挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

ブックマークする場合はログインしてください。

乙女ゲームのモブは…

乙女ゲームの攻略対象者はモブの幼なじみです

作者:かずは
幼なじみ視点です。前のやつとちょっと感じ違うかも。高校入ってからしばらくの話です。
時間がしょっちゅう飛ぶから読みづらいかも。ああ、文才が欲しい…。
俺の名前は赤羽貴成。
赤羽コーポレーションの社長の一人息子だ。
俺には、幼稚園からの幼なじみがいる。
名前は篠山正彦と言って、少し変わっているが本っ当にいいやつだ。

始めて会ったのは幼稚園の入園式で、人の名前を聞いてきたと思ったら突然倒れた。
慌てまくった先生方や騒ぎに驚いて泣き出した子供たちでなかなかにすごいことになっていたと思う。
あまりのインパクトの強さに当時の既に結構冷めていた俺にもバッチリ印象に残った。
それから、ちょくちょく話しかけてきて仲良くなった。
ときどき、俺以上に冷めたというか大人っぽい目をしていたのが印象的だった。

小学生になったら、本格的に勉強やら体育とかが始まり、ものすごく浮いた。
どうやら俺はレベルがやたらと高かったらしい。
女子にもモテていたので男子からは本当に孤立した。
女子も何かあるたびにまとわりついてきて、だんだんと嫌いになっていった。
だんだんと学校というものが嫌いになっていったが、正彦だけは全然変わらなかった。
幼稚園のときからずっと同じに話しかけ、遊びに誘う。
勉強も運動も俺と同じくらいにできた。
けど、俺と同じか、それ以上に努力していた。
それは別に、俺のためとかじゃなく、強い男カッコいい!とか、どうせだったら狙おう天辺!だの意味がわからないことに一生懸命になった結果らしい。
でも、あいつが普通に周りのやつらみたいに変な目で俺を見ないでいっしょにいてくれて、すごく嬉しかったのは事実だ。
でも、ときどき俺を指差して、さすが未来の攻略対象者!とか言って爆笑してたのは謎だった。
何の話だ、意味わからん。

高校決める時も、同じ高校にしろと必死に頼み込んだら、文句を言いながらも、ちゃんと同じところに来てくれた。
本人は普通だと言うが、やはりなんだかんだ言ってすごいお人好しである。
ただ、ヒロインが…、だの、モブが側にいていいのか、だの変なことをぶつぶつ呟いていたのは、やはり謎だった。
まあ、ときどきあいつが謎の言動を取ることにはもう慣れたが。

高校入ったら、女どもが今まで以上に群がるようになった。
上流階級の子供が多い名門校なので親に命令されて近づいてるのかもしれないが、とてつもなく鬱陶しかった。
正彦とはクラスが同じだったのが唯一の救いだ。
そして、最近、特にうっとうしいのが

「赤羽君、おはようございます。」

こいつだ、桜宮 桃という女だ。
態度だけなら他の女どもと変わらないが何故か俺の好物などの個人情報を知っていて気味が悪い。
それだけなら、まだいいが、こいつ初めて話しかけてきた時に「どうして篠山君なんかと仲がいいの?」とか言ってきやがった。
なんか(・・・)だと?
あいつの何を知ってそんなこと言ってんだ、おめえなんかにそんなふうに呼ばれる筋合いねーぞ。
思い出しても腹が立つ。
視線をそちらに向けることもせず、無視をする。

「今日は、調理実習ですね。私、お料理苦味なので少し不安です。もし、上手く出来たら食べてくださいね。」

…おい。空気読めよ。
お前としゃべりたくないから視線も向けないんだろうが。
何故、空気も読まずにしゃべり続ける。

「あ、ちゃんと赤羽君の嫌いなシナモンは入れませんから安心してください!」

だから何故、人の個人情報を知っている。
ああ、駄目だ。本当にイライラしてきた。
眉間に皺がよっているのがわかる。
怒鳴りつけてやろうかと、口を開いた「よ!貴成。わりぃ、課題の訳見せて。」

