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俺の友達の話シリーズ

畑のお化け

作者: 尚文産商堂

俺が小さかった時の話なんだけどな。

俺の実家の前の畑がスイカ畑だったんだ。今でもそうなんだけどな。

まあ、スイカ畑って言っても、他にもメロンだのなすびだの、いろいろと植えてあったんだけどもな。

それはいいとして。

そのスイカ畑はな、ずいぶん昔は誰かの墓だったらしくて、時に妙なものが掘り出されることがあるんだ。

遺跡みたいなもんだから、その遺構が掘り起こされているんだとは思うんだが、例えば埴輪とか、あるときなんか、金でできたネックレスなんかが出てきて、警察に届け出たこともあった。

いや、今となってはこれらはみんな笑い話だよ。

でもな、ひとつだけ、笑い話ですませれないものがあるんだ。

それが、これから話すことなんだ。

まあ、ゆっくりと聞いていってくれ。さほど時間はとらせないさ。


俺が夜にスイカを収穫していたことだ。

その日は、朝から昼にかけてずっとしとしと雨が続いていたから、結構しめっていたんだ。

あたりは結構暗くて、家からの光もあまり差し込んでこない場所だった。

街灯も無くて、俺が持ってきていたカンテラひとつが、唯一の光源ともいえたな。

月は雲に隠れていて、ぼんやりとした光を、俺へと投げかけていたんだ。

ああ、夜に収穫するのは癖みたいなもんでな、夏の時期って、昼暑いから夜に収穫するんだ。

そのまま家で食ったり、お隣さんにあげたりするんだがな。

ちょっと脱線したか、まあいいや。


それで、一人でスイカ収穫をしていた時、ポツン、ポツンと雨音がし始めたんだ。

まるで、石に当たる水滴が反響しているかのような感じだ。

水琴窟(すいきんくつ)をもっと金属的な音にして、ぼんやりとさせたっていう感じだったな。

そんな感じの音だったから、すぐに雨じゃ無いって気付いたんだ。

後ろの遠くに聞こえたその音も、ザクザクという足音とともに近づいてきたんだ。

俺が「誰だ」って叫び、振り返ると誰もいない。

でも、さっきの音は間違いなく、俺の後ろにいた。

すぐ後ろだ、見逃すはずはない。

鼓動が一気に加速していくのが、耳に聞こえるほどに分かる。

100mを全力疾走しまくったように、汗が体中からあふれ出してくる。

手に持っているハサミぐらいしか、武器になるようなものはない。

その時、足元のカゴにふらついた拍子にぶつかって、こけたんだ。

目の前にはスイカが、じっとこちらを見ていた。

あれは、確かに俺を見ていた。

目なんかは付いてないんだ。それは、俺も分かってる。

でも、そいつらは、そこにいた全部のスイカやメロンやナスや他のもろもろも、俺をじっと見ていた。

そして、唐突に声が響いた。

「お前を常に見張ってるぞ」

その拍子に、俺は飛び起きた。

背中は土だらけで、払い落そうとした時、彼が見えたんだ。

スイカを手に持った人が、明らかに死んでいると分かる、全身骨でできた人が立っていたんだ。

そして、スイカを一口かじると、俺を指さして言った。

「何も言うな、言いたいことは、全部お見通しだ。我はこの土地に眠るもの。たまにスイカをもらいに来ている。なかなかうまくできているようで、感心だ」

そして、再び土にどさっと座ってしまった俺に近寄っていった。

「これからも、作ってくれるのであれば、おぬしには褒美をやろう。おぬしの望むものをやろう。いくらでもだ。だが、作らなくなれば、おぬしに罰を与えよう。その褒美の分の×を与えることになろう。もっとも、スイカに限らず、何を作ってもかまわぬ。だが、我の分を常に残すよう」

そして、耳に触れると、激痛が俺を襲った。

「それは、我とおぬしの契約のしるしだ。永久に途切れぬしるしだ。子子孫孫、栄えることを約束しよう」

その直後、俺は気を失った。


気付いたのは家の中。

もう服も着替えさせられていて、風呂にも入った後のようだった。

近くに全身鏡があって、左耳の触られたところを確認すると、青白いあざのようなものがあったんだ。

いまでは薄くなっているけども、それでもそこだけ棒状の何かを押し当てられたかのような痕がしっかりと残ってるんだ。

見たい?え、見たくない。じゃあいいや。


それからの話も聞かせろ?

まあ、その後は、普通に畑耕しながら大学に行ったんだけどさ、そこで知り合った可愛い女の子と付き合うようになって、直後に東証一部上場企業に就職して、その子と結婚して、それで子供作って、今じゃ部長さ。

ここまでとんとん拍子に上がってこれたんだから、常務入りは間違いないだろうってさ。

あ、そうそう。

畑は今も耕し続けてるよ。

今年はトマトにスイカにヒョウタンに挑戦したんだ。

どう、食べてみる?

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