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オムニバスホラー冥夜話第一幕。緑の満月が浮かぶそこは、いつもの学校なのか?
冥夜話―メイヨバナシ―
作:ごん太



放送室の雑音 其二(改修


3人は“緑の満月”をただただ見上げるしかなかった。

「嫌!
何あれ!!?
緑色の……!」

司の悲鳴の様な一言に2人は我に返る。

「とにかく出口を……」

冴子が言い終える前に、ガタガタ震えて縮こまっていた司が急に立ち上がった。

「帰る!
私は帰るから!!」

怒気まじりに2人に言い放つと長い廊下へと走り去った。

「待って!司!」

「サエ!司ちゃん!
待って!」

冴子と恵は暗闇に消えた司を追った。
どれくらい走ったのか、

30分?

1時間?

延々続く廊下は時間や空間認識を狂わせる。

「…司
……どこ…行ったの」

「司ちゃん、大丈夫……かな?」

冴子はその質問に素直に
「大丈夫」と答えられなかった。
2人はあらためて窓の外に輝く“緑の満月”を見上げる。

「……帰りたい
…ここから……出して
…お願い……」冴子は自分を抱きしめる様に腕を絡ませ、その身体を小刻みに震わせた。

「サエと司ちゃんと……
3人で…絶対帰ろ……」

そう言って冴子を抱きしめた恵の身体も弱々しく震えていた。


2人は司の名を呼びながら疲労にきしむ身体を引きずる様に歩いた。

「つかさちゃ………」

ドサッ………

っと、冴子の後を歩いていた恵が突然、前のめりに倒れ込んだ。
冴子は驚いて振り返る。しゃがみ込んで恵に言葉をかける。

「恵………?」

「……サエ……
たすけ…て………」

恵の言葉に冴子は“何か”を感じた。

「あし……くび
…なにか……つかん…でる」

恵の足首に目をやった冴子はその場にヘタり込んだ。恵の足首を真っ黒な手首が掴んでいた。
手首“だけ”が。

「、、、、、!!」

冴子は恐怖で硬直した。

ズルッ…

  ズズッ……

    ズルッ………

手首は少しずつ奥へと恵を引きずり込む。

「い……や…
たす…け……」

恵は消え去りそうな声で冴子に助けを求めた。
その声に冴子は我に返り、恵の腕を掴む。
しかし手首の力は強く、冴子の身体ごと引っ張りはじめた。

「恵…!
恵を…放し……てっ!!」

凄まじい力で引っ張る手首に恵を放すまいと冴子も必死に抵抗する。

「う…ぐっ……
いた……い…」

手首は恵の足首を握り潰しそうなくらい力をいれた。

「ダメ!恵を放して!私達を帰して!」

その言葉に反応するように急に手首は引っ張るのをやめた。
手首から解放された恵はズリズリとほふく前進し、冴子の足にしがみつくと号泣した。
ただ、手首はまだそこでじっとしている。
冴子は恵を自分の方へ引き寄せると手首を睨みつけた。

「何なの…!?」

「……サエ
…行こ……」

手首を睨みつけ、立ち上がるとヨロヨロ後ずさりしながらその場を離れた。


「司ちゃん……
襲われてないかな…」

あれからも長い廊下を歩き続けていた。

「あれ……
なんだったのかな…」

「・・・」

恵の問いに冴子は言葉を詰まらせた。

(あれは何…?
手首…だったとしか)

「あれは何?
……人間よ?」

ふいに後ろから声が聞こえ、振り返る。

「あ……なた…は?」

搾り出す様に冴子は問い掛けた。
2人の前に立っていたのは小さいな人の形をした“黒い塊”だった。

「……こんばんわ、
お姉ちゃん」

恵は“それ”を見るなり身体を震るわせた。
あの手首と同じ様に真っ黒な“何か”。
顔の部分には目と口があるだけ。
色黒とはあきらかに違う。言葉の通り“真っ黒”。長めの髪の様なシルエットや声でようやく女性だとわかる。
小学校低学年くらいの身長だろうか。

「……人間…て…?」

「あなた達と同じ人間よ」


極端な恐怖では無い“不安と、それによる恐怖”を感じていただけたら幸い?です。











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