第十二話:新たな事件
今日は土曜日。皆でキャンプに軽井沢まで来ていた。
「エンストもなく来れるなんて珍しいですね。」
光彦が言った。
皆、長袖で来ていた。いくら春とはいえ、今回キャンプに来た地は避暑地で有名な軽井沢、標高千メートルくらいあるのである。
コナン達はテントを張り、炊事をしていた。ここには他にもキャンプをしに来た組が多く会った。
「これだけじゃ、薪が足りんのう。皆、集めてきてくれんか。」
博士が汗をかきながら言った。
「ハーーーーーーイ!」
元太、光彦、歩美が元気よく答えた。
「あらあら、暇そうね、探偵さん? あなたも彼らを手伝ったらどうなのよ。」
哀が呆れたように言った。
「元太達のことか? へいへい。」
コナンがやる気なさそうな声を出した。
「おい、コナン。灰原の言うとおりだぞ。さっさと手伝えよ。」
いつの間にか戻ってきていた元太が言った。
「わーかったよ・・・・・・。」
コナンがだるそうに答えた。コナンがゆっくりと立ち上がり、伸びをした。
そしてコナンは異変に気づいた。周りにいる、キャンプをしに来た人達が何やら皆興奮したような表情でヒソヒソ話をしている。その集団にコナンが近づくと、集団の人達は驚いたように振り返った。
「一瞬警察かと思ったぜ。でもサイレンの音が聞こえなかったな・・・・・・。」
集団の一人が、皆が思ったことを代表して言った。
「事件かなんかあったの?」
「なんだお前。まあいいか・・・・・・。さっき、誰かがトイレに行ったときに人の死体を見つけたんだとよ。」
その男が気のなさそうな声で言った。
その時、うなるようなサイレンの音が突然聞こえてきた。そしてすぐに警察官がパトカーから降りて、近づいてきた。
「警察ですが・・・・・・。」
おいおい、山村刑事かよ。まあ、ここは軽井沢だからしょうがねえけど・・・・・・。
コナンは心の中で、ボソッと言った。
警察が、死体が発見されたらしいトイレに行き、状況を確認した。
発見された死体の身元はすぐに取れた。被害者は、長久手敏彦さん、三十歳で、とあるゲーム会社の社員だった。死体は頭蓋骨が陥没していて、現場には凶器と思われる鈍器、コンクリの塊が残されていたため、犯人によって撲殺されたと判断された。トイレの扉が開いていたので、密室殺人ではないと断定された。
「え、長久手さんが殺されたんですか。」
一人の女性が驚いたように言うと、その女性の周りにいた人達にも動揺がさざなみのように広がった。
「ええと、あなたがたはもしかしたら彼の関係者だったとか?」
山村刑事が女性と周りにいた人達に尋ねた。
「ええ、そうです・・・・・・。彼は私達の同僚で、今日は丁度皆でキャンプしに来たんです。彼は途中でちょっとトイレに寄ってくると言ってこの場を離れたんですが、そのまま亡くなってしまうとは・・・・・・。」
「皆さん、変には思われなかったんですか? トイレから戻ってこなかったら心配したり状況を確認しに行ったりしちゃうでしょ。」
山村刑事は不審に思って聞いた。
「あの人、一度トイレにいったらなかなか部屋にいつも戻ってこないから。そうだよね・・・・・・。」
その女性の言葉に周りにいる人達はいっせいに頷いた。
「まあ、皆さんにはここに残ってもらいますよ。」
山村刑事が一人ひとりの社員の顔をじっと眺めた。
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