振り返ると正彦が立っていた。

「あ、えと、篠山君…。」
「ごめん、貴成借りるな。うっかり忘れちゃって。」

にこやかに対応しながら有無を言わせず俺を桜宮から引き離す。
教室の端の方に連れていかれた。

「なーにやってんだ。お前は。」
「何がだ。というか宿題いいのか。」
「んなもん、やってあんに決まってんだろ。お前な、女の子にまとわりつかれたくらいでキレそうになってんじゃねーぞ。未来の社長さんだろ。そして、お前無駄に顔いいから不機嫌な顔すると空気が悪くなんだろ。やめろ、周りの心の平穏のために。」
「…高校入ってから前よりうざくなった。」
「あー、もう。わかった、わかった。キレそうになる前にフォロー入れてやるわ。その代わりもうちょっとそのしかめ面どうにかしろ。」
「…ありがとう。」
「ん、どーいたしまして。」

面倒くさいだのなんだと言いつつこういうことやってくれるあたりやはりお人好しだな。
にしても、本当に桜宮はうざいな。
まあ、あいつ馬鹿だし、二年生になってクラス分けが成績順になったら別れるだろう。
一年の辛抱だと思って頑張るか。


すごく焦げくさい。
今は桜宮が朝に言っていた調理実習の時間なんだが。
…あれは無いだろう。
桜宮の前にあるのは、今日のテーマのアップルパイのはずだが、あれはもはやパイと呼んではいけない気がするな。
焦げている上に何だか変なものまでかかっている。
出来た料理はクラスで好きに分け合って食うことになっているんだが…。
当然のことながら、桜宮のアップルパイに手を出すやつは誰もいない。
桜宮は先ほどから泣きそうな顔でアップルパイをつついているが全然減っていない。
どうするんだ、あれ。
あまりの酷さに思わず見ていたら隣で正彦が苦笑していた。
そして、ため息をついて立ち上がる。

「桜宮、そのパイ俺にも少しちょーだい。」

パッと顔を上げて困惑した顔をした桜宮に構わず、パイとも呼べないような物体を大きく切り取って皿に乗せた。
一口食べて、思いっきり顔しかめて

「まずっ!なんで、アップルパイのはずなのにしょっぱいんだよ。これ。」
「普通じゃつまらないから工夫を…」
「工夫の前に普通に焼けるようにしろ。本当にまずいぞ、これ。」
「…そんなに言うんだったら食べなくていいよ。」
「一人じゃ食べきれないだろーが。ごちそうさま。」

アップルパイは殆ど減っていた。

「よく食えたなあれを。というか、なんで食ったんだ。」
「食材もったいないじゃん。…それに味はどうあれ、一生懸命作ったものを誰にも食べてもらえないと悲しいだろ。」
「………」
「何?」
「いや、なんでもない。」

本当にこの幼なじみはお人好しである。
むこうの方で桜宮がポツリと何か言ったようだが聞こえなかった。
お礼だったら本人にちゃんと言えよ。








「貴成、昼行こーぜ。」
「ああ。」

正彦に呼ばれて立ち上がる。

「黄原も来る?」

なぜか、クラスのチャラいやつにも声をかけていた。いつの間に親しくなったのだろう。
タイプは全然違うのに。

「あ!うん!いっくよーん!」

なんだろう、少しイラッとするな、このテンション。

「貴成、これ黄原。テンションのうざさは気にしないでやってくれ。イラッとしたら好きにいじってよろしい。」
「篠やん、いきなり何言ってんの!?」
「いや、お前はもう、貴成みたいなやつにとってはいじるしか価値が…」
「ひどくない!?」

…なんか、そうそうに正彦にいじられているな。
思ったよりもいい人なのか、こいつ。

「赤羽君、いっしょにお昼食べない?」

桜宮がまた、声をかけてきた。
ほとんどの女が俺のあまりの無反応に直接声をかけることが無くなったのに、いまだにこいつは声をかけてくるな。

「正彦たちといっしょに食べるから…」
「じゃあ、正彦君もいっしょでいいよっ。」

さっきの黄原のテンション以上にイラッとする。
断ってるだろうが。そして、いっしょでいいよ、ってなんだ。
失礼だろうが。

「悪いな、今日は黄原もいっしょだから。こいつ、女子の前だとテンションがさらにうざいから、貴成に悪い。」
「篠やん、さっきから何気に酷いよね…。」

正彦が断りを入れる。黄原に対しては酷いが、よくやった。

「あ、篠山君、えと。」
「何?」
「えーと、こ、この前のアップルパイ……。
ご、ごめん。なんでも無い。」
「そう?」

正彦たちと教室を出て、屋上に向かう。
にしても、今日は桜宮はいつにも増して、正彦に対して挙動不審だったな。







テスト前になり、周りがいつも以上に勉強し始めた。
普段は、あまり授業に出てこない眼鏡のやつも珍しく毎日来ている。
普段、あまり学校に来ないからか、人のことは言えないが、割と整った顔立ちなので近寄りがたいのか、あいつに声をかけるやつはいないようだ。

