第五話 『監視者』
「『監視者』・・って・・」
「あ、言ってなかったな。『監視者』はコーズの子孫って言われてる。だから、考え方が半端じゃない。」
そして、男は手を加奈の方に出した。
「?」
すると、手は見えない壁に当たったみたいに拒まれた。
「わかるだろ? ・・・今この瞬間も誰かが俺とあんたを監視してる。」
男はため息をついて、加奈から離れた。
「今日はこのくらいにしとく。でも、次は容赦しねえぞ。」
そう言って、男は加奈の目の前で消えた。
「『監視者』『追う者』『追われる者』・・・」
完全に加奈の頭はこんがらがっていた。
「わけわかんない。私、こんな一枚の手紙に――――・・・」
加奈は手紙を見て、固まった。
文章が変わっていた。
『野沢 加奈様
あなたが次の『追われる者』・・・つまりはこの手紙の持ち主です。
さっきの『追う者』どうでしたか?あなたに全てを教えましたね。
まあ、それもまた役に立つことでしょう。
とにかく、その手紙は今現在あなたのものです。
前誰が持っていたとかは関係なく。
もうじき『監視者』がそちらの方に向かいますので、よろしく・・・
コーズ4143代表 ラーナ』
その手紙を読んで、加奈はぞっとした。
もうじき『監視者』が来る。
どうしよう。
加奈は今までにないような恐怖に陥った。
「野沢加奈さん・・・ですね。」
声がした。
加奈が振り向くと、その人物は優しく微笑んだ。
「あなたは・・?」
「聞くまでもないでしょう。あなたを監視する『監視者』ですよ。」
その笑顔を崩さないまま、女の人は言った。