第二話 一枚の手紙
手紙を開くと、見たことのないような文字が書いてあった。
「なにこれ、読めないよ・・・」
そして、しばらくじっと見ていると、文字が日本語に変わっていった。
「え?」
そして、そこにはこう書いてあった。
『 幸運なあなたへ
この手紙を手にしたからには、あなたには強運がついてまわるでしょう。
そして、その代償として、この手紙を『追う者』がついてきます。
あなたがもしこの手紙を手放したいというなら、この手紙に「×」を書きなさい。
けっしてごみ箱に捨ててはなりません。
それと、『追う者』にとられてもいけません。
その場合は、あなたとその家族の命が危うくなります。
では。幸運を祈って・・・
コーズ 』
読み終えてから、私はふっと笑った。
「なにそれ、変なの。ありえるわけないじゃん。」
不幸の手紙以上に威圧感はあったけど、『追う者』ってなによ。
なんだかいじめられている時よりもバカにされた気分になる。
「ばかばかしい。」
そう言って私は、その手紙を封筒にしまって、机の上に放った。
でも、その手紙は正しかった。
次の日からなぜか、いじめられることは極力少なくなったし、逆に人が寄ってきた。
「加奈とずっと話したかったんだけどさ―、やっぱり高岡さんたちの前でしょ。そんなわけにもいかなくって。」
以前親友だった有香が話しかけてきた。
私は、上の空で有香の話を聞いていた。
それよりも、手紙の事が気になって仕方なかった。
私は、そうしていたから気づかなかったけれど――――・・・
「野沢加奈、か・・・」
すでに、『追う者』は動き始めていたのだった。