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ちんこ短し恋せよ乙女 作者:真木あーと
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第六節

「鷹士、いつまでも泣いている場合じゃないわ」
 俺は、多分一時間くらいめそめそと泣いた。
 女の子が初めてを、嫌な奴に奪われたときくらい泣いた。
 多分、それと同じような気分だろう。
 あのおっさん、前ばかりか後ろの毛まで剃りやがって。
 しかも、手が滑ったとか言って、アナルに指入れやがった!
 その時俺が思わず声を上げてしまって……悔しいっ! あんな奴に!
 その上、伊澄の機嫌も悪い。
 まあ、これは仕方がないかもしれない。
 わざわざ助けを差し伸べてもらったのに俺はその手を蹴ったんだからな。
 もしかすると、伊澄にやってもらった方がよかったんじゃないかとずっと後悔しているが、もう、どうしようもない。
「じゃ、簡単にルールを説明するわ」
 今からかよ。
 まあ、今の今までルールも知らなかった俺もどうかと思うがな。
「基本的には、二人で十代の女の子、見せられ少女にちんちんを見せ、その表情や感情の変化で勝敗を競うのよ」
 簡単に説明されたが、全く意味が分からない。
 表情の変化なんて、どういう基準だろう。
「見せられ少女は基本的に何があるかを知らされていない。その方が自然なリアクションが出るから」
 その、何も知らされず、いきなりちんちん見せられる女の子は気の毒過ぎるな。
「その、脈拍や表情から審査員がポイントして、勝敗を競うのよ。審査員は三人で、それぞれが二十点持っていて、ポイントが多い方が勝ち」
 審査員なんているのか。
「審査基準とか一体何なんだ?」
「より、感動を与えたか。目には見えない部分の測定のために計器は使うけど、それはあくまで参考。結局は審査員の判断で決まるわ」
 何だかよく分からないけど、それでいいや。
「あ、あと、見せられ少女は知らないから場合によっては攻撃してくることもあるけど、その場合、ちゃんと避けて。避けないと潰されることもあるから。潰されても試合中の負傷になるから」
「ちょっと待て! そんな話、聞いてないぞ?」
「今まで言ってないわ」
「言えよ! 物凄い重要な事だろ!」
 さすがにそんな危険があれば俺は来なかったぞ?
 何しろ、それを潰されたら、俺の人生が半分以上終わったも同然だからな。
「そんなこと言ったら来なかったでしょ?」
「来なかったさ! 来るわけないだろ!」
「でも大丈夫」
 おそらく何の根拠もないが、伊澄が言う。
「何でだよ?」
「鷹士のは絶対蹴りたいと思わないから」
「お前の主観かよ!」
「そうよ」
「一般論はどうなんだ!?」
「私は十代の女の子よ?」
「お前は同世代から自分が浮いていると思ったことはないのか?」
「ないわ」
「ないのかよ!」
 駄目だこいつ。
 しかし、これはまずいな。
 軽く考えてたが、よく考えたら、自分の一番の急所を無防備に晒すんだよな。
 それって、物凄く危険なことなんじゃないか?
「どうしてもって言うなら、避け技も色々あるけど、時間の無駄ね」
「なんで?」
「鷹士のは蹴りたくないから」
「だから、お前の主観はどうでもいい!」
 はあ……。
 俺はがっくりと項垂れた。
 まあ、避け技があっても今からじゃ習得できないだろうし、どうしようもないか。
 覚悟を決めるしかないみたいだな。
 伊澄はこれが終わったら、ひどいことしてやるからな。
 何してやろう。
 何でもいいんだよな?
