挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
超魔術転生~最強の7歳の俺に嫁と娘がいた~ 作者:暁える

第八章 旅立ち編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

60/110

第五十七話「少女マリリン」

前回はドラゴンを従魔にしたお話です。
 火吹き山を越え、次の山脈を越えようとする頃。

 眼下に広がる森のはずれにある、小さな村が視界へと入った。
 ドラゴンでの飛行は実に快適で、俺の魔術とシャーロットの精霊魔法で支援すれば更に加速する。
 ユーグリット王国で宮廷魔術師見習いをするソーニャの話によると、このペースで進めば二日目の夕刻には到着する見通しである。

 陽も陰りはじめている。
 この村で宿を取るのが適当だろう。
 そんな訳で俺達は小さな村の開けてる場所に降り立つ。
 村人たちは有無言わず大慌てで飛散するように逃げ出した。

 事情を説明する間も無かった。
 ドラゴンだもんな。
 そりゃあ逃げるわな……。

 俺達はドラゴンから降り、地面を踏んだ。
 遠目から俺達を視認した村人の一部が、恐る恐る近づいてもくる。
 5,6名ほどだろうか。
 村人の中には小さな少女も混じっていた。

 ドラゴンは恐い。
 しかし人が乗っていた。
 その状況に村人達は困惑してるようだ。
 とりあえず俺は彼らに挨拶することにした。

「こんにちは、僕はミッドガル王国のルーシェリアと申します」

 俺の挨拶に村人達がどよめく。
 小声で何かを囁き合っている。
 江戸時代に戦車を持ちこんだら、こんな反応になるのかもしれない。

「皆さん、恐がらないでください。この子は何も危害を加えませんから」

 俺の挨拶にメアリーが被せるようにフォローする。
 すると、とたとたと一人の少女が飛び出してきた。

「あっ、こら! マリリン!」

 頭巾を被った母親らしき女性が慌てて止めに入る。
 少女はパッと見、5,6歳ぐらいな気がする。
 チョコ色の髪で、目がパッチリとした可愛らしい子だ。
 人族なのだろうか? 耳の形がドロシーに似て、少々尖ってる気もする。

 未来の俺の娘の名はマリー。
 顔は全然違うが、マリーとマリリン。
 名が似てる気がして、懐かしさと親近感を抱いた。
 ソーニャが、少女に微笑む。
 少女も屈託ない笑みでソーニャに微笑み返す。

 メアリーとドロシーが母親らしい人や周囲の村人達を安心させようと、努力してくれている。
 その甲斐もあって、村人達も若干、落ち着きを取り戻してきたようだ。
 シャーロットはと言うと、遠目にある一軒家を見つめていた。
 その方角から真っ白な顎髭を蓄えた老人が、杖をつきながら歩み寄ってきた。

「お久しぶりね、村長さん」
「ほうほう、外が騒々しいと思ったら、シャーロット殿でしたか」
「適当な宿を手配して頂けないかしら?」

 村長さんの一声で、誤解が全て吹っ飛んだかのように、場が落ち付いた。
 シャーロットは村長さんと知り合いなんだろう。
 フレンドリーにあれやこれやと話をしている。
 宿の手配も出来たようだ。

 そのやり取りを見てた俺は頬を膨らまし、プンプンとふくれていた。
 村に知り合いがいるなら言ってくれればいいのになぁと。

「ルーシェリア王子、宿の手配はできましたわよ?」
「あ、ありがとう……」

 少々露骨に、不満を表にだしてしまったが、シャーロットは、そよ風のように微笑むだけ。
 その直後、ドラちゃんが俺の脳裏に話しかけてきた。

『主は彼女のことを誤解をしているぞ?』
「へ?」
『彼女は確定的な発言しかしない』

 ドラちゃんがシャーロットの基本的な思考の傾向を教えてくれた。

 ドラちゃんとシャーロットが知り合いだったこと。
 村長とシャーロット知り合いだったこと。
 事前に言わないのにはそれなりの理由があった。

 ドラちゃんが心変わりしている可能性。
 村長が寿命でこの世を去っている可能性。

 その、どちらも出会うまでは不確定要素なのだ。
 もし、ドラちゃんとのことをシャーロットが事前に俺達に話していたら……俺達はドラちゃんに対し油断したかもしれない。

 幸いドラちゃんはシャーロットとの約束を覚えていた。
 牙を向くことはなかった。
 油断が次なる災厄を招く。

 つまりシャーロットは、「そうかもしれない」と言う曖昧な言葉を吐くことは、ほとんどないらしい。

 過去の曖昧な発言。
 それで大切な人を失ったらしいのだ。
 シャーロットの大切だった人って誰だろう?
 気にはなったが、それ以上はドラちゃんも話すのに気がひけたのか口を噤んだ。

