No.1「ティーチャー&スチューデント」
四人で仲良くお話を続けること数分、大体のみんなの性格がわかってきた
霧須 美佳
おてんばでジャジャ馬、笑顔だけがとりえくさい
朝生 賢
ノリがよくモテそうなオーラ全開の男
しかし、なぜかみかんだけは苦手なようだ
九条 瞑
この人は完璧なやまとなでしこだと思った。なぜこんな人が人を殺したのかがわからない
まぁ、人は上辺だけでは計れない。しょせんは表の顔、裏の顔がでてくれば嫌と言うほどわかる。なぜか俺はそれを知っていた……
と、そのとき
「どうした? そういやさっきから顔色悪いけどなんかあったんか?」
賢が心配そうに声をかけてきた
「いや、少しのどが渇いてね……」
別にのどは渇いていなかったのだが、とっさに思いついたことを口にしてしまった
すると……
「だったらこれだー?」
と、みかんが大声で叫んできて、デン、と置かれたそれはまさにオレンジジュース
ハァ、みかんゆえのオレンジジュースですか
どうすっかと思った俺を見て瞑がこっそりと、
「どうかこれをお飲みください」
といってスッ、とミネラルウォーターを置いてくれた
……
1、オレンジジュースを飲む
2、ミネラルウォーターを飲む
3、どちらも飲まない
ここは4のオレンジジュースを飲んでミネラルウォーターはもらってとっておくだな、うん
ゴクゴク
「いやぁ〜、私が綾にのまれてく? あ、でも綾になら飲まれても? でもでも〜、会って数分なのにこんな急転開〜……」
たかがオレンジジュース一杯を飲むだけでぐだぐだと言ってくる少女みかん。ミネラルウォーターを飲んでからオレンジジュースをとっておけば良かった……
激しく後悔してると瞑が
「そうですか……、綾君にはそんな能力が……これは要注意ですね」
とかなんとか小声でぶつぶつ言っている
「瞑、どうかしたの?」
まさか……
「綾くん、あなたの超能力の一部がわかりましたわ」
……チッ、あれだけ気をつけていたのにわかってしまったか……
PSP患者同士での戦いは熾烈をきわめるため、事前に能力が知られてしまうのは致命的なのである。だから、綾は事前に知られてしまった驚きを隠せずに
「ま、まぁ、そこは内緒にしといてくださいよ」
こんなことを言うのが手一杯だった。そこでアナウンスが流れる
「PSP患者のみなさん、ようこそお集まりくださいました。これからバトルロワイヤルを始めたいと思いますが、ルールを確認したいと思います」
大人の女性の声が学校に響きわたる
「最初に、何故チーム分けをしているのかという疑問点ですが、PSP患者同士の戦いはほぼ互角、勝負がつかない場合がほとんどです。なのであえてチーム戦ということにするとサイクルが早くなるということ。まぁチーム内で殺しあっても全然かまいませんが」
「だってよ、殺しあうか?」
賢が冗談めかして言う
「遠慮しときますわ、だって死にかけて獅子と戦うより雑魚を狩ってる方が簡単ですもの」
瞑がさらっと残酷なことを言う
「瞑ちゃんって頭イーねー?もう少しで綾の頭が飛ぶとこだったから危なかったよ?」
みかんが馬鹿なことを言う
……このくそ女が、俺を殺そうとしてたのか
「えー、それでルールの方ですが、各々のクラスから2名を各ステージに排出してもらって殺しあってもらうという簡単なものです。途中の命乞い等、助けを求める行為はいっさい受け付けないのでご注意下さい。なお、特別教室2年1組だけは能力的な差から1名だけとします。なお、戦闘中の様子は自分の組が戦っているときのみ黒板のモニターに表示されます。では、ただいまから各ステージにどのグループが行くのかを発表します……」
「……面白いことになってきたな、最初は誰が行く?」
賢が興奮して様子で皆に意見を求めてきた
「……僕がいこう」
僕は、この場にとどまるより早く何かがしたかった
「えー? 美佳が1番がいー?」
「まぁ、そう慌てんなよ、僕の格好いい姿でも見て惚れてるんだな」
1番慌ててる僕が言うのもアレか……
そう、みかんに言い残して教室を後にしようとすると
「頑張って下さいませね」
と、瞑が励ましてくれた
