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オムニバスホラー(?)冥夜話第六幕。彼女が見つけた不思議な店の正体とは・・・。
冥夜話―メイヨバナシ―
作:高田高



願いを叶える薬『有りマス』 其一


白野市しらや
ビルが林立する都市。
都市の多くに
人の目に付きにくい場所が存在する。
怪談の舞台になる不気味な場所。
今回の舞台は
ビル街にひっそり店を構える薬局。
その薬局に訪れた女性に起きた奇妙な出来事。

『モノトーン』
ビル街を少し離れると
ひっそりとたたずむ年季の入った飲み屋。
内装は黒と白のみで落ち着いた色使いが特徴。
古くからの客も多く地域に愛されている。

岬 真
(みさき まこと)
モノトーンで最近働きはじめた新人。
童顔で、そこから見せる笑顔は万人を癒す。
名前から男に間違えられるのが悩み。


「マコ
今日もお疲れ様
急にサキが辞めちゃったから大変だけど
頑張ってね」

モノトーンのママ。
小野寺 春花
(おのでら はるか)
優しい人柄から多くの人に頼られる。
悲しい過去があるらしいがそれを知る人物は少ない。

「私なら大丈夫ですよ
サキさんの事は仕方ないですよ
できちゃった婚ですし」

真は春花に挨拶すると
帰路へついた。
強がってはいても
3ヶ月前まではOLをしていた真には知らない事ばかり。
毎日覚える事だらけ。

「・・・でも
休んでると・・・」

真の瞳に涙が浮かぶ。

3ヶ月前
仕事を辞めるきっかけになった出来事。
彼氏の急死。
婚約もしており1年後には結婚するはずだった。

自暴自棄になり
自殺しようとしたところを春花に助けられた。

「忘れなきゃ・・・
泣いてたって・・・」

真の目から一筋涙がこぼれた。

「お嬢さん
何か辛い事でもあったのかい?」

「えっ!?」

声のする方へ振り向く。
そこには木造一軒屋があり入口に背の低いおばあさんが立っていた。

「すみません
人の家の前で泣いてたら迷惑ですよね」

「お嬢さん
ウチはな、よそと違ってなかなか面白い薬扱ってるのちょっと見て行きな」

「え?
いえ、別に病気なわけじゃなくて・・・」

「心配せんでも押し売りなんかしないよ」

真は強引に家の中へと引っ張り込まれた。


中はこじんまりとしておりあちこちに薬が並べられている。
その薬棚のラベルはどれもユーモラスなものばかり。

「爪が伸びなくなる?
猫舌が治る?
足がつらなくなる?
・・・・?」

(何これ?
薬・・・?
どれも変なのばかり
治ったり予防してもメリット無いわよね?)

そんな中に目を引くラベルを見つけた。

「記憶力が良くなる・・・えっ!?」

今までのものと違い
かなり気になるラベル。

「記憶力に自信が無いのかい?
試してみたらどう?」

「いえ
あまりお金持ってませんし」

「1回分無料にしてあげるよ」

「そんな!
悪いですよ!」

遠慮
と言うよりもあまりの怪しさに拒否したのだが
おばあさんは強引にその錠剤を持たせた。

「心配しなくても副作用も無いから
ちょっと試してみな」

「そう・・・ですか」


翌日
真はあの店の事を春花に話した。

「ふーん
そんなお店あったかしらねぇ
で、そこの名前は?」

「あ・・・
聞いてませんでした」

「ま、
あまり気にしない事よ
別におかしな事されたわけでも
お金取られたわけでも無いし」

「そうですよね
あ!そろそろお店開ける時間でしたね」

開店の準備をしながらも
やはり頭から放れない。

腰に巻かれたエプロンのポケットから薬を取り出すとにらめっこをはじめた。

(記憶力が良くなる
そんなまさか・・・
でも・・・)

真は思い切って薬を飲み込んだ。

「マコ
Aテーブルがビール2
Bテーブルに3
Cテーブルはこっちのお酒ね
後、Aにタコわさび
Cにこっちの漬け物ね
よろしく」

その日は
いつもの様に数字の羅列に混乱する事も無く
スムーズに仕事をこなせた。

(すごいよ、あの薬!
全然混乱しないし
注文と数字がごちゃ混ぜにならないし)


最後の客が帰り
ようやく忙しい1日が過ぎた。

「マコ
今日は一度も間違えなかったね
要領が掴めた?」

「そうですね・・・
まだまだ必死ですけど」

「これなら
あっと言う間にサキの穴は埋まりそうね」


帰り道
真はあの店を探した。

「この辺・・・だよね
どこだろう・・・」

辺りをキョロキョロしていると
後から肩を叩かれた。

「っ!!」

「なんだい
そんな顔して?」

「驚かさないで下さいよー・・・
えっ?」

目の前には
古びた木造の薬局があった。

それは先程通った道に
まるで昔からあった様に。

「ここ・・・
歩道があった場所・・・」

「ウチの名前はな
天外堂って言うんだよ
ここにあって
ここには無い
面白いだろ?」

突然現れた店と
まるでナゾナゾの様な言葉に真はただ立ち尽くしていた。

「お嬢さん
何かいり用かい?」

我に返ると
改めて辺りを見回す。

歩道のど真ん中に非常識に店が建っている。
更に
店自体がユラユラと陽炎の様に揺れている。

「天外堂・・・」


第六幕となりました。今回は不思議な話です。正直なところサブタイトルでオチはバレバレかと思いますが、そんなのもいいですよね?











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