ちょっとしたお互いの新たな一面
三日後、護は目を覚ました。上半身を起こすと体中が痛い。ふと横を見ると霞がベッドに伏せながら眠っている。
「そうか、指輪の契約をして、それから気を失ったんだっけ」
記憶の糸をたぐり寄せる。身体を動かそうとしたが、まだうまく動いてくれない。そのままベッドに倒れ込む。その衝撃で霞が目を覚ました。
「ああ。ごめん。起こしちゃったか」
「ま、護。気が付いたんだね!」
霞が嬉しそうに言ってくる。
「うん。なんだか心配かけちゃったみたいでごめんね」
「何を言ってるの。私の方こそ、迷惑かけちゃってごめん。それから、指輪と契約できたよ。護のおかげだよ。護が守ってくれたから。本当にありがとう」
「あー、気にしないで良いよ。それは僕が好きでやったことなんだから。こうなったのも有る意味自業自得って奴かな。ところで、どれだけ僕寝てた?」
「あれから、丸三日経ってるよ」
「あちゃー!三日も寝ちゃってたか。そうだよな〜、あんだけ魔力つかったんだから、回復にも時間はかかるわな」
何気なく言った言葉が霞には重く響いたらしい。
「ごめんね。私のせいで・・・」
「いや、全然気にしなくて良いから。それより、ずっと看病してくれてたの?」
「うん」
「いやー、それだけでもう充分さ。ありがとう。それで、チャラね」
自分でも何を言ってるのかよく分からなかったが、とにかく霞は責任を感じているらしい。それはあまり気にさせないようにしなければ。どうも女性のそう言うのは苦手だ。別の話題に転換することにする。
「は〜、でも、三日も寝てたなら、また仕事が溜まってんだろうな。面倒くさいよ。まったく」
「お医者様が、目を覚ましてもしばらくは絶対安静にしてろって言ってたよ。少佐はすぐ無茶をするって」
「冗談。これ以上休んでもいられないよ。休めばその分、仕事が溜まってくんだもん。安静にさせたいなら、もう少し仕事の量減らしてくれっていうの」
「でも、結構自由にやってるんじゃないの?劉さんが言ってたよ」
「ありゃ、ばれてたか。実は、全部部下任せだったりしてね」
それを聞いて霞もやっと笑ってくれた。
「まあ、実際、魔力の消耗が思った以上に激しかったせいで、その反動で身体がまだうまく動いてくれないんだよね。ゆっくり休んで良いっていうなら、お言葉に甘えさせてもらおうかな」
「そうした方が良いよ」
「・・・。なんか、霞いつもと、雰囲気が違うね。というか、言葉遣いが違う」
感じてた違和感を聞いてみた。
「え、あ、そうかな」
「うん」
「変?」
「いや」
「普段、気を張ってるから、言葉遣いが違うのかもしれないね」
霞は恥ずかしそうに言った。
「あー、それ分かるかも。僕も結構言葉は状況で変わったりしちゃうし」
「そっか」
「そういえば霞、指輪と契約できたんだよね。今更だけど、おめでとう」
「ありがとう」
「でも、これからが大変だよ」
「なにが?」
不思議そうに尋ねる。
「力を貸してもらうには訓練が必要って事。いきなり全部の力を放出したら、契約の時みたく暴走しちゃう可能性もあるし。徐々に器を大きくして、コントロールできるようにならないと」
「いきなりってわけにはいかないんだ」
「まあ、そういうこと。何事も精進しないといけないということさ」
「そう」
「で、その精進の仕方だけど、霞には分からないでしょ。ただ闇雲にやってもだめだから。だから、僕が教えてあげるよ」
「うん、お願いします」
「そのためにも、早く回復しないとな。ま、後ニ、三日有れば動けるようになるまでには回復するでしょ。霞ももう大丈夫だから、ストロベリーに戻りなよ。そうしないと、霞も身体壊しちゃうよ。ただでさえ契約時の負担がかかってるんだから。言うこと聞かないと、教えてあげないからね」
「うん、分かった。それじゃ、私行くね。また、お見舞いにくるから」
「うい」
霞が出ていくと護はもう一眠りすることにした。早いとこ回復するには寝るのが一番だからである。身体に自然と風が集まる。火傷の後は既にもう消えていた。自分に治癒魔法をかけることはまだできないが、昔から自然と回復するようにはできていた。
護は二日後にはもうほとんど痛みも消え、軽くなら動けるほどに回復していた。医者もこの回復速度にはとても驚いていたようである。この調子ならもう治療を行う必要もないとのことで、無茶をしないことを約束させられると外出許可をもらいストロベリーに戻ることにした。
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