「……ああ、ありがとう」
なんかこの人だけは癒しだな。そう思ってるとついに呼ばれる。
「2年1組、3年4組は体育館へ集まって下さい」
……さぁ、殺人鬼同士の殺し合いを始めようか
教室から出る時にさっき瞑からもらったミネラルウォーターを持っていくのを忘れない
「んじゃ、行ってくるわ」
言いながら綾は教室のドアを開けた……、すると試験官がちょうどこちらに歩いてきてるところで
「代表者ですね、今から体育館へ案内します」
と言われ、黒服に黒メガネのいかにもな試験官についていくこと5分弱……
無機質な廊下を抜け、学校特有の物質的な匂いを帯びた階段を降る。その後少し中庭を通ると、古びた体育館がそこに建っていて、まず目に入った僕の身長より幾分か高いその入り口は僕というものが来ることを拒んでいるようにも見えた。そうしてぼんやりと体育館を眺めていると、試験官が説明をしてくれた
「これより、中に入った瞬間からスタートとなります。既に先客はいらっしゃるので、入り口早々首が飛ぶこともございますので、お気を付けください」
ここにいるやつらは首を飛ばすのが好きなのか? つい10分ほど前に聞いたようなセリフを背に受けつつ躊躇なく立て付けの悪そうなドアを開ける
「……」
意外にすべらかに開いた扉。しかし綾をまっていたのは入った瞬間感じる異質な空気、気を抜くと嘔し発狂してしまいそうな殺意だった。
だが、この感覚は知っている。覚えは無いが覚えてる。悲しく切ない血色のパレット、殺すという言語のみで生きている愚者。
既に殺し合いは始まっているのだ。そう確信し、薄暗い体育館の中を注意して見まわしてみた。すると、その発生源には2人いた
いや、正確には『1人と一個』だ
体育館の中央、月光に照らされた木製の面の上には優雅な少女、とその下僕。下僕は両手の爪がはがれ、髪は抜けただれて、指は数本ちぎられている。目の焦点が定まらない下僕は既にうめき声しか上げられない。つまり、既に下僕は『物』でしかない存在になっていて、苦しみ、もがき、あえいでいた
「ォォゥォォ……」
よく見ると舌が無い……、それはうめき声しか上げられないはずだよな、っと、感心してみているとあることに気づく
あれ? あいつのパーツはどこにあるんだろう?
下僕の手の指や髪の毛、舌といった人体のパーツは綺麗と言って良いほどどこにもなかった。だが、確かに切断面は明らかに今しがた切られたものだ
じゃあどこに?
辺りを見回してると少女が口を開く……
「見たい物はこれかな? お兄ちゃん?」
文字通り口を開いた彼女
「!!!」
そこには、この世のものとは思えないおぞましい景色。少年はしかし目をそらさずに見てしまう
無垢な少女の口から垂れる
血……
髪……
指……
「……ああ、見つかったよ、ありがとう、……ウッ」
綾は、嘔吐しそうになりながらもなんとかそれだけ答える。そう、少女は今しがたまで下僕を、同じクラスの『人』を喰べていたのだ
「お兄ちゃんが遅いからこの人もう死にそうだよ?」
死にそうにしてるのはどこの誰だよ……そう思いながらも、この惨事を目撃してしまった本人としてはそのことにあまり関わりたくは無かったので
「そうか、悪い、じゃあ今から速攻でとどめを刺してやるよ」
と言って腕を振り上げ早めに終わらせようとした……
しかし、僕が手を上げるげると少女は
「ダメ!」
と言って下僕の片腕をちぎって投げつけてきた
「ウォォォォ!」
下僕の声がこだまする体育館、もはやここは開始早々3分で生ぐさい血の臭いで充満してしまう
「これは私の獲物兼お昼ご飯なの。お兄ちゃんにはこいつの腕あげるから待ってて」
さも弁当かなんかのように言ってのける少女の顔はあくまで純粋、やはり人間上辺だけでは判断できんな。そう思っている間にも下僕は喰べられている
グチャ
ムニュ
ゴキッ
一生に一度拝めるかどうかの光景。甘美なる宴は僕の脳内を激しく刺激する
まずは手……
次に足……
そして胴体にさしかかるところで下僕の異変に気づく
「喜んでる?」
そう、下僕の顔はあくまで笑顔、なぜ食べられて喜ぶ必要があるのか?