「おー、白崎おはよう。」
「おはようございます。篠山。」

と、思ったら正彦が声をかけていた。
小声で尋ねる。

「いつの間に、知り合いになったんだ?」
「んー、昨日ちょっとな。あいつ、普段学校来ないのも体弱いだけだから、ちょくちょく話しかけてやって。」

なるほど、相変わらずこの幼なじみはお人好しである。

「おはようございます。赤羽君。し、篠山君。」

桜宮がいつもどおり声をかけてきた。
珍しく正彦にもあいさつしている。

「はよ。桜宮。」

正彦はしっかり返しているが、俺はいつもどおり無視だ。

「白崎君もおはようございます。」
「おはようございます。桜宮さん。」

桜宮も白崎に話しかけていた。
時々、黄原にも話しかけているからただのイケメン好きなんだろうか、こいつ。
まあ、どうでもいいか。






「おい。篠山。」

不良みたいなやつが篠山のことを呼んでいた。

「ん、何?」

正彦は呑気に返事して向かおうとするが。

「おい、危なくないのか。」
「ん、大丈夫、大丈夫。」
「お前の大丈夫はあてにならない。」
「…黒瀬、わりぃけど貴成もいっしょでいいか。こいつ、意外と心配性で面倒くさいから。」

黒瀬とかいうやつは少し迷った後、頷いた。

校舎裏に連れて行かれた。
何をするんだと見ていると、カバンから雑誌を取り出して、

「やる。」

正彦がよく読んでいる、バイクの雑誌だ。

「あ、これ、この前のやつといっしょのやつじゃん。」
「俺のせいで駄目にしただろ、やる。」
「…お前、意外と律儀なのな。サンキュ。」

正彦がくつくつ笑いながら受け取った。
黒瀬は決まり悪そうにそっぽ向いている。

「…この前のやつらと何もなかったか。」
「んー、別に。ただ、女の子に絡んでたの見かけた。俺見てびびってたぞ。」
「…そうか。」

それだけ言うとさっさと行ってしまった。
しかし…。

「おい、この前のやつらってなんだ。」

じっとりとした目で睨んでやると苦笑しながら

「大したこと無いっつーの。」

しばらく顔を覗き込んではぁ、とため息をついた。

「教室戻るぞ。」
「あれ、もういいわけ?」
「何だが。」
「いや、もっと根ほり葉ほり聞かれるかと。」
「お前がああいう顔する時は絶対に聞いても無駄だ。何があったかは大体分かるしな。怪我はすんなよ。」
「おー、さすが。」
「付き合い長いだろうが、馬鹿。」

ため息をついて歩きだす。
昔から、お人好しでトラブルに首突っ込んでたしな。今さらだろう。
視界の端で何かが、動いたように思い、そちらを伺うと桜宮が校舎の壁に隠れるように立っていた。
…何やってんだ、あいつ。







「おはようございます。赤羽君、し、篠山君。」

いつもどおり桜宮が声をかけてきた。
正彦がおはようと返すと以前のようにさらに話しかけてくること無く距離を取る。
何なのかはわからないけど、楽になったからいいだろう。
ただ、最近は話しかけてくることは無くなったが、ずっとこっちを見ていたりする。
それくらいなら、他の女子もやっているので別にいいが、なんなんだろう。






桜宮が最近あいさつもしてこなくなった。
楽でいいなと、思っていたら、正彦が教室を出て行ったらすぐに席を立って俺のところに来た。
なんなんだろう、と見ていると

「し、篠山君の好みのタイプってどういう感じかな?」
「はあ?」

思わず声が出てしまった。
何がしたいんだこいつは。
ふと、中学校の時に俺に近づくために、正彦をだしにしようとしたやつらを思い出す。

「なんでそんなことお前に言わなくちゃいけないんだ。」

思った以上に低い声が出た。
桜宮が怯えたような顔をしたが、苛立ちが消えることは無い。
俺に声をかけてくるのは不愉快だが、まだいい。
ただ、それに正彦を利用しようとするやつらは心の底から腹が立つ。
黙ってしまった、桜宮を尻目に席を立った。
今日はいつも以上に不愉快だったな、あいつ。


