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お久しぶりです、ヒカリです。
閲覧誠にありがとうございます。

リアル多忙により、なかなか投稿出来ずにひと月も放置……。
それでも覗きに来て下さる方が沢山いらっしゃったことにとても嬉しく、とても感謝しております。
本当は昨日投稿予定だったのですが、ミスで文章の三分の二を消去してしまうという、涙モノの事件が発生してしまい……。
幸い、ある程度内容は覚えていたので、なんとか今日、更新にこぎつけました。

さて今回感想を下さった次郎さま、誠にありがとうございます。
そうそう、毎回感想を下さった方のお名前をこちら(前書き)で書かせて頂いておりますが、もし名前を載せて欲しくないと言う方はコメントと共に明記して下さいね。
表記があれば書きませんので。

それと、この話でプロローグ的話はおしまいです。
『短縮する為にオリキャラ入れたって言った割に全く短くなってねーじゃん!』と思った読者さま、誠にその通りで御座います。
自分でもぶっちゃけコイツ要らなかったんじゃね?と思t(げふんげふん
……と、いうことで(?)次話で原作に入って行きます。
何処から入るのかは、まだ秘密です。

それでは、第参廻どうぞ。
第参廻:腹黒い奴程常に笑顔

 「万事屋(うち)に依頼……?」

 銀時の鸚鵡返しに、少年は頷いた。

 「ええ。――申し遅れました、僕はフィルといいます。お見知り置きを」

 少年――フィルは恭しく礼をした。




第参廻 腹黒い奴程常に笑顔




 「――さて、何からお話ししましょうか」

 フィルは顎に指を当てながら、軽く唸った。
 あれから銀時たちはリビングに通されており、ガラスのローテーブルを囲うように置かれたソファに――銀時の正面にフィル、右側のソファにスヴェン、左にトレインという風に――座っていた。

 「……お前は何者だ。何で俺たちのことを知っていた?」

 灰皿で煙草をもみ消したスヴェンが、口火を切った。

 「僕は今……言うなれば、異世界間で警察の真似事をしています」

 「今ひとつ分からんのだが」

 スヴェンは眉を寄せ、あとの二人も顔を見合わせて首を傾げた。



 「例えば、異世界の技術を使った犯罪の防止や、坂田さんのように異世界に飛ばされてしまった方を元の世界に帰したり、ですかね。因みに、僕らはこのような方々を“異邦人(エトランジェ)”と呼んでいます」

 「……どっかの魔法少女みたいなことしてんのか」

 銀時はソファにだらりと身を沈めながら訊いた。

 「ええまぁ。僕らの場合はある組織が関与している場合のみなんですがね」

 「ある組織?」

 「……それは追々話していきます」

 フィルはほんの一瞬迷うような素振りを見せた後、それだけ言った。銀時は少しだけ眉を顰めた。

 「じゃあ次だ。お前とギントキが違う世界から来たって証拠は?」

 スヴェンは新しい煙草をくわえ、ジッポーを取り出す。
 銀時は『まだ信じてなかったのかよ』と、スヴェンをねめつけた。
 一方のフィルはううんと難しそうに首を捻ったあと、徐に右手を顔の前に挙げ、人差し指と中指を立てた。

 「そうですね……現段階では、これ位しか出来ません」

 三人は不審に思い、問い質そうと口を開いた瞬間、フィルの指がついとスヴェンの顔に向いた。



 「『業火、灯穂(とうすい)』」

 刹那、ぼぅと空気と物質が燃える音と共に、スヴェンの "まだ火のない煙草に" 小さな炎が灯った。

 「あ?」「うぉ!?」「おお!?」

 三人、特に当のスヴェンはかなり驚き、口から煙草を放してしまった。

 「『廻風(かいふう)、気流』」

 しかし、再びフィルが言葉を紡ぐと、落ち掛けた煙草の真下から小さな風が起こり、煙草を上へと吹き上げた。煙草が再び重力に従おうとする直前に我に返ったスヴェンは、慌ててそれを摘む。

 「……」「……」「……」

 皆暫し無言で、スヴェンの指の間にある煙草を見つめていたが、誰ともなしにフィルに視線を移した。すると彼は、にこりと良い笑顔を向けてきた。

 「先程申した通り、現段階ではこれくらいしかお見せ出来ませんが……信じて頂けますか?」

 軽く首を傾いでそんなことを言う。
 トレインとスヴェンは『(タオ)』という力である可能性も考えたが、取り敢えず頷いておくことにした。フィルは「良かった」と、再び微笑んだ。



