放送室の雑音 其四
冴子が見たのは、、、
いつも通りの放送室
あの“胎児”も
部屋中に鳴り響いた“雑音”も
全ては何もなかった様に静まりかえっている。
「・・・・」
その場でヘタり込んだまま放心状態だったが
「……ん
あれ?放送……室?」
「司っ」
冴子は司に抱き着いた。
先程の恐怖と、
それがようやく終わった安堵感でこらえていたものが吹き出した。
「つか……さっ…!
こわ……かっ…た
こわかった……よっ!」
「ちょっ!?
サエ!?
え、恵も寝てるし……
あれ?」
いつも冷静な冴子のそんな姿に司はただ黙って頭を撫でていた。
3人は放送室を出ると
窓の外を見た。
「……きれい」
「……いつもの月」
「……
帰ってこられたんだ」
その輝く月は3人を
学校全体を
包み込む様に光を落としていた。
翌日−
3人はオカ研部部室にいた。
「結局……
どう言う事?」
「……裏
……世界……?」
「わかんない」
放送室での出来事を思い返す3人だが、
その結果としては
『全てが謎』
と言う結論に達した。
ただ、大きな問題が残った。
「司は、どうしてあそこにいたの?」
「あっ!
そうそう!
私達はどんだけ歩いても女の子に会うまで戻れなかったのに!」
「……
う〜ん?」
司はうんうんうなっていたが急に立ち上がった。
「そうだ!
手首!!」
手首と言う言葉に
冴子と恵はギョっとして顔を見合わせた。
「手首に掴まれて!
……気がついたら
サエが泣きながら私に抱きついてきてて」
「サエ……
そんな泣きながらなんて
私にも泣きながら抱きついてきて!
さあっ!」
恵は腕を広げると満面の笑みを浮かべた。
「……
おバカ……」
冴子はあきれ顔で深くため息をついた。
「司ちゃん!聞いた!?
サエが私の事バカって!」
「うん
当たってるし」
「ヒドっ!?」
冴子はそんな2人の掛け合いを見ながら
司の言葉を思い出していた。
(あの手首……
私達を放送室に連れて行こうとしたの?
それとも偶然?)
ムニッ
難しい顔をした冴子のほっぺたを指でつつく恵。
「サエ?
どしたの?」
「……あ、下校の放送」
しばし、校内に流れる放送音を聞く3人。
「……
さ、帰ろう!」
3人は部室をあとにした。
校内放送が終わり
マイクの電源が落とされた、、、、
「放送室の雑音」 終 |