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夢と幻のキネマ館 作者:黒枝 静

『翡と翠のメリー』

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1.プロローグ



 1.プロローグ


 例えば、イギリスに突如として現れ、混乱に陥れた超級の怪物『揺籃のシュブ=二グラス』。
 イギリス全土の国民の性別を乱し、穢れしソドムとも劣らぬ混沌の都市を生み出した。
 その怪物は、「ネクロノミコンの予言書」にはこう記されている。

  ――二×××年。女王の国に鉄槌が下る。
全ての生命を生み出し、新たなる命の時代を築きし者。千の仔を孕みし森の黒山羊。
  かの王の名は『揺籃のシュブ=二グラス』。
  その怪異は遍く性別を冒涜する。

 不可思議極まりないこの予言は的中した。イギリス全土の男女が肉体を変え、怪物同士の生殖行為にふけるようになった。
 ――イギリスは、その時に崩壊を迎えた。
 誰もがイギリスの崩壊を、世界に蔓延る害悪「宙色の怪物」の所為だと疑うことはなかった。しかし、対抗するにも、地球人には「宙色の怪物」に立ち向かう力は備わっていない。
 わずかに魔術の心得のある者だけが、これに立ち向かうことが出来た。
 この物語の彼女も、そのひとり。

屈強なる怪物、その王が降誕した「原初堕神」。それこそ、すべての元凶である。
 世界全体を「天蓋」で覆い、わずかに太陽の光を遮る「膜」を生み出した。
 そして連なる「堕神」。これを許容する「扉」としての役割。
 観測所が「Sランク」に指定した怪物。
 世界を崩壊に導く個体に与えられる等級。「人類絶滅」を示すもの。
 その名は、『原初の―――――』。
大魔王。創世神。すべての怪物の母にして父。

 宙色の地球で繰り広げる、暗黒童話のはじまり、はじまり……。
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