 「では、此処までで他に質問などは有りますか?」

 「さっき『僕ら』って言ってたよな。ってことは仲間がいるのか?」

 今度はトレインが質問を投げた。

 「ええ。『協力者』と言ってしまえばもっと居ますが、直接動くのは僕を含めた五名です」

 「意外と少ねェんだな」

 「はい。人員不足でかなり大変です」

 質問は終わりらしく、トレインは其処で黙った。

 「宜しいですか? ……では、話を進めますね」

 言うとフィルは、右腕に巻いている腕時計に似た小型の機械を操作し出した。すると、中空に幾つか画面が浮かび上がる。先程ほどではないにしろ驚いている三人を余所に、フィルは銀時に問い掛ける。

 「坂田さんは狐のお面を付けた子供たちに会ったんですよね?」

 銀時は無言で肯定した。
 フィルが画面の一つを指で突くと、映像が切り替わった。

 「それはこんな子たちではなかったですか?」



 そこには、つい数時間前に見た童子たちが数人映っていた。

 「あ! コイツら……」

 銀時が声をあげ、あとの二人も身を乗り出して画面を覗き込んだ。トレインはうげっと声を漏らしながら、心底不快そうに顔を歪めた。

 「なんだコイツら気持ち悪ィ」

 「彼らは『式』です」

 「「「しき?」」」

 「一般的には『式神』とも呼ばれる、所謂 "使い魔" です。……坂田さんならお分かりではないですか?」

 「あー、まァな」

 銀時は以前、陰陽師たちのいざこざに巻き込まれ、式神と呼ばれる存在と関わったことがあった。しかしこれはまた、別の話である。

 「因みにこの子たちは狐の神様の使いですね」

 「神様、ねェ……」

 トレインは胡散臭げに呟いた。



 「ああ、『神様』って言うのは、その中で特に秀でた力を持った "人ならざるモノ" のことを差します。この子たちはそれに限りなく近い存在で、使役する側も相当な実力がないと逆に襲われてしまいます」

 「こんな子供がか……?」

 スヴェンは煙を吐き出した。

 「彼らは子供の姿をとっているだけであって、人間ではありません。相手にする際は殺す気でいかないと、確実に此方が殺られます」

 スヴェンはあまり納得がいかないようで、眉間に深い皺を刻んだ。自称紳士の彼としては、子供に手を出すのは抵抗があるのかも知れない、とトレインは思った。

 「話を戻します。坂田さんの世界において、この妖狐たちを使役出来るのは一人しかいません」

 フィルは懐から一枚の写真を取り出し、テーブルの上に置いた。それには、黒の短髪に、金フレームの丸メガネを掛け、鶯色の羽織を纏った二十代後半程の男性が写っていた。

 「重岳野昭人(しげおかのあきひと)。呪術師、重岳野一族の生き残りです」

 「呪術師って……陰陽師のことか?」

 銀時は写真を取り上げた。

 「いえ、根本的には違います。陰陽師は五行術を主に扱いますが、呪術師は呪術が中心なんです」

 「「「全っ然分からん」」」

 「えーっとですね、五行は木火土金水……五つの自然界の力を借りる術で、呪術は名の通り人を呪う術ですね」

 と言っても他にも色々とありますけれど、とも付け加えた。

 「ふーん」

 銀時は欠伸をかみ殺しながら言った。恐らくあまり理解はしていないだろう。



 「……では、続けます。――その昔、呪術師は陰陽師と共に幕府のお抱え集団として、占いや暗殺などで活躍していました。特にその中で重岳野はかなりの名門で、受けた依頼は必ず成功させていました。ですが、」

 呪術は素人でも比較的簡単に行うことは出来るのだが、何分そのリスクが高い。失敗すれば、高確率で命を落としてしまう程にだ。
 そして更に重岳野の術の場合、陰陽道以上に生まれ持った才能が不可欠であり、才がない者は初級の術でさえ満足に扱えなかったのである。

 「リスクを負って呪術を行うよりも、幾らか安全な陰陽道を選ぶ者が増え、呪術師人口は急激に減少。重岳野も代を重ねる毎に術者となれる子が減り、そしてとうとう、数代に一人産まれれば良いという状況にまで落ち込んでしまいました。……すると、どうなると思います?」

