挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ブックマークする場合はログインしてください。

梅田トラジェディ

作者:藤夜アキ
 空気に向かって笑う女性、耳からイヤホン。
 ああ、通話してるんだろうなって理解して。
 都会のオンナノコだな、なんて思った梅田で。
 トイレから出てきた老人、左手にガラケー。
 えっ、通話してたのかな……って吃驚して。
 いつの世も変わらない、そこは街だ、梅田だ。
 美男美女の脇を通る、醜男醜女の図。
 都会の人間らしさ、歪んだ人間性。
 その脇をすり抜けた現代の吟遊詩人。
 無数の可能性を与えられた迷い人。
 混ざり合った人種、店員の発音は日本語らしくない。
 ここは僕の私の日本国だ、人並みに育てられた愛国心。
 けれど口にするのはファーストフード。
 席と席の間を掃く老母の笑顔が凶器に見えた。
 隣の隣の席、結婚と彼氏の話、女子大生が二人。
 隣の隣の席、恋愛と男子の話、女子高生が三人。
 隣の女性と隣の男性は死んでいた。
 分かり合えないね、分かり合いたくないね。
 娘をあやす母親に微笑みを向ける初老の女性。
 その脇で人を刺すような目をした初老の男性。
 二人も昔は恋人だったんだぜ、そんな電光掲示板のしたり顔。
 化粧をする貴女はどこへ向かうのだろう。
 頭を抱えた貴方はどこへ向かうのだろう。
 意味の無いものにたかって。
 価値の無いものを買い漁る。
 これが都会です、現代です。
 揶揄する詩人は死にたくなって駅を見た。
 同じように見上げた人は数知らず。
 すれ違った女性の経験人数とどちらが多いだろう。
 この街はそれでも生きている。
 生きた人間が築いている。
 だから詩人は死にたくなる。
 だから詩人は生きなければならない。
 梅田トラジェディを詠って。
こんなに美しい名前を、私は知らない。

評価や感想は作者の原動力となります。
読了後の評価にご協力をお願いします。 ⇒評価システムについて

文法・文章評価


物語(ストーリー)評価
※評価するにはログインしてください。
感想を書く場合はログインしてください。
お薦めレビューを書く場合はログインしてください。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