閲覧、誠にありがとうございます。
なんとたった3日で1200を越え、全く更新がなかったにも関わらず、6日目の今日でアクセスが1800近くに!
本当に感謝感激です。
ていうか更新遅くてすみません。
でも代わりに今回は長めです。
それにしても、二次創作はやはり難しいですね……。
今回は特に、(書くに当たって)私がキャラを掴めていないのが丸分かりかと思います。
今回コメントを下さった東方の使者様、本当にありがとうございました。
励みになります。
……それでは第弐廻、どうぞ。
第弐廻:知らない相手に自分のことを知られてるのって物凄く気持ちが悪い
「あ゛ー……やべ、呑み過ぎたなチクショー」
その日、銀時はまだ暗い明け方の帰路をひとり歩いていた。
第弐廻 知らない相手に自分のことを知られてるのって物凄く気持ちが悪い
「例に漏れず二日酔い決定だなこりゃ…………うぷっ……」
あまりの気分の悪さに道端にかがみ込み、胃の中の物を溝に吐き出した。そして少しだけ軽くなった胃をさすりながら、本日十数度目の呻きをあげる。
「…………あ゛〜〜……クソ、もう呑まねェ……俺ァもう酒なんか呑まねェぞ……」
調子に乗って呑み続けた自分を呪いつつ、再び帰路につこうと重い腰を上げた時だった。ふわりと心地良い夜風が頬を掠めた――。
「!」
異臭が、した。
それは、普段の生活ではめったに嗅ぐことはない、しかし彼にとってはその昔に嗅ぎ馴れてしまった、錆びた鉄のような臭い――
(これァ……)
血の臭い、だ。それも、とんでもない量の。
銀時は、さっと臭いの元を捜した。風向きからして、どうやら数歩先の路地裏から漂って来ているらしい。
耳を澄ますと、微かに草履が地面を擦る音が風に乗って聴こえてきた。しかも、
(……近付いて来てやがる)
飛び込もうかと考えたが、いきなり暗がりに入って夜目がきかなければ意味がない。仕方なく、街灯で出来る自身の影に注意を払いながら、電柱の陰に身を隠した。そして腰の木刀――『洞爺湖』に右手をつかえ、いつでも飛び出せるように体制を整えた。
この数秒の間に――未だに胸焼けはするが――すっかり酔いは醒めてしまっていた。
ざり……ざり……ざり。
足音はゆっくりと此方に歩いて来る。
銀時は息を殺して、足音の主が出て来るのを待った。
ざり……ざり……ざり……。
ぽた……ぽた……ぽた……。
足音に混じって水音も聴こえ出した。
もう少しで路地から出て来る。
ざり……ざり……ざ……。
ふと、音が、止んだ。
――気付かれたか。
思うが早いか、銀時は電柱の影から飛び出した。
「…………?」
しかしそこには誰も居らず、何もなかった。いくら暗いといっても路地の向こう側もある程度の明るさがあるため、そこに何かがあるかどうかくらいなら分かる。だから、隠れられるような場所もない。水音の音源も、ない。
「…………」
銀時の顔から、さあっと血の気が引いた。
(ま、まままさか幽……スタンド……)
――ぽたり。
「!」
銀時は飛び上がらんばかりに驚いた。
先程の水音が、すぐ足元で聴こえたのだ。そして、
「!!」
くいと着物の袂が引かれた。叫びだしたい衝動を辛うじて堪え、代わりにからからに渇いた喉を鳴らした。
(お……おお落ち着け落ち着け! まままだ幽れ……ス、スタンドと決まった訳じゃねェ!! こ、コレはどっかの迷子の子犬がじゃれついてるだけかも知れない……!)
なんとか無理矢理に自分を納得させた銀時は、意を決したように、汗ばむ手で木刀を握り直した。そして、恐る恐る後ろを振り返った。
街灯が、足元の“それ”を照らしていた。
「……!」
己の着物の袂を握り締める子供が、此方を見上げていた。――血にまみれた、狐の面を付けて。
「……みぃつぅけたぁあ」
にぃ、と細められたその目を見た瞬間、ざわりと肌が粟立つのを感じた。
――カカワッテハイケナイ……ニゲロ
己の本能が警笛を鳴らす。今感じるのは先程までの"恐怖"とはまた違う、別の感情。
袂を握った小さな手を振り払い、素速く一歩後退したのだが、何かにぶつかり、尻餅をついた。
「……ッ痛ェ〜……」
「『いってェ〜』。くすくす……」「くすくす……」
「!?」
いつの間にか、同じ狐の面を被った"子供たち"が、自分を見下ろしていたのだ。
「くすくす」「くすくす。みつけた、みつけた。“しろやしゃ”のおにぃちゃん」「みつけたぁ、みつけたぁ、くすくす…」「…くすくす……」
面をつけている為にくぐもった、あどけない幼子の声が辺りに響く。
(……! コイツら……)
同時に漂う、噎せ返るような血の臭いと殺気。彼らから感じるのは――狂気。
「……何ですかァお前ら? いい子はまだ寝てる時間ですよォ。まァ『お兄ちゃん』って言ってくれたのは褒めるけどさァ。つーかなんで君たちそんな名前知ってんの?」
子供たちを見据えたままゆっくりと立ち上がり、木刀を構え直す。
くすくす……くすくす……
子供たちはそんな彼を嘲笑うかのように愉しそうに手を繋ぎ、銀時の周りをくるくると踊る。
……かぁごめかごめ
(……!)
子供たちが歌い始めた途端、ぴしりと身体が動かなくなった。
(! 声も出ねェ……。クソっコイツら何しやがった!?)
