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夢と幻のキネマ館 作者:黒枝 静

『光と影のドミノ』

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1.プロローグ「覚めない夢、愛のありか」



1.プロローグ「覚めない夢、愛のありか」


 こんな夢をみた。
 自分の住んでいる町が、微塵に破壊された夢。
 それが夢だったのか、一瞬思い違うほどのリアリティと、あまりに壮大な光景に、悲しみを思い浮かべた――反転――それはすぐに、自分の心の中を満たした。次に訪れたのは、幸福だった。
 もしこんな夢が叶ったら。心の底で想い続けた、心の風景が、幻想を飛び越えてやってきたのだ。感動は素早くその心を震わせた。
 願いが叶ったから? それとも、心の中で、本当は泣いているのか……ずっと、心臓が高鳴りを続けている。突然、足元の地面がバリバリに砕け散って、その真っ黒な亀裂へと吸い込まれていった。それでも昂揚はやまず、涙は止まらず、その穴へと落ちていった。
 まるでプールの中。浮遊感と、抱擁感に満たされ、また夢をみた。
 途方もない夢から夢へと、さらなる飛行を繰り返しているうちに、明確な都市の形を見失った。そこに文明は無かった――そう。文明は無くなった。どの地上を探しても。
 その時、激しい電撃。
心の中に流れ込んでいた高鳴りは、死を覚悟した心臓のように、徐々に力を弱くしていった。そのかすかな音さえも逃さないと耳を澄ましても、ああ、元々心臓などあっただろうか。と思い直すのだった。はっと気づけば、耳も口も、体の部位も破片として残っていなかった。
そして、一つ疑問が浮かんだ。
 夢はいつから見ていたのだろう。この風景からは、いつ帰れるのだろう。
 しかし、もう帰れない。それを自問自答で聞いた。もう帰らなくていい。と。
 ――私は、夢から覚められないことに気がついた。




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