葉山 優也 1
中学時代バスケット一色だったオレは、高校に入ったらいろんな楽しいことをしようと心に決めていたから、比較的校風の緩やかな高校を選んで受験した。私立でそこそこの進学校だったからそれなりに、というか結構ハードルが高かったけど、部活引退後の勉強と先生受けのいい性格をフルに活かして推薦で合格することができた。
そんなわけで、無事高校に進学したオレは今までの詰襟からブレザーへと変わった制服に若干の違和感を覚えながらも、新しい生活をスタートすることになった。
まあこの高校にもバスケ部はあり、中学の時に同じバスケ部だった立花貴弘に無理やり見学に連れて行かれたけれど、オレはそんなもんにはもう入部する気は無かったのでしつこく誘う貴弘にはお構いなしで、それ以降一度も行かなかった。
ここでこの立花貴弘について少し話しておこうと思う。ここから先の話にも関わってくる一人だし。
中学のときに同じバスケ部だったということはさっき言ったけれど、それ以上に一番仲のいい友達だった。こう言うと安っぽくなる感じがして嫌なんだが、簡単に伝わるのであえて使うけれども、親友ってやつだ。中学のときの思い出で貴弘が出てこないシーンなんてのは両手の指で数えることができるね。多分。
190近い長身でバスケもうまく県内ではちょっとした注目選手だった。実際、バスケの強豪校から何校か誘いもあったらしい。それなのにオレがこの高校に行くと言った時に「じゃあオレも」とその誘いを断って、こんな地区大会を勝ち抜くのがやっと(これは貴弘から聞いたんだけど)といった高校に来てしまうんだから変わったやつだと思う。貴弘ならオレのみていた夢の近いところまでなら叶えてしまうかもしれないのに。正直羨ましいし、ちょっとした憧れもある。顔もいいし。そういえば、中学の時にはこいつ目当てのギャラリーが体育館に必ずいたっけな。
そんで、こいつはオレとは違って高校でもバスケ部に入って今もひたすら汗を流してるってわけだ。お疲れさん。まあ、貴弘ならすぐにレギュラーになって活躍すると思うね。陰ながら応援してるよ。
それでは話をオレのことに戻そう。
バスケ部はもちろん、ほかのどの部活にも入らず帰宅部となったオレは、高校に入る前から考えていた事のひとつ、バイトを始めた。別にバイトがしたかったわけじゃあなくて金を貯めてバイクの免許を取るためだ。昔から雑誌やカタログなんかを買って見るくらい車やバイクが好きだったからバイクをいじったり、ツーリングに行ったりなんてことに憧れていた。その後ろに彼女でもいれば言うこと無いんだけどなあ。今のところそのあては無いわけで、まあこれは今後ゆっくり考えようか。
さて、もともと目標があるとがんばれるタチだから、初めてのバイトもその中での人間関係も無難にこなすことができていたと思う。たださすがにいくらがんばるといっても毎日毎日バイトをしていたわけでもなく、バイトの無い日は帰宅部仲間と遊びまわっていた。この中学のときとはまったく違った放課後の過ごし方に新鮮さを感じていたし、思っていた通りの高校生活を送っているという実感があった。
ゲーセン、カラオケで大騒ぎして、勉強やテレビに女の子などなど・・・、くだらない話題で盛り上がって馬鹿みたいに笑う。それにバイトで金貯めて免許を取るって目標もある。普通の高校生してるよな。こんなことがしたかったんだろ。
楽しいだろ?オレ・・・・。
|