 じゃ、じゃあ──。
「ちーっす。お疲れさまでーす」
 そんなことを考えていると、誰かが入ってきた。
 ジャージの二十歳前後の人と、ジャージに首タオルのおっさん。
 おそらくもう一試合の選手とセコンドだろう。
「お疲れさまです」
「お疲れです」
 俺と伊澄は立って挨拶をした。
「お疲れーっす。おう、あんたが特進して八回戦始まりの新人さんだっけ?」
 若者の方が、俺に話しかける。
「はい、よろしくお願いします」
「あんたの相手もすげえな。俺なら絶対受けねえよ」
 笑いながら、多分俺を誉めてくれている。
「いえ、俺なんて」
 俺は一応謙遜をしておいた。
「啓二、そんな心構えじゃ駄目だ。挑戦されたら受ける。そうでないといつまで経ってもランキングなんか付かねえぞ?」
 おっさんの方が若者を諌める。
「へいへい、分かってるって。じゃ、俺ら先だから、準備したらすぐに行ってくるから」
 そう言って準備に入った二人。
 ……何だかここに来ていきなり緊張し始めた。
 そういえば俺、これから試合するんだよな。
 勝つ意味なんてまるでないし、勝ち負けとかどうでもいいとか思ってたが、やっぱり負けるのは嫌だ。
 負けるのはやっぱり悔しい。
 と言ってもどう勝つのかすらよく分かってない状況だからな。
「芦ヶ谷さん、時間ですから来てください」
 ドアが開いてそう言う人が来た。
「っしゃ! じゃ、行ってくるぜ。あ、そこのテレビモニタで試合見られるから、活躍を見ておいてくれ」
 そう言って、二人は出ていった。
 おそらく彼らの次は俺の順番だろう。
 まずい、緊張が止まらない。
 俺が深呼吸をしていると、伊澄がテレビをつける。
 すると、自動的に館内放送になり、観客と、その前列にテーブル前の席に座っている数人が見える。
 おそらく、その人らが審査員なんだろう。
 舞台は演劇の舞台のように壇上になっており、そこに仕切りが見える。
 中央で仕切られた舞台の左側に、ガラスが張られている。
「あれがマジックミラーになってて、中から外が見えないようになってるのよ」
 どうでもいいが、伊澄は何でこんなに詳しいんだろう。
「ん? 中から外って逆じゃないか?」
「あれでいいのよ。あの中に見せられ少女が入って、みんながそのリアクションを見るんだから」
「そう聞くと悪趣味だな」
「そうね、悪趣味ね」
 伊澄がナチュラルに肯定するので、俺は伊澄を見返すが、いつも通り無表情で画面を見ていた。
「でも、芸術って大抵悪趣味なものでしょ?」
「うん、芸術家に謝れ」
 まあ、そもそもこの大会自体悪趣味なものだがな。
「それではお待たせいたしました、これより八回戦の試合を開始します。青コーナー、六勝四敗、城北の種馬、川藤次郎!」
 アナウンスと共に、ローブを着た男が入ってくる。
「赤コーナー、七勝二十六敗、イル・ダンコン、芦ヶ谷啓二!」
 アナウンスと共に現れたのは、さっきここにいた──。
「って、おっさんの方じゃねえか!」
 いかにも選手っぽかった若い人はセコンドで、セコンドっぽかったさっきのおっさんが選手だった。
 しかも二十六敗って。
 二人は何だかこれからプロレスやボクシングでもしようかというくらい跳び跳ねたり、腕を回してみたりウォーミングアップをしていた。
「では、先手、青コーナー川藤さん、開始線へ」
 レフリーの言葉に、青コーナーの人が舞台中央に立つ。
 いつでもローブを脱げるように、手をかけている。
 その後すぐに、反対側のマジックミラーのスペースに一人の女の子が通された。
 年齢は俺と同じくらいだろうか、見たことはない。
 女の子は不安げに、おそらく言われた通り、前に向かって歩く。
「レディー、ルック!」
 レフェリーの合図と共に、選手の人がローブを脱ぎ、そのまま後ろに倒れ、ブリッジを作る。
 それと同時に、マジックミラーの前の部分が開き、選手と女の子の間の仕切りが開かれる。
「!」
 簡単に状況を説明すると、まずは全裸の男がいて、そいつがブリッジをしている。