「……で、そこの王子様、恐れ入りますが宿の手配の変わりに、一仕事引き受けてくださりませんか」

 村長が俺に真剣な眼差しを送る。

「ぼ、僕ですか?」

 村長の言葉で全員が俺の方へと注目した。

「実はじゃな……」

 ゲームのようにクエストでも発生したのかな?
 ゴブリン退治とかなら手軽でいいんだけど……。

「わしの孫娘に魔術の手ほどきを、一晩で良いからしてくれんかのう……黎明の魔術師殿」

 シャーロットが俺のことを話したようだ。
 この場には魔術に秀でたの者は沢山いる。
 シャーロットは精霊魔法が得意だし、ソーニャは風属性の魔術に長けている。
 ドロシーは付与魔術に長けている。

 その中で、どうして俺なん?
 んで、村長さんの孫娘?
 その辺を詳しく尋ねた。

 マリリンは血の繋がった実の孫娘では無かった。
 先ほどの母親らしき人の娘でも無い。
 村長が養女として育ててるらしい。
 頭巾を被った母親らしき人が村長の実の娘。
 30代ぐらいの女性で結婚もしているそうだ。
 子どもはいないらしい。

 ――で、マリリンはドロシーと同じ境遇だと知った。
 魔族でもあり人族でもある。
 ただ、ドロシーと違うのは魔族は魔族でも系統の違う魔族らしい。

 系統の違う魔族。
 東洋人と西洋人の違いみたいなものなのかな。

「おにぃちゃん、よろしくね!」

 マリリンが俺に近づいて、にっこり笑った。
 お兄ちゃんか……。
 悪くない響きだ。

 よし、今夜一晩だけ、俺の弟子にしてやろう。
 魔術を人に教えるのは初めて――――。
 どうやって? とも思ったが、年齢を尋ねるとマリリンは6歳らしい。
 気楽に手ほどきしてあげるとするか。

 マリリンと名乗る少女。
 不思議なぐらい初対面の俺に懐いてる。
 養女と聞いたが、本当の両親は今頃どうしてるのだろう?

「村長さん?」
「なんじゃね?」
「マリリンの両親はどうしてるんです?」
「星になりおったわ」

 マリリンの祖父は伝説六英雄で魔族だった槍の名手ジェラルド。
 そして祖母は淫魔族で魔術師だったらしい。

 その二人の間に生まれた魔族の女性がマリリンの母親で、この村の人族の青年と恋に落ちた。

 その二人を虐殺したのが法王庁だとも聞いた。
 虫唾が走った。
 魔族には本来、角や尻尾があるもの。
 混血で血が薄まるとドロシーと同様、角も尻尾もないパターンが多いらしい。

 おかげで、法王庁にはバレずにすんでいるとのことだ。
 子どものいない村長の娘の子として、育ててる。

 そのことは村人一同が知っていた。
 俺は危ういとも思った。
 村人の誰かが裏切り密告したら、マリリンは無事ではいられないだろうと。
 法王庁の他種族への排他主義。
 度を過ぎているのを良く知ってる。

 竜王の養女として育ったドロシーだって、竜王の庇護がなければ今頃どうなっていただろうか。
 その竜王にすら手出しする法王庁。
 残虐非道にもほどがある。

 いつか、ぶっ潰してやりたいとも思った。

「ルーくん、メアリー、ドロシー! おいて行くよー!」

 我に返ると、ソーニャとシャーロットの二人が、村長とともに村長宅へと歩き出していた。
 ドロシーはマリリンの手を引いていた。
 どうやら今夜の宿は村長宅のようだ。

 俺とメアリーは返事をし、皆の後を追った。
マリリンは『女神の回復魔法が俺の攻撃魔法と比べたら全く役に立たない件について』に登場する淫魔族の眠り魔法の使い手と同一人物だったりします。
http://ncode.syosetu.com/n0721di
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