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超魔術転生~最強の7歳の俺に嫁と娘がいた~ 作者:暁える

第十一章 冒険編

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第七十九話「隠されていた陰謀・前編」

 魔法陣で78階層まで、一瞬で辿り着いた。

 まずこの階層には強力な魔物の魔素を感じない。
 魔素どころか美味しそうな料理の香で充満している。
 しかも石壁の壁面には、親切に道標まで用意されていた。

「あ、こらっ! 待つのです! クララ!」

 香に刺激されたのか。
 クララは「クピー」っと鼻を鳴らすと、真っ先に通路の奥へと飛び立っていった。

「王子、クララが……」
「心配ないよ、ドロシー。この階層には魔物はいないよ」

 ゼロではないが、俺達の脅威になり得る魔物は存在していない。
 飯屋があるぐらいだ。
 彼らによって、この階層の魔物は一掃されてるのだろう。
 通路に分岐点がある度に『飯屋はこちら⇒』と案内される。
 飯屋には用はないのだが、クララを置いて行く訳にもいかないので、案内に従って進んでいく。

「これは、香辛料の香かしら?」
「そうみたいだね」

 ハリエットが言うように、スパイスの効いた香。
 何だか懐かしい香りでもある。
 そうだ、これってカレーライスの匂いじゃないのか?
 ここがダンジョンの78階層だと忘れてしまいそうだ。

「ルーシェ様、こんな場所で飯屋の経営するなんて、変わった御仁もいるもんですね」

 メアリーの感想はもっともだ。
 どんな奴らが店を開いたのだろうか。
 上と下の階層には強力な魔物の魔素を感じる。
 この階層とて、強力な魔物が徘徊していたはずだ。
 よほど腕に自信のある冒険者なんだろう。

『ダンジョン飯屋にようこそ!』

 店の看板だ。
 ボス部屋の空間を利用して、改装したような店があった。

「いらっしゃいませ、4名様でございますか?」
「あ、うん。そうだけど、ここに小さな白竜の子が迷い込んでこなかった?」
「その子なら、ほら、あそこに……」

 クララが早くも餌にありついてた。
 どんだけ食欲があるんだよ……。
 嬉しそうにハグハグしていた。

「どうも、うちの子がご迷惑かけてすみません」
「いえいえ、お気になさらずに~」

 店の看板娘なんだろう。
 にっこりと微笑むと、エプロン姿の彼女は席を案内してくれた。
 桃色のツインテールの女の子だ。
 メアリーと同い年ぐらいに見える。
 何となく、見覚えがある気がするけど、桃色髪はこの世界では初めて見る。
 気のせいだろう。

「えっと、当店の自慢のメニューはカレーライスでございます」

 あんまり、腹は減ってない。
 だが、この世界にもカレーライスがあるとは思ってもなかった。
 ちょっと食べてみたい気がする。

「折角ですし、注文して差し上げたら?」

 ハリエットは、どんな料理か知りたいだけのようだ。
 皆、腹は減ってないようなので、カレーを一人前。
 それにチャイを4つ注文した。
 チャイとはミルクに茶葉を加えて煮込んだ、ミルクティーのようなものだ。

「ルーシェ様、カレーライスってどんな料理なんでしょう」

 あれ? 料理に詳しいメアリーが知らないって、意外だなぁ。
 どんな人達が作ってるのだろう。
 後で、紹介してもらうか。

「お待たせしました。こちらがカレーライスで、ございます」

 さっきの女の子が運んできてくれた。
 俺の目の前に、カレーライスをそっと置くと、チャイとスプーンを並べてくれた。
 その様子をメアリーが、不審げに見つめている。

 が、う~ん、懐かしい香りだ。旨そうじゃないかっ!
 似たような料理はこの世界にもあるけど、これは紛れもないカレーライスだな。

「美味しそうですね、王子っ!」
「あれ? 食べたくなったのドロシー? ならもう一皿、注文するかい?」

 見たら俺も全部一人で食べたくなっていた。

「はいっ! お願いなのであります!」

 もう一皿、頼むことにした。
 俺達のやり取りが終わるまで、店の女の子は待っていてくれた。

「あのう、もう一皿よろしいですか?」
「はい、かしこまりました」

 ハリエットは、澄ました顔で、上品にチャイを啜っている。
 カレーには、もはや興味がないようだ。

「ルーシェ様……」
「ん? メアリーも食べたくなった?」
「あ、はい、でも一口で十分です。味見だけさせて頂けますか?」

 一口だけなら、頼む必要もない。
 メアリーに皿ごと差し出した。

「どう? 美味しいかい?」
「え、ええ。とっても美味しいです。で、でも……これ……ルーシェ様のお口に入れるわけにはいきません」
「えっ!? なんでなの……?」

 そう声を発した時には、メアリーの顔は青ざめテーブルにもたれるように倒れこんだ。

 ――毒なのか?
 ……う、嘘だろ?
 毒を盛られたのか?