もっともなぜ食べるのかが微妙なところか……
そうして、手出しが出来ずに見守ること10数分……、既に下僕は『頭』というパーツでしかなかった
下僕の殆どを喰い尽くした少女はつぶやく
「……りない」
「? やっと俺とやる気がおきたか?」
「全然足りないの……」
少女は足りない、足りないとぶつぶつ口にしながら俺に近づいてくる
「え? もしかして次は俺が喰われるばん?」
体を動かして必死に逃げようとする、が、しかし体が動かない。俺の意識とは関係なくこの場から動こうとしないのだ
まるで少女に魅せられてしまった純朴な少年のように
これはやばい、一回戦からやっかいなやつに当たってしまった。思えばあいつが下僕を喰べている間一歩も動かなかったな俺……
そうか、あれは動かなかったんじゃなくて[動けなかったんだ]
「…ゴクッ」
のどが渇く
そういや水持ってたっけな
「お兄ちゃん、私の中で一緒に遊ぼうよ?」
「それはいいが、最後に水を飲ませてくれないか? 俺の服の中に入ってるんだ。もぅのどが渇いてしょうがない」
くそっ、もうあの手しかないのか……できれば使いたくなかったのだが……
「あ〜、これだね?大丈夫、瑠璃優しい子だからちゃんと飲ませてあげるよ」
瑠璃っていうのかこの少女は……
まぁ、今更名前がわかっても数分後にはどちらかが死んでいるのだ、今更問題にするべきではない。……言葉が喋れるってことは舌は動くな、よし
「で、どうやって飲ませるつもりだ?」
多分この子のことだ、おそらく……
「もちろん、口移しだよ、お兄ちゃん?」
瑠璃は口に水を含み、優しく綾に口づけをした
「ダメ〜! ダメなの〜! あいつは美佳のなの〜! 誰にも渡さないの〜!」
2年1組に絶叫が轟く
「あ〜、うっせぇなー、キスぐらいでうだうだと」
黒板のモニターで綾の戦いを見物しているみかんと賢と瞑。当の本人をよそにくつろぎムードである
「でもアレはピンチゃありません? 多分相手方の超能力は『魅了』、かかったら最後、術者が死ぬまで一生下僕になりますわよ」
瞑は黒板のモニターから一切目を離さずに食い入るように見つめながらそう言った
「大丈夫大丈夫、俺が生きててあいつは最初みたときから勝てないと思った初めての男だからな。そうそう簡単にやられる奴じゃないだろ」
「え〜? 美佳は全然楽勝だと思ったけどな〜?」
「そりゃ、お前がバカだからだよ」
「……んだとこのガリガリ! てめぇなんざ豆腐の角に頭ぶつけて瑠璃ちゃんにでも喰われてしまえ!」
「おいおい、ガリガリって……」
賢が一瞬キレそうになると
「まぁまぁ、美佳さん、私のおやつの蜜柑あげますから落ち着いて綾君の戦いでも見てましょうよ」
と言って瞑が懐から蜜柑を取り出してみかんにわたす
「あ〜、みかんだ〜!! はーい! この霧須美佳、おとなしく見てまーす!」
「……あー、これだから女ってやつは」
……
月光が輝く体育館の中央、少女は少年にキスをした。流れてくる[水]、それを飲み干すと、少年は舌を絡める
まるで、『魅了』されているかのように
絡み合う舌と舌、ぬちゃぬちゃという音を辺りに響かせる。舌が舌に触れ合うたびにしびれるような感覚が脳内に響く
快感
溶けろ
一つになれ
脳が綾に命令してくる。一方、瑠璃は一心不乱に舌を絡ませてくる
クチュ
ピチャ
ズズ……
さっきまで下僕を喰べていたから血の味がする
『ダメだ……』
このままではこの気持ちにあらがえない。
後少し……
後少し待ってくれれば…
「お兄ちゃん以外にキス上手なんだね、瑠璃興奮してきちゃったよ」
そういってキスを再開する。互いにしびれあう脳内、休むことなく絡み合う舌と舌
そろそろか……
「!」
瑠璃がいきなり俺の舌を噛みきろうとしてきた。やばい、間に合わなかったか?
