続・練習
「でも、霞は十分に強いよ。良い先生に教えてもらったんだね。飲み込みも早いし。潜在能力も高そうだから、ニ週間も有ればさらに上達するよ。大丈夫さ。僕が保障する」
その言葉を聞いて安心したようだが、霞は一息ついて言った。
「正直、剣の腕前には結構自信があったんだけどな。護相手でもそこそこには、やり合えると思ってたのに。さっきから一本も取れないなんて。ちょっと、うぬぼれてたかも」
霞は反省する。
「ははは、うぬぼれはよくないな。霞は強いけど、どんな強豪でも自分の強さに溺れたら油断が生じて、いつの間にか剣の腕が鈍ったりするものさ。うぬぼれは厳禁だよ。それに気づけただけ十分収穫があった。それでだいぶん変わるよ」
「そんなものかな?」
「そんなものさ。あとは、ひたすら実践有るのみだよ。それじゃ十分ほど休憩したら、また開始しよう」
「はい」
護はストロベリーの方に飲み物を取りに行くことにした。霞はさっき言われたことを考え込んでいるようである。
「どうよ、霞ちゃんは?」
ゲンが聞く。
「いやー、やっぱり思ったとおり。良い線してるよ。かなり強い。ただ、実戦経験があまりにも足りなさすぎる。あれじゃ、経験豊富な猛者に出会ったら一発でやられるよ。このニ週間でどれだけ枠を取り外せれるかが勝負の分かれ目だね」
「そうか。まあ、おまえに任せときゃ大丈夫だろう?」
「いや〜、分かりませんよ。僕、人に教えるの苦手ですから。教えるというよりも、ただ実践をするだけってところで。後は霞次第かな」
「なんにせよ、優勝させてやってくださいよ。先生♪」
ゲンがからかい半分に言ってくる。
「そういうのは止めてください」
心底うんざりといった感じで、護はぼやいた。
「それじゃあ練習に戻るんで」
「おう、がんばれよ」
草原にもどると、既に霞は素振りをしていた。
「頑張るのも良いけれど、休めるときにはきちんと休むのも重要だよ」
「私は大丈夫。それより早く続きをしよう!」
やる気は満々のようだ。そりゃそうか。霞には抱えてるものが有るのだからな。
「やるのは良いけど、でも、休むときはきちんと休むんだからね?無理しちゃだめだよ。そうしないと、もう相手しないから」
「分かった。以後気をつける」
「よし。じゃあやるよ。どっからでもかかっておいで」
こうして毎日、実戦を模した練習をやり続けた。ところどころで護の叱咤が飛ぶときもあったし、日ごとに霞の傷も増えていった。まあ実際は護が治癒魔法を施しているので、その日のうちに治しちゃってるんだけど。大会まで残り四日となったとき、霞は驚くほどの成長を遂げていた。型にはまっていた枠組みはとれ、柔軟にかつ冷静に動けるようになっていた。ここ最近では何本か護から取っている。護もかなりあれやこれやと手の内を変えて相手をしてきたが、まさかここまで上達するとはさすがに驚いた。今ではなかなか勝負が決められず、かなり苦戦するようになっている。持って生まれた才能という奴か。これならもうワンランクあげても大丈夫そうだ。その日、霞に一本取られてから思う。
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