小さな影と夕焼け舞台。
なんなんだよ、今日という日は。
先生には怒られるし。友達とちょっとしたことで喧嘩しちゃったし。あげくに悪口まで言われたし。
少女の小さなため息が冬の空に消えた。
下を向いて、帰路を急ぐ。
もう、これ以上転ばないように。
足元を凝視して。
ため息を漏らしながら。
いつのまにか、自分は坂を登りきっていたことに気づいた。
ふと、視線を上げる。
少女は息をのんだ。
目の前に広がる黄金色の空があまりにも美しく、そして、あまりにも大きかったから。
しばらく立ち止まり、その情景を眺めていた。
そして、自分の足元にのびているあまりにもちっぽけな影を見つけた。
少女はクスリと笑って呟いた。
「あしたから、がんばるか。」
Fin.