グチュ
肉が引き裂かれそうな思いに捕らわれたそのとき
「ん……ムチュ……、ハァ……だめ、どうしよう、体が熱い……」
そりゃそうだろう、だって
「お前の体は俺が操っているんだから」
杵島 瑠璃は純粋だった。お嬢様学校と呼ばれる南桜学園に幼稚園から通っている瑠璃は学校内でも1,2を争うバカだったが、そんな瑠璃には大好きな先生がいた
久住 光輝
その先生はいつも瑠璃がテストで赤点を取ると補習をしてくれた。あの先生の熱心な心、真っ直ぐ前を向いた瞳、たまに赤点を免れるとおおいに喜んでくれる。そんな先生に惹かれて中3の秋、ついに関係を持ってしまった。
嬉しかった
やっと純粋に憧れの先生と繋がった、これからは久住先生を悲しませないようにいっぱい勉強しようと思った。
瑠璃は勉強した。ただただ純粋だったから、先生を喜ばしたかったから。
しかし、瑠璃は見てしまう、あの光景を……
………
あの地獄のような勉強と、天国のような久住先生との一時のおかげで瑠璃はなんとか進級できた。瑠璃と争っていた親友麻由美は落ちてしまったが、まぁしょうがない。瑠璃には先生さえいれば学校に来る理由は十分だった。合格発表が終わった帰り、久住先生を驚かそうと思って校舎の前で待つ瑠璃。2月のことだったのでまだ外は寒く、だんだん皮膚が赤くなるのがわかった。
「先生遅いなぁ、今日は合格発表だけだからもうくると思うんだけど…」
脅かしちゃおっか
そう考え瑠璃は補習室に行く。先生は職員室より補習室にいる確率の方が高いのだ
てくてくてく……
幾分か寒かったので早足になる。まぁ先生にいち早く会いたいのもあるけどね。
だが……
補習室まで後少しというところで異変に気づく。ドアが少し開いていて中から声がするのだ
『ミルナ』
その中を見ようとすると瑠璃の脳内から声がする
『ミテハイケナイ』
しかし、瑠璃は見てしまう……
「……クチュ、ムチュ、ん〜……」
「麻由美!?」
そう、瑠璃のバカつながりの親友、麻由美が久住先生と……
何で?
どうして?
ワカラナイ
瑠璃はその場から逃げ出した。2月の灰色の空の下、一目散に学校を抜け出し
走る
走る
走る
家に着いたら速攻でベットに沈み込んで泣いた。
『どうして先生、ねぇ、どうして?』
今日は3月28日、うちの学校は春休みが4月の為、入学式は3月にある。それまで一度も外にでず引きこもりになってしまった瑠璃は今日は学校にでようと思った
「だって、麻由美はもういないから」
そう自分に言い聞かせて玄関のドアを開ける。
まだ3月なので少々肌寒いが陽気はちらほらでているようだ。その様子を見ていると今の心が少し安らぐ気がした。懐かしい通学路、懐かしいこの制服、まだ一ヶ月ぐらいしかたっていないのに瑠璃にとってはとても長く感じる一ヶ月だった。
学校に着くとすぐに久住先生が向かってきて
「大丈夫か? 瑠璃の親から病気と聞いて、すごく心配したんだぞ?」
と、言ってくれた
久しぶりの先生の声、目、指……
そのどれもを麻由美にあげてしまったかと思うと胸が苦しくなる
ねぇ、先生、どうして何もいってくれないの?
