表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

俺と平井

100のお題:異境

作者: と〜や

「なあ、異世界ってあると思うか?」

 いきなり悪友の平井が言った。おいおい、それはどこかのライトノベルな話か?

 居酒屋で切り出す話題とは違うと思うんだが。しかも今日は平井から声をかけてきた。というか相談を持ちかけてきたんだよな。

「さあな」

 俺としてもファンタジーやSF、ライトノベルの世界は嫌いじゃない。本もよく読むし。だが、平井はといえば。

 少なくとも俺が知っている平井は本はおろかドラマでも映画でもファンタジー的な架空の物語は毛嫌いしていたはずだ。ゲームはよくやってたと思うが、どれもレースか野球かサッカーだ。

 その平井から「異世界」というキーワードを聞こうとは。

「おまえに聞いてるんだよ。なあ、答えてくれよ」

「分からない。というかおまえ、そういう架空戦記とか嫌いだったろ?」

「ああ、そうだよ。ファンタジーとか甘っちょろいのは好きじゃない。でも、だからおまえに聞きたいんだ。あると思うか?」

 なんでこんなに目を血走らせながら熱く語ってるんだろう。

「まあ……もしかしたらどこかにあるかも知れないな」

 すると平井は机を拳で叩いた。

「そんな……そんなあやふやなことでどうするんだよっ。俺は……どうやったら彼女をたすけられるんだよっ」

 ……は?

「おまえ、何のことを言って……」

 平井はポケットから本を取り出した。恭しく聖書かなにかのように掲げて。

「あー……それは」

 俺でも知ってる有名なライトノベルだった。確か先年、作家が夭逝して、続きが読めなくなったという……。

「おまえも知ってるのかっ?」

「ああ、確か、続きはWebでって……」

「ありがとうっ! 早速探すよっ」

 両手ガシっとつかまれて何度も何度も拝まれて、平井は飛んでいった。

 本、忘れてってるけど、いいのか?

 というか、本に没入しすぎだ。本の世界に行けるマシーンとかできたら買いそうな勢いだ。

 ちなみに、続きに文句をつけるにはどうしたらいいかと呼び出されたのは別の話だ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