かーごのなーかのとーりぃは
いーつぅいーつぅでーやぁる
直感で分かる。
この唄を最後まで聴いてはいけない。
よーあーけーのーばーんーに
銀時が必死にもがく中、子供たちの唄は続く。そして……、
つーるとかーめがすーべった
子供たちが一斉に、ぴたりと脚を止め――
うしろのしょうめんだぁれ……
瞬間、銀時の意識はぷつりと途絶えた。
――――
「あのキツネのガキ共……!」
銀時は行き着いた答えを、知らず知らずのうちに声に出していた。
「その通り」
「!!」「っ!」「!?」
不意に、聞き覚えのない声が部屋に落ちた。
「こんにちは」
いつから居たのだろう。開きっぱなしのドアの向こうに、"少年"が立っていた。
見た目、十代後半に差し掛かった頃。灰色に近いボサボサの銀髪に漆黒の瞳を持つ。端正な顔には、微笑を浮かべている。白いワイシャツと黒のスラックス、その上に、床を擦りそうな程に長い黒のロングコートを羽織っている。
「なんだお前……人ン家勝手に上がり込んでくるなんて、礼儀がなってないんじゃないか?」
スヴェンが警戒しながら声をかけ、トレインはちらりと右腿のホルスターに視線をやる。
銀時も目だけで己の愛刀を探し、ベッドの脇に立て掛けられているのを確認した。
少年は警戒する彼らに対し、申し訳無さそうに頭を下げる。
「すみません、何度も呼び鈴を鳴らしたんですけれど、気が付いてらっしゃらなかったようなので……」
「あ、そういや随分前から壊れてたな」
半分毒気を抜かれたように、トレインが暢気な声を上げた。
「かといって勝手に入ってくんのはマズいだろーが。不法侵入でしょっぴかれても文句言えねーぞ」
銀時が小指で耳をほじくりながら言う。
「はは、ですよね」
少年はまたすみません、と謝る。
「僕としても気が引けたんですけれど、急用だったもので」
「俺たちはお前に面識なんかねェんだけどな」
スヴェンは依然厳しい面持ちで少年を睨み付ける。
「それでもとても大事な用があるんですよ――元IBI捜査官、スヴェン=ボルフィードさん」
「「!?」」「? アイビー?」
トレインとスヴェンが驚いたように目を見開き、なんのことか分からない銀時は疑問符を浮かべた。
「……なんで知ってやがる」
一変して表情が険しくなったトレインに、少年が苦笑する。
「そんなに警戒しないで下さい。元『時の番人』の“XIII”、トレイン=ハートネットさん」
「……!」
「すみません、僕も勝手に他人の過去を掘り返すのは好きじゃないんですけれど……此方も仕事なんですよ」
「……仕事だと?」
今度はスヴェンが訊き返した。
「ええ。今日は主に此方の坂田銀時さんに用がありまして」
「へ? 俺?」
殆ど蚊帳の外状態だった銀時が間抜けな声を出す。
「ええ。貴方のことも少し調べさせて頂きました」
ぴくりと反応した銀時に構わず、少年は記憶を辿るように軽く目を閉じた。
「坂田銀時。10月10日生まれ。身長177cm、65kg。好きな物は甘味。大の甘党で、現在糖尿病寸前の予備軍……」
いきなり銀時のプロフィールから始まったので、三人はしばらく呆気にとられていた。
しかしある言葉で、再び空気が凍った。
「――約十年前、攘夷志士、現穏健派『狂乱の貴公子』こと桂小太郎、同じく攘夷志士が過激派、武装集団『鬼兵隊』を率い、また、攘夷浪士中最も過激で危険とも称される高杉晋助、星間貿易業『快援隊』が頭、坂本辰馬らと共に後期の攘夷戦争に参加。終戦後は攘夷活動から退き、江戸はかぶき町にて『万事屋銀ちゃん』を経営。現在の従業員は剣術道場恒道館現当主、志村新八、『夜兎族』の一人、神楽の二名。また、ペットとして狛神の定春。尚、ここに記している以前の記録は不明である」
トレインとスヴェンは横目で銀時を見た。
銀時はすらすらと自分の経歴を述べる少年を、黙って見据えていた。しかし、その顔がみるみる険しくなって行くのが見てわかった。
「備考、攘夷戦争時代の通り名は『白――」
ガツン!!
刹那の出来事。
少年の顔の真横の壁に、木刀が突き刺さっていた。
「…………『少し』っつった割に随分とまァ詳しく調べてんじゃねーか、なァオイ……」
しんと静まる部屋に、押し殺した低い声が響く。銀時は木刀を投げ放った形のままの右腕をゆっくりと下ろし、ベッドから立ち上がった。
「俺ァ知らねェ奴に昔のこと語られンのは嫌いなんだよ」
トレインとスヴェンは顔にこそ出さなかったが、驚いていた。――先程までのふらふらした体ではない、まるで研ぎ澄まされた刃のように鋭い殺気を放つ銀時に、だ。
「すみません、挑発するような発言をしました」
少年は笑みを絶やさぬままだが、心底申し訳無さそうに頭を下げた。
「……で、用事ってなんだ」
ふいにいつもの面倒くさそうな声に戻った銀時が、頭を掻きながら、それこそ面倒くさそうに訊いた。
「はい、此方に伺ったのは、坂田さん、貴方に頼み事があるのです」
そして何事もなかったかのように、少年は話を進めた。
「頼み事?」
「ええ。僕は『万事屋銀ちゃん』に依頼をしに来たんです」
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。