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超魔術転生~最強の7歳の俺に嫁と娘がいた~ 作者:暁える

第十三章 世界融合編

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第九十七話「伝説の英雄王」

 最初に如月澪が話してくれたことは、彼女達の記憶の話だった。
 如月澪は俺達のことを覚えていてくれた。
 さらに母さんとマサヤも俺達のことを忘れなかったようだ。
 けれど残念なことに白鳥渚や妹のミノリ、父さんらは俺達の記憶は消え去り覚えてなかったようだ。

 そして――――話は本題へと移って行った。

「始まりは一カ月ほど前、世界中の人々の預金残高がリセットされたのよ」
「ほえ~預金がリセット?」
「そうよ……そのことで預金残高がゼロになり世界中は未曽有の大パニック!」

 如月澪は淡々と今日までのことを話してくれる。
 まずは世界中で電子管理されてるマネーが消失した話だった。
 紙幣やマテリアル通貨が消滅したわけではないのだが、何よりも電子管理されている、ありとあらゆるデータが世界から消滅したらしいのだ。

 その余波は国民レベル、いや国家そのものを揺るがした。
 だが、ちょっとしたハプニング。
 一次的なハプニングで暫くしたら沈静化し、通常運転に戻るだろうと。
 当初は誰もがそう信じて疑わなかったようなのだが。 

 ところが現実は残酷だった。
 それは先にある災厄の予兆でしかなかったのだ。

 そしてその先にあるモノは支配と混沌だった。
 世界中のインターネットが何者かに完全に支配されていたのだ。
 知能を持ったコンピュータウイルス。
 彼は名乗った。我はシンギュラリティと。

 世界中の軍事基地からミサイルが発射された。
 人々は困惑し、恐怖で青ざめた。

 次々と発射されるミサイルの嵐。 
 第三次世界大戦。真実を知る由のない者達はそう考えた。
 どこかの国家の陰謀、テロであると。

 だが――――真実は違う。

 世界でたった一人、ことの真実に辿り着いた男がいる。
 元、特殊部隊所属。その後は世界中を渡り歩き、考古学に専念。
 その男の名は結城秀生。大学教授である。
 秀生と書いて、シュウセイと読む。
 そして彼はこう言ったそうだ。

『この戦いは古の時代から続いてきた、科学勢力と魔法勢力の戦いだ』……と。

 そして各放送局は彼の言論をテレビで放送した。
 とあるニュースキャスターが閉ざされていく情報網の中で、最後の放送をしたそうだ。

『日本は衰退する。いや、全世界が終わりを告げる。これは神による最後の審判である』と。

 この放送を最後に世界の情報は完全にシャットダウンされたらしい。
 俺が見た夢と微妙に似ていてもいた。

「そうか、この異変の謎に最初に辿り着いたのが、結城さんだったんだ」

 俺の言葉にハリエットが頷く。

「ミッドガルの初代国王が時空を越えた英雄だって話、本当だったのね」

 ハリエットの言うように、未来の世界では子どもでも知ってるおとぎ話である。

「マサヤに聞いて知ってるけど、ルーシェリアくんは未来の王子様らしいわね。それはそうと君は結城さんのこと知ってるの?」
「うん、……知ってるよ」

 俺も直には知らないが、如月澪が不思議そうに聞いてきたので、簡潔に話す。
 ミッドガル王国の初代国王で伝説の六英雄のリーダー。
 レビィ・アレクサンダー・ベアトリックス一世だと。

「それはびっくりね。とりあえず直ぐにでも合流しましょう」
「えっ! 誰と合流……?」
「その結城さんと、後マサヤ達よ。この近くにいるわよ」

 そう言って如月澪は微笑んだ

 だが、この状況だ。俺の家族は無事なんだろうか?
 合流の前に俺は恐る恐る、家族のことを訊いた。

「心配しなくても君の家族は全員無事よ。渚に感謝しなさい」

 如月澪は、その辺の事情は白鳥渚の口から話すようにと、彼女を促した。

「う、うん……私は君のこと。ルーシェリアくんだっけ? ゴメン……まったく覚えてないだけど、マサヤから聞いてるよ。マサヤの家族は、みんな無事だから心配しないで。これから合流するところなの、よかったら皆さんも一緒に来て頂けませんか?」

