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昔は綺麗だったお婆さん
作者:ケント
「あんたたち、信じてないね。やだねぇ、ほんとに。あー、やだやだ。あたしはね、昔は相当綺麗だったんだから。ほんと見せてやりたいよ、あんたらに。いや、もう見せてやるよ、あんたらに。あたしが若かった頃の写真。いつも肌身離さず持ってるの。こういうときの為に。えぇ、えぇ、こういうときの為に。ほら、まぁ、白黒だけどね、そこはまぁ仕方ないよ。ほら。どう? 綺麗だろ? ん? 綺麗だろ? え? 何に似てるって? 亀? 亀に似てる? ばっ、馬鹿言っちゃいけないよ! どごが亀に似てるっていうんだい! 綺麗だろ? え? 目元と口元が似てる? 似てないよ! 何を具体的に似てる箇所を指摘してきてんのさ! 綺麗じゃないか! 昔のあたしはとっても綺麗じゃないか! え? りく? 陸亀に似てる? 似てないよ! より似てる亀の種類を指摘するんじゃないよ! 返せ! もう見なくていいよ! あたしの大事な写真返せ! いくらあたしが温厚なお婆さんだからって、こんなにも馬鹿にされたら怒るんだからね! 温厚過ぎて近所の子どもたちから亀婆さんって言われてるんだからね! あたしゃ決して亀になんか似てないよ! ほんとに昔は綺麗だったんだからね!」
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