 ドロシーが口に運びそうになってたチャイを俺は腕で払いのけた。
 チャイの入ったカップが床に落ち砕け散乱する。
 ハリエットは既に口に含んでいた。
 だが、身体に異変はないようだ。

「メアリーさん!」
「一体、どうなってるのよ!」

 ドロシーとハリエットの二人も慌てた。

「ハリエット! す、すぐに解毒だ!」
「わ、わかったわ!」

 俺は直ぐ様メアリーの元に駆け寄り、女の子が去っていた厨房の方を睨み警戒した。
 すると彼女は腕を組み、不敵に微笑んでいるではないか。
 先ほどとは、まるで別人のように。

 その笑みを見た時、この女が誰なのか気がついた。
 気がつくのが遅かった。

 髪色や瞳の色が違うが、こいつは姫野茶々子だ。
 と、言うことは、桐野や一条もいるんじゃ?

「ルーシェリア王子、あなたがいけないのよ。あなたのせい……そう、あなたの……あなたのせいで、直樹は死んだのよ!」

 涙目で姫野茶々子が俺に訴える。
 直樹って誰だ?
 そいつの名を俺は覚えていない。

 かつて俺が焼き払ったクラスメートのうちの誰かのことを言っているのか?

「茶々子っ! お前なにやってるんだ!」
「そうだよ! 姫野さん! お客様に向ってって……あ、もしかして、ルーシェリア王子?」

 厨房から飛び出してきた二人も、髪色と瞳の色は違うが、桐野悠樹と一条春瑠だ。
 こいつら、こんなところにいやがったのか!

 チラッとメアリーを見る。
 ハリエットが神聖魔法で治療しているが、昏倒したままだ。
 まさか、このまま死んじゃったりしないよな……?
 メアリーの肌から血の気が引いていくのを感じる。
 回復魔法が追いついてないんじゃないのか?

「茶々子、お前……まさかっ」

 桐野悠樹が昏倒してるメアリーを見た。

「そうよ? 何か文句あるのかしら?」
「文句もなにも、お前、マジで何やってんだよ!」
「これぐらいしないと直樹が浮かばれないのよ!」
「……これぐらいって、お前……ルーシェリア王子を恨んでもしょうがないだろ?」

 一条春瑠が、姫野茶々子を諭すように割り込んだ。

「そうだよ、直樹君を殺したのは、ルーシェリア王子じゃない。法王庁じゃないか」

 その、直樹とか言う奴、俺が殺した奴じゃないのか?
 こいつら何の話をしてるんだ。
 そして一条春瑠が俺に懇願するかのような瞳を向けてきた。

「ルーシェリア王子は、あの日に彼らを皆殺しにしたって思ってるかもしれないけど……実は、誰一人として死んでなかったんだよ。法王庁の神殿だよ……神聖魔法の使い手は沢山いるし、僕ら召喚勇者の中には、聖女適正の者も沢山いる。皆、あの後、息を吹き返したんだよ」

 ……誰一人として、死んでなかっただって!?
 だが、伯父上から受けた報告では俺が火魔術で焼いた9名は死亡、衛兵を虐殺し逃亡した3名も処刑されたと聞いている。
 少なくとも、そのうちの9名は生きていたってことなのか?

「ルーシェリア王子が驚くのは当然です。僕達は、そもそも邪神と戦うために召喚された訳ではないのですから……」

 こいつは、一体何を言いだしてるんだ?

「僕達だって、最初は知らなかったんです。今でも神殿に残ってるクラスメート達は、自分達が邪神と戦うために召喚されたと信じていると思います。でも、僕達が導き出した答えはそうじゃないんです!」

 一条春瑠の話を聞くと、一度助かったはずの9名のクラスメートは、翌日には冷たくなっていた。
 毒殺されていたらしい。
 だが、何故?

 それは、つまり……俺が彼らを殺したって事になっている方が、法王庁に取って都合が良かったんだと彼らは結論付けている。
 法王庁は伯父上にも嘘の報告をしていたと言う事だ。

 彼らの仮説を詳しく聞くとこうだった。

 ――真の狙いは、レヴィ・アレクサンダー・ベアトリックス一世の血を受け継ぐ者達の撲滅だと。

 それは俺でもあり、フィルでもあり、伯父上にしたって例外では無かった。


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