どうして、言ってくれなかったの?」
 優輝は、とても小さな声で、ごめん、とうつむいていった。
「―――ずっと一人で、抱え込んでたの?!」
 え…。びっくりして瑞希をみると、泣いていた。瑞希は優輝を強く抱き締めて言った。
「優輝は、私を助けてくれたよね?私も、優輝を助けたいよ…私たち、仲間でしょう!?つらい事ならわけあっていこうよ、一緒にいようよ…」
 あの相馬が、泣きながら言う。
「ライブ、最後なんて言うなよ!優輝、お前なら絶対大丈夫だ。自信をもって…俺たちを信用しろ!」
 悟も、泣きながら、言った。
「俺は優輝が好きだ!優輝よりいい奴なんていないんだよ、それだけで嫌いになんかにもならない」
 瑞希が、体を離して言った。
「優輝は、悟のことが好きなんでしょう?」
 優輝は、止まらない涙をおさえながらコックリと頷いた。
「ならいいんだよ。そんなの、誰にだって、人と付き合う権利はあるんだよ」
 コクコクと頷いて、優輝は、悟を見つめて一生懸命に言った。
 ずっと、ためていた、我慢していた想い。今、きみに届け―――…
「私と…付き合って…くれますか?」
 悟は、涙をぬぐって優輝に抱きついた。
「そんなの、決まってるだろ!…俺のほうが、気付いてやれなくて、本当に…ごめんな」
 その夜は、芝生でずっと泣いた。でも、やっと四人のおもいが一つになれた、最高の夜だった。

     †

 それから、優輝は入院生活に入って、みんな毎日お見舞いにきてくれた。相馬と瑞希は、先にかえって、悟が面会時間ぎりぎりまで残る。
 それが毎日のパターンだった。
「悟、こっちきて」
 体をおこして、自分の横をポンとたたくと、悟がベッドに移動して座る。
 優輝は、自分の願望を悟に言った。
「手、つないでいい?」
 悟は、笑顔で、答えてくれた。
「おぅ」
 悟の右手に、両手をからませる。そして、悟に体をよて、頭を肩にのせた。
「俺、優輝といられるだけでいいから」
 悟がいきなり言った。それに優輝も答えた。
「私も、悟といられるだけで十分だよ」
 にっこりと笑う。そう想ってくれるだけで、こうできるだけで幸せだった。
「優輝」
 名前をよばれて、両手をからめたまま、悟のほうを向く。すると、左手を優輝の頬にあてて、優しく…
 …唇には、きみのあったかさだけだ残った。
「私、ファートキスなんだよ」
 微笑んで言う。なんだか照れちゃうな。
「偶然。俺も」
 コツ、とおでこをくっつける。
 なんでだろう。なんだか、少し…
「ど、どうしたんだ?」
 不安そうに悟が優輝の様子をうかがう。気付けば、涙が流れていた。
 優輝は、悟に抱きつきながらいった。
「幸せすぎて…恐いの」
 いつか、なくなってしまうかもって。
「…馬鹿、心配すんなって。きっと、大丈夫だ」
 きっと…。それは【奇跡】を信じる言葉。【奇跡】はなかなかおきないから、そう名付けられた。
 信じて待つしかない。この世は、漫画みたいにハッピーエンドとは限らない。悪は、正義に勝つこともある…そんな世界。
 それでも、優輝は信じていた。生きて…みんなと一緒にいたいから。
 でも、優輝は自分の体に、また、小さな変化を…覚えていた。












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