 話を聞いて俺は安心した。俺達の家族は白鳥科学研究所が開発した乗り物に搭乗し安全な場所で待機してるらしい。
 またこの二人はマサヤ達と行動を共にしているらしいが、とある事情で一旦離れたらしい。
 で、運悪く、先ほどの無法者に見つかったらしかった。

 俺は空を飛んで、マサヤ達の場所まで行くことを提案した。
 右手はハリエットと繋ぎ、左手はシャーロット。
 ハリエットは白鳥渚の手を取り、シャーロットは如月澪の手を取った。

 そのまま魔力を込める。俺達は地面から浮いた。



 ◆◆◆



 二人がマサヤ達から離れた理由。
 とある事情とはトイレだったようだ。
 そして目の前には立派に成長したマヤサがいた。

「久しぶりだな。ルーシェリア」
「ああ、マサヤ。昨日振りだ」
「昨日?」
「僕は君にあった翌日にこの世界に来てるからね」
「マ、マジかよ……!」

 マサヤは呆けながらも再会を喜んでくれた。
 そのほかの顔ぶれも俺は順に見ていく。
 無精ひげを生やした精悍な風貌。
 迷彩色のミリタリー服を着用し自動小銃を肩に担ぐ男。
 彼が結城秀生だろう。
 ミッドガル王城にある銅像とそっくりだった。
 アールフォーが俺に見せた人物でもあった。
 さらに杖をついたお爺ちゃんがいる。
 コスプレ……いや違う。ガチの魔術師の装いだ。
 白い髭が見事なぐらい蓄えられている。
 神秘的な雰囲気を漂わせた老人だ。


 そして――――
 マサヤが頭を撫で撫でしてる少女がいる。
 可愛い子だ。七歳らしい。

「優奈、このルーシェリアは、お前の父さんでもあるんだぞ」
「え……おとーさん?」

 少女が目をぱちくりする。少女は神代優奈らしい。
 ……って、ことは……ひょっとして?

「ああ、渚は俺の嫁なんだぜ!」

 マサヤが照れて鼻の下を擦った。

「俺はな……ルーシェリア。今、めちゃくちゃ幸せなんだ。だからこの混沌とした世界を終わらせないといけないんだ!」

 マサヤは頼もしく成長していた。
 俺が見た夢。
 それとはまた違う未来の夢を見せられた気分だ。

 マサヤとの話が終わった俺は、結城秀生に話しかける。
 彼に会うことが当初の目的だったからだ。

 だが、会って何を聞くんだっけ?
 それにヘンな気分だ。
 俺の未来の親父のアイザックは目の前の結城秀生の血族だ。
 俺もその遺伝子を時空を越えて受け継いでいる。
 ある意味、すんげー昔のご先祖様に会ってることにもなる。
 そして彼は、かつてのシャーロットの想い人でもあるんだ。

 無論、そんな記憶が目の前の結城秀生にある訳はないのだが。
 それでもシャーロットの眼差しは微かに潤んでいた。
 時空を越え想い人との再会。俺にはその心中、計り知れない。

「あのう……結城さん」
「君がマサヤ君の言っていたルーシェリア王子か。未来から来てるそうだね」
「はい、そうなんです」
「で、そちらのお嬢さん達は、どなたかな?」

 ハリエットとシャーロットが自己紹介する。

「わたくしは、ハリエット・マリー・ド・ゴール。ルーシェリアの未来の嫁ですわ!」
「ほほう、君は彼の婚約者か」
「そ……そうよ! おじ様、お認めになって頂けます? わたくしとルーシェリアの結婚を」
「へ? ……それって、どんな意味かい? はて……」
「ちょ、ちょっとハリエットっ!」

 困惑してる結城さんを尻目に、俺は軽く口を挟んだ。

「な、なによ? ルーシェリア?」
「結城さんは未来のこと知らないんだよ?」
「そんなことわかってるわ。でも、伝説の英雄王からお認めになってもらうなんてロマンチックと思わない?」

