第六話:東京電環爆弾事件 その二
コナンの言葉を聞いた途端、一同は言葉を失った。一番早く冷静さを取り戻したのは現役の警察官である高木刑事だった。
「爆発の時間が特定できていないうえに、山手線のような高密度な運転が行われているところでは常時ホームには人がたくさんいるのに・・・・・・。それが日本一乗降者の多い新宿駅だなんて。」
高木刑事が青ざめた顔で言った。
「でもまだ爆発事故のニュースが流れていないということは新宿で爆発が起きてないってことだ! 高木刑事、早く仲間の刑事に無線で連絡をして。JRの人達にも早く連絡をして列車を運休させないと・・・・・・。」
コナンが焦りながら言った。
その言葉を聞いて高木刑事は速やかに無線で連絡をとった。コナン達も急いで駅員のいるところへ行った。
「ボウヤ達、そんなに焦ってどうかしたのかな?切符を落としたのかい。」
事件を把握していない駅員の人はやさしい声で聞いた。
「それどころじゃねえんだよ。早くしないと新宿駅が爆発しちまう。」
元太が大声で早口に言った。
「ボウヤ、冗談はいい加減にするんだ。そういうウソをついて列車を運休させてしまったら業務執行妨害で犯罪になるんだぞ。」
駅員はなかなか信じようとしない。
「ウソではありません、本当ですよ。もし僕達の言葉をJRさんが聞かなくて多数の死傷者を出したら取り返しのつかないことになるんですよ。」
光彦も真剣な目をして言った。
それでも駅員は信じようとしなかったので、コナンが中心になって二週間程前の殺人事件とその時の目撃者の証言により、今日新宿で爆弾が爆発する可能性が高いことを詳しく説明した。
「でもねえ・・・・・・。」
駅員は戸惑っていた。子供達の言葉を信じて列車を止めるべきかすぐには判断を下すことが出来なかったのだ。
「警視庁の高木です。爆弾事件の件ですが。」
そこに丁度無線で応援を呼んできたらしい高木刑事が自分の警察手帳を駅員に提示した。
「それじゃあ、今ここにいるボウヤ達が言った、爆弾のことは本当なんですか。」
高木に驚いた駅員が尋ねた。
「ええ、そうです。今、彼らの話を聞きましたよね。」
高木が後ろにいる五人を指差しながら言った。
駅員は本物の警視庁の刑事が登場したことからどこかの路線に爆弾が仕掛けられている可能性が高いということは分かったが、本当にその場所が新宿なのだろうかと思った。
その予想が外れていたらとんでもないことになってしまう。しかし列車を止めたらお客様に迷惑がかかるし・・・・・・。
駅員は悩んだ結果新宿周辺の列車を止めることと新宿駅から人を避難させることに決め、上司に報告した。
「じゃあ、皆は危ないからこの駅で待機しているんだ。私はこれから新宿駅に向かうけど、君達はそのような危険な行為はしないでね。」
高木が言った。
「えー、歩美たちも行きたいよ。」
「だめだ、いくら君達とはいえそんな危険な現場に潜らせるわけには行かない。」
高木はいつになく強い意志で言った。
コナンはしばらく黙っていたが、高木刑事の言ったとおりに待機しようと言い出した。
「コナン君の割には珍しいね。深くまで潜りこまないなんて。」
高木が驚いて言った。
「高木刑事は危険だから僕達に、ここにいてほしいんでしょう。」
コナンが笑みを浮かべて言った。
コナンの言葉で他の探偵団メンバーもねばるのを諦め、品川に残ることにした。 |