発熱
「はぁ…疲れた」
俺は椅子に座り、前へもたれた。
「ちょっと、工藤くん…」
灰原が小声で近づいてきて俺の額に手を当てた。
灰原の手は冷たくて気持ち良かった。
「やっぱり…」
「へ?」
「帰りなさい。熱高いわよ。そうね、だいたい38度ってところかしら…」
「さんじゅう、はちど…?」
俺は灰原が発する言葉の意味を理解することが出来なかった。 俺の思考能力は熱によって、どん底まで落ちていた。
「体温よ。もう……。 歩ける?保健室までつれてってあげるから。ついてきて」
俺は灰原に言われるがまま、ついていくことにした。
「ねぇ、吉田さん。先生が来たら、江戸川くんを保健室につれていったこと、伝えておいてくれる?」
すると歩美は驚いたような顔をして、俺に近づいてきた。
「大変!コナンくん、大丈夫なの!?…わかった、哀ちゃん。ねぇ、わたしも一緒に行っちゃダメ…?」
「ええ。ダメよ。江戸川くんのことは私に任せて。あなたは先生に伝えてね。頼むわ」
灰原の言葉を聞くと、歩美は少し悲しそうな顔をしたが、すぐにあの笑顔に戻った。
「うん!コナンくん、早く元気になってね。無理しちゃダメだよ!バイバイ!」
俺は意識が朦朧とする中、歩美に笑顔を向けて言った。
「あぁ…。心配かけて…悪かったな、歩美。またな」
俺がちゃんと言えてたのか分からないが、歩美は軽く頷いて元太や光彦のところへ戻っていった。
「私達も行くわよ。ほら、しっかりして!」
灰原に言われ、倒れそうになった体をなんとか持ちこたえさせると、そのまま灰原に支えられて、教室をあとにした。