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組織との戦い
作:石川真奈



第二十話:当選


 「え、もう返ってきた?」
 阿笠博士の家だった。哀は黙って頷き、コナンに昨日届いた手紙を差し出した。コナンはそこで驚いたように哀の元に届いた手紙を見た。その短い文章を数分間じっと見つめ、黙ったままだった。

 「工藤君・・・・・・?」

 「ああ悪い。でも、これって本当に奴ら組織が送ってきたものなのか? どうもそうには見えねえんだけどな。」
 コナンが数分間考えた結果、導いた結論がこれだった。

 「早く返ってきすぎじゃないか? まあ、お前がパスワードを設定していなかったから、中身をすべて見るにはコピーするだけでいいとは思うけどよ・・・・・・どうして中身を消さなかったんだ? それにお前の話によるとだ、灰原、まったくデータの改ざんすらされてなかったようじゃないか。どうも引っかかるんだよ、組織がやったことだとしたら。」

 「でも、それが組織の罠かもしれないじゃない。らしくない手紙を送って、実は組織ではないのかも、と錯覚させるためかもしれないのよ? 組織が送ってきたんじゃないってどうして言い切れるの。」
 途中から、少し哀の声は大きくなっていた。そのことは哀自身、気がついてはいなかった。

 「別に組織ではないと断言してるわけじゃない。他の可能性もあるってオレは言っているだけだ・・・・・・。」

 「組織じゃなかったら誰が盗んだって言うのよ?」
 さっきよりもさらに大きな声で、もはや叫ぶように哀は言っていた。

 「他に、オレ達のような被害者がいるのかもしれないし、その本人か、知り合いの科学者がデータを必要としていた可能性だって考えられる。」
 コナンは哀とは対照的に、静かな声で言った。

 「まあまあ、二人ともその話は後にしたらどうかね? ところで・・・・・・」
 何故か非常にウキウキした表情で、博士が近づいてきた。

 「行かんかね? 米国に。」

 「は、どうして急に・・・・・・?」
 コナンのその言葉に、博士は一枚、どこからか送られてきたはがきを二人に見せた。それは四泊七日米国旅行に当選したというお知らせだった。

 「博士、いつ応募したんだよ、こんなもん・・・・・・」

 「この前、雑誌で見つけて応募してみようと思ったんじゃよ。ほとんど遊び半分でやってみたんじゃが、偶然当選してしまったんじゃ。わしと探偵団のみんなで七人分、久しぶりに君も米国に行きたいじゃろ?」

 「いや、オレ去年ニューヨークに行ったぞ・・・・・・」
 コナンの言葉は博士の耳には届いていなかった。

 「それで行くかね、哀君、新一君。」
 博士は二人に尋ねたが、とても否定できそうな雰囲気ではなかった。

 「わかったよ。行けばいいんだろ?」
 コナンは気のない声で言った。

 「たまにはいいんじゃないの、探偵さん。貴方がいると何故か異様に治安の悪くなるここらへんよりはマシだと思うけど。リフレッシュになるんじゃない?」
 哀は呆れたような視線をコナンに向けながら言った。

 「それで博士。いつ行くんだよ。」

 「日にちが決まっているわけじゃないから夏休み中ならでいつでも行けるわい。日程が決まったら報告するから、君達は学校でみんなに聞いてくれないかのう? 夏休み中に米国に行かないかと。」




 「ただいま。」
 コナンは毛利探偵事務所に戻ると、こちらも何やら室内がウキウキとした感じだった。蘭がとてもうれしそうな表情をしていて、小五郎がはがきを一枚手に持っていた。そのはがきは博士が持っていたものと酷似していた。

 「まさか、おじさん。それ、米国旅行が当たったとかってわけじゃないよね?」

 「え、どうして分かったの、コナン君。」
 蘭の顔から、もう一度ニューヨークに行きたがっているのだろうとコナンは推察した。

 「博士も偶然応募して当たったんだって。僕ら探偵団六人分も一緒に頼んでいたらしいよ。」
 コナンが肩をすくめて言った。

 「じゃあさ、博士と一緒に行かない? コナン君の分が余っちゃうけど。」

 「まだみんなが行くって決まっていないけどね・・・・・・。」

 「楽しみだわ、一年ぶりのニューヨーク! ところで探偵団六人とか言ってたけど五人じゃなかったっけ?」

 「一人転入してきたんだよ。苗字は僕と同じで、江戸川大輝っていうんだけど。」

 「じゃあ、その子に会えるかもね。ところでさ・・・・・・」
 蘭とコナンの二人は三十分の間ずっと話をしていたが、完全に小五郎は無視されていた。





小五郎おじさんの扱いが酷いですね・・・・・・ファンの皆様すみません。
コナン達は夏休みに米国に行くということで、その内容も夏休みに更新する予定です。

私はかなり前に一度だけロスに行ったことしかないので、ニューヨークの事情など、全く分かりませんが。











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