 で、その足元に女の子がいて、いきなり、目の前少し下に股間がある。
「き、きゃぁぁぁっ!」
 当然というか、女の子が悲鳴をあげる。
 だが、本当の地獄はそこからだった。
 声に興奮したのか、その股間のものが徐々に大きく膨らんで、隆起を始めたのだ。
「いやぁぁぁっ!」
 恐怖で叫ぶ女の子。
 これ、絶対トラウマになるだろ。
「そこまで!」
 レフェリーの終了の掛け声。
 それで、再び仕切りが閉じられる。
 腰が抜けた女の子を、スタッフが運んでいくのが見える。
「判定!」
 その声で、カメラが変わる。
 舞台袖にいた審査員が、考えたり首を傾げたりしながら点数をいれていく。
「十一、十四、十二合計三十七点」
 点数を受けて、選手が軽く手を上げる。
「……なんだこれ?」
 みせちんというものを始めて見た俺の感想はそれだ。
「何もなにも、みせちんよ?」
 いや、そんなこと言われても。
「うん、それは分かってる」
 俺が言いたいのはそういうことじゃない。
「これ、何が楽しいんだ?」
「さあ?」
 平然と、伊澄は答えた。
「いや、さあって……お前はなんで俺を誘ったんだ?」
「鷹士のちんちんがみせちんに向いてると思ったから」
 言葉だけ聞けば、論理的だけど、決して論理的な答えとは言いがたいなあ。
「まあさ、一回はやるって言ったからやるけどさ。二回目はないぞ?」
「……うん」
 この上なく不満げな表情で俺を見上げている伊澄。
 そんな顔するなよ、俺だって出来れば幼馴染みの望みくらい叶えたいんだよ。
「あ、さっきの人勝った」
 俺が伊澄と話してる間にも試合は進んでいて、赤コーナーのおっさんが勝った。
 よほど嬉しいのか、下半身を晒したまま走り回っている。
 そういえば、こんな様子放送に載せていいのか。
「じゃ、そろそろ準備しておいて」
「準備って言われても、これ以上することはないんだが」
 俺はカミソリで念入りに剃られた後、普通にパンツとジャージを穿いただけだ。
「気持ちの準備は?」
「それは多分全く出来てない。そもそもどのタイミングで下ろすとかも分かってないしな」
「鷹士の場合、まずは女の子と目を会わせて微笑んで。そのまま、下ろすのはどう? まだ、ブリッジとか出来ないでしょ?」
 ブリッジってさっき試合でやってたあれか。
 出来るようになってもやりたくないなあ、あれ。
「亜様さん、そろそろ準備お願いします」
 控え室が開いて、スタッフが呼びに来た。
「さあ、行くわよ?」
 伊澄が立ち上がる。
 お前はなんでそんな力入ってるんだ。
 俺もゆっくりと立ち上がり、スタッフと伊澄の後に続く。
 窓の光が眩しい廊下から階段を降り、今度は薄暗い廊下を歩く。
 遠くから歓声が廊下に響いてくる。
 まずい、緊張してきた。
「ここでしばらくお待ちください」
 スタッフが俺を待たせたのは、簡易的な椅子と机があるだけ、舞台のすぐ裏だ。
 観客のは直に聞こえてくる。
 さっきの試合が終わったばかりでまだざわついている。
 俺、なんでこんなことしてんだろう?
 女の子にちんちんを見せるところを観客に晒して、何がしたいんだ俺?
「これからアナウンスがありますので、それに従って登場してください」
 スタッフにそう指示される。
 俺は無言でうなずいた。
「それでは八回戦第二試合、青コーナー、南海のトラウマ、猿渡、聡ー!」
 俺の対戦相手が登場する。
 ここから見る限り、二十歳前後の人で、なぜだか分からないが、上半身に何も着ていない。
 パッと見ボクサー見たいなスタイルだ。
「赤コーナー、期待の超新星、身体は大人、ちんちんは子供、亜様、鷹士ー!」
 俺はスタッフの誘導に従って舞台に登場する。
 なんだか、気持ちは浮わついていて、何が起こっているのか自分でもよく分からないくらい緊張していた。
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