それから正彦がいない時に度々似たような質問をしてくるようになった。
思い切り睨み付けてやっても、何度も話しかけてくる。

「ねえ、篠山君って…」

ある日とうとう我慢の限界がきた。
教室でブチ切れるわけにいかないので桜宮を連れ出した。
人気の無いところに来る。

「何のつもりだ。」
「何のって…」
「前まで俺にまとわりついていたかと思えば正彦のことをやたらと聞いてくる。」
「そ、それは、………嫌がってるのに話しかけまくったのはごめんなさい。でも、その」
「俺に話しかけてくるのはまだいい。だがそれに正彦を利用しようとするんじゃねえ。」

俺の顔は正彦が近くにいたら怖いだのなんだと言って怯えるほど、不機嫌な顔だろう。
桜宮が涙目になっている。

「もう、二度と話しかけてくるんじゃねえ。」

そのまま立ち去ろうとしたら、制服の裾をガシッとつかまれた。

「………仕方無いでしょ。本人に話しかけられないんだから。」
「はあ?」
「好きだって自覚したら、恥ずかしくて話しかけられなくなっちゃったんだから仕方無いでしょう!!!だって、わかんないんだもん!!攻略本もシナリオも何にも無くて、今までのこと思い出したら多分印象なんて最悪に近くて。でも、話しかけたくて、近くにいたくて!だから、せめて好みとかそういう情報欲しかったの!篠山君の好みの私になったなら声かけられるもん。好きなもの知ってたらアプローチできるもん。まとわりついてごめんなさい!何度だって謝るから教えてよ、馬鹿!」

勢いよく耳元で叫ばれて呆然とする。
えっと、つまり、

「お前、正彦のこと…」
「好きよ!悪い!?」

涙目で叫ばれて、少しびっくりする。
……なんか、印象変わったな、こいつ。
ため息をつきながら、口を開いた。

「可愛い系のいい子がいいって言ってた。ショートボブが好みらしい。趣味はバイクだ。金が無いから買えないがいつか絶対自分のバイクを!ってよく騒いでる。バイク雑誌もよく買ってるな。空手もやっている。」

目を見開いて、

「ありがとう!!」

そのまま、駆けて行ってしまった。
放課後だから別にいいのだが校舎を走るなよ。


「おはようございます。赤羽君。し、し、篠山君。」

翌日、ひさびさに声をかけてきた桜宮はショートボブになっていた。
…行動早いな。

「おはよう。髪バッサリいったな。」
「へ、変かな?」
「いや、似合ってるが。」
「あ、ありがとう!そうだ、クッキー焼いてきたんだけど食べない?」
「味は大丈夫か?」
「ちゃんと味見したもん。」

すごく嬉しそうな顔で話しかけている。
今まで、うざいと思っていたが、印象変わったな、こいつ。



それからのことだが、幼なじみの知らない一面を発見した気がする。
鈍感すぎんだろ、あいつ。
バレンタインの一件はもはや気の毒すぎて見ていたこっちも涙が出そうだった。
黄原たちも、桜宮を応援しているらしい。
まあ、あそこまで気の毒だとさすがにな。
俺としても、ようやく幼なじみの魅力に気づいたやつだし応援してやろうと思う。
…正彦と遊ぶ時間が減るのはあれだが。

「正彦君、バイクのプラモデルあたったんだけどいる?」
「え、マジ?欲しいんだけど。」
「えっと、じゃあ、帰りに渡すから今日はいっしょに…」
「貴成、今日桜宮もいっしょに帰ろうぜ。」

今日も今日とて、相変わらず鈍感というかなんというか。
まあ、頑張れ。多分、道のりは遠いがな。
篠山君があそこまであれな鈍感なのは絶対最初の方のあれも効いているな。
まあ、だしにされまくったのと、元からもあるが。

この話は別名、“ヒロインの黒歴史”です。
思い出して、テンション上がっちゃったんだよ。うん。
好みの聞き出しは最終的に逆ギレでしたね。
これも本人的には黒歴史だと思う。

評価や感想は作者の原動力となります。
読了後の評価にご協力をお願いします。 ⇒評価システムについて

文法・文章評価


物語(ストーリー)評価
※評価するにはログインしてください。
感想を書く場合はログインしてください。
お薦めレビューを書く場合はログインしてください。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