 そう言ってハリエットがぷくっと頬を膨らませてると、俺達のやり取りを見ていた結城さんが割り込んで来た。

「実に興味深いお話だね。この私が未来の世界で英雄王なのか?」

 その言葉にハリエットが輪をかけて食い付く。

「教えて差し上げますわ、英雄王様。わたくし達の世界は千年以上前に、あなた様に救われてますのよ」

 ハリエットは淡々と俺も知っている魔神戦争の英雄譚を語った。

「それは、すごい話だな。この私が魔神に挑み、邪神を屠り、そして、国を起こしたとは……。いやはや驚かされたよ。とはいえ、私に君達や、こちらのフィズバン殿のような超人的な力はないと思うんだがね」

 フィズバンとは結城秀生の隣にいる魔術師ぽい老人のようだ。
 だが、俺は爺さんからは、魔力をまったく感じない。
 けれども、先ほどの未確認飛行物体への攻撃は、この爺さんじゃないかとも睨んでいる。
 ひょっとしたら魔力を隠してるのかもしれないな。

「でね……」

 ハリエットの話は、まだ続くようだ。

「こちらのエルフのお姉様が、英雄王様の未来の恋人なのよ!」
「私の恋人……? この美しいお嬢様が?」

 結城秀生はシャーロットに見惚れていた。
 ハリエットは、シャーロットの背中を容赦なく押し彼の前に立たせる。
 しばし、二人は見つめ合った。

「あ、あのう……私はシャーロットと申します……」
「シャーロットさんか。君のように美しい女性が、私の恋人だと聞かされたら男冥利に尽きますよ……あはははは」

 明らかにお互いが照れている。が、シャーロットは毅然とし凛とした。

「レビィ様……いえ、結城さん。本当のことなんですよ。でも……それは私の片想いで終わった恋なんです。あなたは必死だった。寝る間も惜しんで人々の為に、国造りに尽力した。そして世界は文化を取り戻し豊かに実っていったのです。あなたは万人に愛された良き国王でしたわ」

 シャーロットは結城さんにそう伝えると金属製の棒を手渡した。
 どこかで見覚えがあるモノだ。あれだ、あれに違いない。
 でも何故……シャーロットが持っているんだ?

「これは……何かな?」
「それは、あなたのつるぎです」

 シャーロットは彼に使い方を説明した。
 鋼の肉体をも軽々と切断する、光の剣だ。
 結城秀生の握る筒から青いビームが伸びる。
 闇賢者が持っていたビームセイバーと同じものだ。
 ただ、闇賢者のビームは赤だった。
 こちらは青なので奴の持ち物とは別のモノだろう。

 ブンブンと結城秀生は手慣れた感じで振りまわす。

「これは……凄いモノだな……」
「あなたは、その光の剣で邪神を打ち倒したのです」

 ミッドガル国王となったレビィは『これからの世は、これを必要としない時代がくるであろう』そう言って、光の剣をシャーロットに託していたようだった。

 そして最後の日、多くの者達に慕われ惜しまれながらこの世を去った。
 享年67歳だったそうだ。
 彼女はずっと肌身離さず大切に持っていたそうだ。

「あなたは誰よりも愛されし戦士でした。レビィ……」

 静かにシャーロットが呟いた。

 この日。
 普段から気丈で凛々しい彼女。
 その彼女から溢れんばかりの大粒の涙が零れおちた。

 ――英雄と英雄との時空を越えた再会。

 レビィは頭をかきつつ照れた笑みを見せ、シャーロットは満面の笑顔になった。
 ハリエットは一人で感動し、マヤサと優奈、爺さんは静かに見守っていた。
 白鳥渚と如月澪の二人もシャーロットを祝福してくれたようだ。
 そして、シャーロットは涙を拭った。俺に照れながらクスっと微笑んでくれた。

「ごめんね……こんなことしてる場合じゃないのに……ルーシェリア王子。そして……ありがとう」

 俺もシャーロットに微笑み返した。
 全員が余韻に浸ってると、最初に爺さんが杖を突きつつ声を発した。

「これこれ、盛り上がってるところすまぬが、あれを落とすことが先決じゃて……」

 全員がその言葉を受け、空に浮かぶ円盤を見つめるのであった。
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