 フィルは謎掛けでもするように、順に三人の顔を見渡した。

 「毎日のようにあった依頼は徐々に減って行き、遂に一族は世界から忘れ去られてしまいました」

 よくある話だと、銀時はこっそりと嘆息した。利用価値があるものはとことん利用され、価値がなくなれば簡単に切り捨てられる。何時の時代だろうと、それは変わらないのだ。



 「散々持て囃され、時には命を懸けて幕府を守って来た。その挙げ句のこの仕打ちに重岳野の一族は怒り、幕府を恨むようになりました」

 銀時は露骨に嫌そうな顔をした。

 「まさか俺、そいつらの復讐劇に巻き込まれたってんじゃねェだろな」

 「全くもってその通りです」

 間髪入れない肯定だった。

 「マジかァア! ちょ、ふざけんなよォオ!? つか何で俺ェ!? 俺何かしたァ!?」

 銀時は頭を抱えてシャウトした。

 「ぎ、ギントキ落ち着け!」

 「その辺りの理由はまだ不明です。ただ現時点で分かるのは、坂田さんがこの世界へ飛ばされた術が重岳野の呪術であること、坂田さんが元の世界へと帰るには、同じ術でなければならないこと」

 「マジか!!」



 「そして、重岳野昭人が鬼兵隊と手を組んだことです」

 瞬間、銀時は動きを止めた。――何となく、フィルが何を言いたいのか分かった。

 「彼は江戸……いえ、世界の全てを焼くつもりです」

 銀時は目を細めてフィルを見据えた。暫しの間、部屋を静寂が満たした。

 「……ったくよー」

 今まで黙って話を聞いていたトレインが、徐に口を開く。

 「そんなことで世界ぶっ壊そうなんて、巻き込まれた方はたまったもんじゃねーよな」

 トレインは溜め息をつきながらソファの背もたれに体を預けた。

 「……そうですね。でも」

 フィルはトレインに微笑みかけた。

 「彼らには呪術師としての誇りが、何よりも大切だったんだと思います」

 その瞳は何処か悲しみを帯びているように、銀時は感じた。しかしそれも一瞬のことで、銀時に向き直ると再び話し始める。

 「彼は目的の為に、この世界の技術を利用するつもりです。理由はどうあれど、それを許す訳にはいきません」

 フィルは姿勢を正し、銀時を真っ直ぐに見据えた。



 「そこで、万事屋さんに依頼です。重岳野を止める為、力を貸して下さい」

 ぺこりと深く頭を垂れた。

 「……つってもどうしろっつーんだよ。俺にそのしげのはらを倒せと? 俺ァそんなのゴメンだぞ」

 「『重岳野(しげたけの)』です、坂田さん。いえ、貴方には帰還方法が分かるまでの間、この世界で自由に行動して貰い、何かそれらしい情報があれば報告して頂ければ充分です。あ、勿論、報酬は弾みますよ」

 瞬間、銀時の耳がぴくりと反応した。

 「そーですねー……」

 フィルは懐から電卓を取り出し、軽快にキーを叩くと画面を銀時の目の前に差し出した。

 「取り敢えず、契約金としてですが」

 ゼロの数を数えてみた。

 (いち、にー、さん、しー、ごー、……)

 「成功報酬はこの五倍で」
 「おっしゃア銀さん江戸の為に一肌脱ぐぜ!!」

 銀時はソファから勢いよく立ち上がり、フィルの手を握り締めた。

 「「金に釣られてんじゃねーかオイイ!!」」

 トレインとスヴェンはシンクロツッコミを繰り出した。



 「それで、お二人にもご協力願いたいのですが」

 唐突にフィルはトレインとスヴェンに話し掛ける。

 「いきなりだな。つーかそんなのお前やお前の仲間がやりゃいいじゃねーか」

 スヴェンは不機嫌そうに煙草をもみ消した。

 「そうしたいのは山々なんですが、仲間は別の任務で連絡が取れない状況なんです。でも僕一人で坂田さんの世界とこちらで平行して調査を行うのはかなり無理がありますし……。お願い出来ませんか? ご協力下さった場合、勿論お二人にも報酬を出します。経費込みで……この額でいかがでしょうか?」

 再び電卓を操作し、今度はトレインとスヴェンに見せる。

 「よっしゃ協力するぜ! ギントキ」「困った時はお互い様だ!!」
 「おう、頼むぜ!」

 万年金欠男三人は瞳を輝かせ、がっちりと固く手を組んだ。その様子を、背後にどす黒い影を背負った少年がにこやかに見つめていたのだった。



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