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オムニバスホラー冥夜話第三幕。真っ白なネコとの出会いが洋子の世界を変える・・・?
冥夜話―メイヨバナシ―
作:ごん太



しゃべるネコ 其二


そのネコには見覚えがある。

「・・・あなた
いつも夜遅く帰る時に見かけるネコ」

「おや?
私がしゃべっている事に驚かれない。
ますます面白い」

ネコはまるで人間の様にニヤリと笑みを浮かべた。

「そうね・・・
なぜか不思議じゃないわ」

ネコは洋子の前まで歩み寄るとちょこんと座った。

「何か・・・
お悩みがある様で?」

「…え?」

「あなたの心の声が聞こえましたよ
『助けて!』・・・と」

どれだけ無理して頑張ろうと心の中では泣いていた。誰かにすがりたかった。

「……!」

洋子のほほを一筋涙が流れた。

「あなたの願い
聞き届けましたよ」

「・・・?」

「あなたとの今宵の出会い永遠に忘れる事は無いでしょう・・・」


目を覚ますと
そこは病室のベッドだった。
体調は快復し
それどころか以前より調子がいいくらいだ。

洋子はその日のうちに退院し、卯月へと向かった。

「洋子!」

宏子はショーウインドウごしに洋子を見つけると店の外まで走って来た。

「もう大丈夫なの?
重度の過労でしばらくは寝たきりだって聞いてたけど」

「うん、大丈夫
心配かけちゃったね
ゴメンね?大事な時に…」

「店長も心配してるわ
さ、行きましょう」

店に入ろうとした時
歩道脇にせんこうが1本供えられているのが目に入った。

「これ・・・何?」

「あぁ・・・
ムクのお供えよ・・・
あなた知ってるでしょ?
夜中にいつも会うって
昨日の夜中の2時頃ね
店長が車のスリップ音で目が覚めて外に出たら・・・」

「そんな・・・
じゃあ・・・あれって」

「洋子?」

夜中の2時
あの声が聞こえた時間。

「ムク・・・
ありがとう・・・
あなたのためにも
頑張るから」

洋子の目からぽろぽろと涙がこぼれた。


コンクール当日
洋子はギリギリ作品が間に合った。
結果は、、、
宏子は2位入賞
洋子は3位入賞
優勝はできなかったものの自分が目指す菓子職人への華々しいスタートとなったのだった。


「ナァァァオ」

ネコなで声にゆっくりと目を開ける。
視界はひどくぼやけて
まるで濃霧の様だ。

洋子の目の前に真っ白いネコが歩み寄って来た。

「ムク・・・?」

手を差し出そうとしたが
不思議と力が入らない。


急に目の前が真っ赤に染まった。

「…な……に……?」

ドロリとした液体が視界を遮る。


洋子は思い出した。

自分の無力に嘆き
親友の才能に嫉妬し
そして聞こえてきたネコの泣き声に導かれる様に
病室から飛び降りた・・・

洋子は虚ろな表情のまま
ぼそりぼそりと声を絞り出す。

「ねぇ…ムク……
私…ね……
3位……入賞…
した……んだ
よろこ………」

前触れも無く全身がうなだれ
洋子は事切れた。


彼女の見つめる先には
ネコなどいなかった
最後の瞬間まで幻を見ていたのか
それても彼女だけにはネコが見えていたのか・・・


「しゃべるネコ」 終


第三幕いかがでしたでしょうか?怖さと言うか虚しさが残る話になりました。ちなみに「あふた〜5」は不定期です。もし、あふた〜が見たい方は感想次いでにでもご連絡下さいませ。











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