愚か者の十戒縦書き表示RDF


愚か者の十戒
作:瘋癲ロッカー



 
 私は巧妙に善人を装い、そっと貴方に近づきます。
 そのことで貴方を不幸にするかも知れません。
 私とお付き合いをする前にどうかそのことを考えて下さい。


 
 私は「貴方が私に理解してほしいこと」を、溢れる涙や共感の言葉をもって受け止めます。
 しかし、それは真実ではないのです。
 いつか貴方の優しさを利用するための小芝居なのです。


 
 貴方が私を叱りつけたとき、私は淡々と反省の弁を述べ、涙を浮かべながら子犬のような目で許しを請います。
 しかし、全く反省などしていないのです。
 心中では貴方のことを醜く罵っているのです。



 貴方が私に優しい言葉をかけたとき、私は憂いのある目で「ありがとう」と答えます。
 しかし、これは巧みな罠なのです。
 蜘蛛が糸を張るように、見えない罠をそっと仕掛けているのです。



 私が貴方に優しい言葉をかけるとき、私は暖かい微笑みを湛えて「心配ないよ」と囁きます。
 しかし、その微笑みの意味を考えてみて下さい。
 その目の奥には、偽りがそっと身を潜めているのです。



 私が突然、涙を流したり、パニックを起こしても決して驚かないで下さい。
 実際には何事もないのです。
 精神的な不安定を装い、貴方の同情を引こうとしているだけなのです。



 私の陰口は、私の耳には入らないように配慮して下さい。
 実は気が小さく、疑心暗鬼になりやすいのです。
 ひとたび私の耳に入れば、私は同じ手段をもって貴方に報復することでしょう。



 私に何かを貸すときは、返ってこないと思って下さい。
 返す気など毛頭ないのです。
 その街を離れてでも、返すことを拒み続けるのです。



 私が悩みを打ち明けるとき、話しは半分に聞いて下さい。
 現実味のある切ない境遇を話しますが、どこかで辻褄が合わなくなります。
 情に絆されるようなことがあれば、貴方の利益が損なわれます。



 貴方が私のことを、嘘偽りなく信じるときは、私と過ごした時間をもう一度思い出して下さい。
 貴方の心は穏やかだったでしょうか。貴方にとって様々な不利益は無かったでしょうか。
 それでも私を信じてくれるならば、私は貴方の生涯の友となります。
 でも…忘れないで下さい。私が貴方を欺き続けるということを。














ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




◆BACK
小説家になろう