26.捜索/3
ファミレスを出てきた3人。
今朝は曇っていたのに、いつの間にか晴れ上がって、陽射しが暑い。
乾いた喉が、無意識のうちに自動販売機を探す。
大型トラックが巻き上げる粉塵を避けて、だらだらと舗道の端に寄った。
「どうする? 学校、戻ろうよ」と佑香。
「これだけか? 俺たちに出来ることって、他にないか?」と潤。
「ねぇ、大輝は? 何か思いつかない? 最後まで一緒に居たのって、大輝なんだから、なにか沙耶の変わったところとか――って言うか!」
急に思い出したようだ。
「20万で一杯食わすって話! もっと詳しく聞かせなさいよ! お金であたしたちに、何をしようとしてたのっ!?」
「…………」
「黙ってないで、何とか言いなさいよねっ! 知ってるのは、大輝だけなんだからっ!」
潤はその2人の横で店長に告げた番号の携帯をもう一度取り出し、発信させている。
「どこにかけるの?」
「学校。黙って出てきちまったから。森田先生に一言言わないと――あ、もしもし……」
潤の横顔を見つめる佑香。
「二年三組の真山――あ、森田先生。……はい、すみませんっ! 木田と、日野も一緒です。僕たち、どうしてもじっとしていられなくて――」
潤の肩が、電話の向こうの声にピシッと弾かれた。
「すみませんっ! 今は、成元と日野が最後にいたファミレスの前にいます。もう少ししたら戻りますから、はいっ! すみませんっ!」
携帯に謝るように頭を下げ、まだ繋がっているであろう通話を親指で切った潤。
「ははっ、やっぱカンカンだった。怒鳴られても仕方ないな。さて――」
「ねぇ、急いで戻ろう? このことで、潤の立場がこれ以上危なくなったりしたら、取り返しが――」
「そうだ、ジュン。戻れ……」
大輝がボツっと口走る。
潤はまたそれを聞いていないかのように流し、
「じゃあ、ここからアイツの帰宅ルートをしらみつぶしに聞いて歩くってのは、どうだ?」
と提案した。
大輝が、顔を正面に向ける。
「それは、オレがやるよ。だからオメェは、今すぐ授業に出ろ」
……大輝?
顔がいつもと違う。妙にうろたえたような、それでいて腹を決めたような雰囲気で、キリッとして見えた。
だが、まだ潤は取り合わない。
「いいよ。乗りかかった船だ。なぁ、佑香。成元の家って、ここからだと――」
「ジュンっ!」
大輝が頭の先から声を出した。「いいっつってるだろ! オレの責任だから、オレが探すよっ! っつーか――!」
言い噤んだ顔に、佑香が被せる。
「なにを“つー、つー”言ってるのよ。わかんないってば。さっきの話の続きは? その“20万”計画を大輝は蹴ったんでしょ? 一体、何をしろって言われたわけ?」
「中身を言い出す前に、蹴った。それに、多分アイツは大丈――」
チッと舌打ちをした大輝。
潤は、その顔を見ない。
その分まで、佑香は食って掛かる。
「なに? 沙耶の居所を知ってるの!?」
「知らねぇよ。けど……大丈夫なんだよ」
潤の眉間に、一瞬シワが寄った。視線を地面に落とす。
腰に手を当てて、プンプン怒る佑香。
「なんでよっ!? だって、あんた、潤が留年ぎりぎりの崖っぷちにいるってことを知ってるくせに、『一緒に探してくれるのか?』って頼んだじゃない! 今になって、『大丈夫だから帰れ』って、どういうことよっ!?」
「……オメェには、言わねぇよ!」
大輝がそう叫んだ時、店の自動ドアが開いた。
中から店長が、電話の子機を片手に飛び出してきた。
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