「あ〜、瑠璃じゃ〜ん! 久しぶり〜、元気してた?」
唐突に瑠璃の背後から声がする
それは……
麻由美だった
「……」
言葉がでない瑠璃、何も考えることができず立ち尽くしていると
「ぁ〜、その目は何で学校にいるの? って目だな〜? 実はさ、ほんとは落ちてたんだけど、久住先生が部活動の方でどうしてもこの麻由美が抜けると困るって後押ししてくれたから間一髪残れたのよ! かっかっか〜」
なるほど、麻由美は体を売って高校に残留した、と、そういうことか……
ふ〜ん
プチ
瑠璃の中で何かが切れた。先生を独り占めにしたい。でもどうやって?
――せ
え?
―ろせ
何?
コロセ
……
「……ねぇ、先生? 今から補習室に行きません? 先生に今日会うまでずぅーとやってなかったからご無沙汰で」
妖絶な瞳で先生を見ながらこう言うと
「ああ、じゃあな麻由美」
と、たやすく了解してくれた。その後手を振って麻由美と別れる
歩いてすぐ着いたここは補習室、ここで何度この先生に教えてもらったことか……。先生は朝からやる気満々らしく、いつでも準備万端という風に身構えている。本当は先生ともっと交わりたかった。もっと先生の匂いを嗅いでいたかった。でも、それはもう叶わない願いなのだ
よくも
よくも
「よくも台無しにしてくれましたね」
「なにが……ウッ!」
少女は青年にキスをする
甘く、切なく、そして寂しく……
ブチ
グチャ
ゴキ
しかし、その音はキスの音ではない、正真正銘、肉を喰べる音だった……
体が、熱い。溶けそうだ。まるで血が逆流し、心臓に集まっているかのようだ
「実質集まってんだよ」
目の前の少年が答える
「お前の能力は『魅了』だろ? だから俺は動けなかった。違うか?」
そぅ、そのはずなのだ。動けないお前がなぜ動ける
「全然納得してないお前に俺の能力を教えてやろうか?」
いや、……そうか、なるほど
「み、、みず、か……」
息も絶え絶え、心臓の逆流と言う名の拷問に顔を歪めさせながらも何とか言葉を口にする
「ご明察、そう、お水だよ。水が操れるということは当然血も操れる。まぁ、これは一回相手の内部に自分の操る水を入れなきゃ無理な話なんだがな」
血というのはそこら辺の水と違って意志がある。生まれながらに決まっている役割に沿って忠実な血を操るのは水とはわけが違うのだ
「ま、なにはともあれこれでお前はゲームオーバーってわけ、了解したかな?」
そうか……
私はここで終わるのか……
でもいいんだ、私は久住先生と一緒にいる、この人とだったらどこにだって行ける
「終わりだ」
体が熱い、心臓が急激な血の逆流により破裂する。これは惨劇の鎮魂曲、血潮が辺りに飛び散る
意識が遠のいていく
「く、ず、み、せ、ん、せ……」
そうして、目の前の少女は笑顔のまま体育館で散りゆくのだった……
「ふぅ、疲れた。結構危うかったな……」
次はアレを使うか……
そうこう思いながら教室のドアを開ける。すると
「おっかえんなっさ〜い!」
とかいいながらみかんが壮大に抱きついてきてキスの嵐を浴びせてくる
「も〜、綾は私の物なの〜、他の人にキスとかダメ〜!」
チュ
チュ
チュ
「いい加減うざいわぁ!」
みかんを突き飛ばそうとするが離れない。こいつ……俺が疲れてんの知っててわざとやってんな……
「なぁんだ、クールキャラ通してんのかと思ったらそうでもないのな」
さっきまでの綾はどこえやら。賢は瞑にそう、話しかけた
「でも、私はあっちの方が好きですよ?」
「俺もだ」
……賢と瞑がなんか話している。多分よくないことだろう。注意をそっちにそらしたいが、しかし……
「も〜、まだ私の物だっていう自覚がないみたいだね、そんなやつはこうだー!」
チュ
チュ
チュ
「っだぁ〜!」
笑い声が響く教室。だが、忘れてはならない、こんな彼らもPSP患者だということを……
まだ彼らの戦いは始まったばかりである |