エピローグ
こんなことになるなんて、全く予想なんかしてなかったんだ。
俺は、一人の少女の墓の前で立ち尽くした。
「……」
小さなため息が出た。
不意に5年前の光景を思い出す。
手紙から容赦なく噴出す閃光。
あの閃光には十分な致死量の毒が入っていた。
そしてあの独りの少女は死んだ。
俺はあの少女を『追う者』だったから、何もできなかった。
いっそのこと先に殺せば良かったのかもしれない。
今回の騒動で『監視者』すらも死んでしまったのだから。
あの女も。
あの女は俺の幼なじみだった。
でも、一族の運命ってやつで『監視者』にならざるを得なくなって、しかたなかったんだ。
そんな運命に身をゆだねて、何十人もの人間が、死んだ。
たった一枚の手紙で。
残酷だ、とは思った。
でも、俺一人の力なんかでどうにかなる問題ではない。
だから、今日はその少女の墓に花を供えた。
せめてもの謝罪。
「悪かった。おまえに手紙を授けたりして。」
あの手紙は、もともとの手紙の持ち主が、誰かを選んで手紙を授ける。
でも、大体が友人を選んだりするので、被害は知り合いなどに広まっていく。
それを恐れた俺は、全く知らない一人の少女に手紙を授けた。
つぐなうにはもう遅かった、俺の罪。
そして、俺が帰ろうとすると、大きな風が吹いて、帽子が飛んでいった。
「……さよなら、だな」
帽子を拾うのはひとまず諦める事にした。
俺は、夕空に向かって大きく手を振る。
明日は、自分らしくなれるかもしれない。
ふと、そう思った。
今まで本当ありがとうございました!!
本当に書いてて楽しかったです。
これからも小説書いていきますんで、よろしくお願いします。