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超魔術転生~最強の7歳の俺に嫁と娘がいた~ 作者:暁える

第十二章 過去編

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第八十九話「かつてのクラスメート」

「なつかしい空気だなぁ」

 この裏山はある意味、過去の俺にとっての逃げ場所でもあった。
 イヤなことが合った日には自然とこの場所に足を運んでいたものだった。

「ここがルーシェ様の育った世界なんですね」

 黒のメイド服にリュックを背に、そう言って微笑んでくれるメアリー。
 裏山からは学校や街が一望できる。

「王子のご両親に御挨拶しないといけないのです」

 律儀にもご挨拶なんて言ってくれる魔女っ子姿のドロシー。
 その右手には魔法の杖が握られている。

 裏山から街を一望して彼女らの服装を眺めて思った。
 俺の服装も含め、まるでファンタジー世界の装いだ。
 この世界では、これをコスプレと呼ぶ。

「まいったなぁ……あまりにも未来の世界に馴染んでしまってて、うっかりしていたよ……」

 肩を落とし、そう呟いた俺を二人が不思議そうに眺める。

「ルーシェ様? どうかされたんですか?」
「僕達の服装だよ。これじゃまるで仮装パーティじゃないか。メアリーだってモロにメイド服だろ?」
「はい、私はメイドですので、これが普段着になりますよ」

 何か問題でも? と言いたげな表情だ。
 まあメイド服でも秋葉原に行けば溶け込むかもしれないが、この街は東京のように賑やかな街でもない。九州の片田舎だ。

 それに日本円など持ってない。そもそも店に行って服を新調する時間的余裕などない。
 ドロシーを見ていると更に長い溜息が零れた。
 俺とメアリーの髪の色は亜麻色だ。
 しかもドロシーの髪は青いし瞳も青だ。
 身体も幼児体型で中学生が魔女のコスプレをしている感じだ。
 この中で、ドロシーの存在は誰よりも目立つのだが、既に今更な話だ。

 俺が二人をまじまじと眺めているとドロシーが

「王子、この世界でも魔術師は珍しいのですか?」

 この世界に魔術師なんて存在してない。
 黒魔術だとか歴史上のアレイスター・クロウリー枠などは別として。

「い、いないよ! いるわけないじゃん!」

 渾身の勢いでツッコミ入れたのだが、返事は未来での日常会話そのものだった。

「なるほどです王子。この時代では魔術体系がまだ確立されてないのですね」

 実際そうかもしれないが、そもそも人類が魔術を操れるようになった理由ってあるのだろうか。

「と、とりあえず、山を降りようか」

 裏山から道に出た。
 とりあえず学校の校門へと向かう。

 時刻は十七時ちょい過ぎか。
 この日は俺が清家雫に告白した日だ。
 正確には覚えてないが、清家雫に告白した時間は夕暮れ時だった。
 このままここで待ってたら、そのうち校門から涙目で走り去っていく俺を目の当たりにしそうだ。

「はあ……せつない」
「まずはルーシェ様のご両親にお会いに行くんですよね?」

 メアリーが言うように、まずは家に行ってみる予定だ。
 母は専業主婦だし、親父も十七時過ぎには家に戻ってくる。
 学校から家までは十五分もかからない。
 校庭の外側を歩いていると、柵越しに部活動で汗を流す学生達の姿が目に映る。

 メアリーとドロシーには事前にやることを話している。

 一つが、両親に会うこと。
 二つ目が、俺自身に会って、己の悲しき二十九歳までの人生を伝えることだ。

 校門まで差しかかると下校中の生徒達がちらほらと目についてくる。
 逆に俺らのコスプレ衣装が奇妙に映ってるのだろう。
 すれ違う生徒達が、ジロジロ見て行くし、女子生徒の中には「プププッ」と含み笑いして駆け足で去って行く子までいる。

 やっぱこうなるよな……。

「ここって王子、学校なんですね」

 エンディミオンの魔法学院と同じく多くの生徒達が同じ服を着用してるってことで、ドロシーには学校だとわかったらしいのだが。

「王子はここに通われていたのですね」
「そ、そうだね……」

 メアリーもドロシーもマジで田舎者みたいにキョロキョロしている。
 ミッドガル王国は人族の都としては最大級で、けして田舎者ではないんだろうけど……。
 彼女らにとって、ここは異世界だ。何もかもが珍しく思えるのだろう。

「ル、ルーシェ様!」

 突然メアリーが声をあげると、何者かに対して機制を制するように身がまえた。

「な、なになに? どうしたのメアリー?」

 メアリーが俺達の前方を指し示す。
 そこには後ろ姿で下校中の郷田と骨山がいた。

「だ、だいじょうぶだよ……メアリー。そんなに警戒しなくても」
「で、でも……」

 郷田や骨山はもちろん、桐野達や白鳥渚だってこの世界じゃただの学生だ。
 突如、召喚された彼らのような超人的な強さなど微塵も無い。
 しかも二人が交わしてる会話はゲームの話だ。

「郷田君、VRのニューマシンをゲットしたんだ。これから僕の家に遊びにおいでよ」
「お、おうマジか骨山、さすが俺の心の友だ」

 接近し過ぎたのか気配を察知した郷田が振り向いた。
 自然と目が合う。骨山も振り向いてきた。

「な……なんだオメェ達? ヘンテコな服装してんな?」
「郷田君、ヘンなのに構ってる暇はないよ」
「あ、ああ、そうだったな。早く帰ってゲームやろうぜ!」

 郷田と骨山はゲームの事で頭がいっぱいなのだろう。
 俺達の事など興味もないと言わんばかりに去って行った。
 そういやあいつらは帰宅部だったな。
 俺も部活はやってなかったけど……。

 感慨深い気持ちになる。この時代では彼らは普通に生きているのだ。
 俺は彼らからイジメられていたけども、懐かしくも感じた。
 ここには見知った奴らが沢山いる。
 サッカー部の桐野は今も校庭で汗を流していることだろう。
 郷田達の姿が完全に消え失せるとメアリーが安堵の溜息を吐いた。

「ルーシェ様……彼らはこの時代ではどんな役割なんですか?」
「この時代での彼らは単なる学生だよ。役割ってゆーか、勉強するのが仕事みたいなものかな」
「勉強がお仕事なんですか?」
「うーん。正確にはそうじゃないんだけど、勉強をすることで、将来の役割が定まってくる感じかなぁ……」
「そうなんですね」
「うん。この時代は平和だからね」

 メアリーとの会話を聞いているドロシーも俺の言葉に耳を傾けていた。
 しばらく進むと懐かしいコンビニや花屋。
 ――――そして、俺が少女を助ける為に飛び出した交差点が見えてきた。
 信号が赤なので、俺達は立ち止まる。
 すると、後ろから声をかけられた。

 そこにいたのは二人の女子生徒だった。
 雪のように白い肌の女の子と、日本人には珍しい琥珀色の瞳の女の子だ。

 一人は白鳥渚。もう一人は如月澪だった。
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