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第一回 剣を振るう理由

「準備は全て整った!明日、日の昇る時が、俺たちのアヴァロンの始まりだ!」


そう言うと彼は、自ら掲げた大きな旗の前で、ここまで苦楽を共にした仲間たちに祝杯を上げた。

それに呼応し、彼の仲間たちも一斉に祝杯を上げる。


勿論、この場にいる私も、共に明日への希望を込めて祝杯を上げる。


「新たな理想郷に、乾杯!」


明日の日が昇る時。この時のための準備は、生易しいものではなかった。

こうして仲間たちと上げる祝杯を呷ると、これまでの辛く長かった道程が思い出される。

しかしそれさえも、今は高ぶったこの気持が全てを、まるで夢の様に楽しかった思い出へとすり替える。

全ては、「アヴァロン」。ここにいる仲間たち全員が思い描いた理想郷のため。


ここに集まった者は全員、帝国に反旗を翻す者達。

帝国の独裁的とも言える圧政に虐げられ、平和の名のもとに集まった同志だ。


「おい、いよいよ明日だな。」


先程、旗の前で祝杯を上げていた彼が、仲間たちへの熱い弁舌を終わらせてこちらに話しかけてきた。


「ああ、そうだな。」


私もそう言うと、彼とグラスを交わす。


「ここまでこられたのも、全てお前のおかげだ。

 お前がいなかったら、俺達はもうとっくに帝国の奴らに滅ぼされていただろう。

 本当に、ありがとう。」


「よしてくれ。大したことはしていない。できる事をしただけだよ。」


本当にそうなのだ。ここまで皆を引っ張ってきたのは紛れも無く彼だ。

私に出来たことといえば、ただ必死にこの剣を振るうことだけ。

元々帝国の騎士であった私を、信じて背中を預けてくれた彼がいたからこそ、剣を振るうことが出来た。

ただ、帝国の言いなりに罪のない者を切り続けた忌まわしき剣に、人としての温もりを与えてくれた。

今更、血に染まったこの手は拭おうとしても拭いきれはしない。

それでも、そんな私に護るべきものを与えてくれた。

私は、彼に感謝こそすれど、礼を言われていいような存在ではない。


「ああ、ここにいる皆がそうだ。出来ることを必死でやってくれた。

 そして、お前が俺たちに希望を見せてくれたから、ここまでやってこれた。

 もう、誰も、お前を裏切り者だなんて思ってやしない。」


その言葉だけで、救われた気分だった。


明日の日が昇る時・・・。

私は、必ずや、この剣で、彼と、彼の仲間達の思い描くアヴァロンへの道を作る。

私を信じてくれた者達のために。


もう二度と、裏切らないために・・・。

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