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ちんこ短し恋せよ乙女 作者:真木あーと
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第五節

 さて、そんなわけで、俺は試合に出ることになった。
 確認したところ、俺は八回戦というところからの出場だそうだ。
 新人は四回戦からなので、破格の出世らしいがよく知らんし知りたくもない。
 とりあえず、何だかいろいろよく分からないままだ。
 俺の知っているルールは、女の子にちんちんを見せるってことだけだ。
 それでどう勝敗を決めるんだろう。
 まあ、よく分からないが、やると言ってしまった以上やるんだけどさ。
 伊澄は本当に何でもしてくれるんだろうか?
 いや、そこまでは期待していないけどさ、期待してないけど、胸くらいは触らせてくれるよな?
 伊澄は結構着やせするタイプだから。胸はそこそこあるんだよな。
 いやいや、何してもいいんだぞ?
 それならもっと……。
 いやいや! 伊澄だぞ? 幼馴染で友達だぞ?
 これまで俺は、数え切れないくらい伊澄を助けて来たし、まあ、少しくらいは助けられもしてきた。
 そんなことしたらその積み上げた関係が壊れかねないだろ。
 まあ、ぶっちゃけ、俺のズボンを人前で二回も摺り下ろしている伊澄は俺から関係切っても責められないだろうし、逆にあいつパンツ摺り下ろしても……いや、さすがにまずいか。
 ああ見えて、大企業の会長社長令嬢だからな。
 ともかく、騙されてプロテスト受けた日からすぐ、俺のマッチメイクが決まった。
 相手は同じ八回戦で、六勝二敗の人らしい。
 普通は四回戦クラスで四勝して六回戦クラスになり、そこで二勝して八回戦に来るので順当に勝ち上がって来たんだろう。
 試合の日も決定している。
 日本ランキング戦のオープニングアクト(前座)らしい。
 試合の二時間前に受付だが、更に一時間前に来てほしいとのこと。
 伊澄がマネージャーのように全て決めて来るので、俺は何もせず話を聞けばいいだけだ。
 ただ出ろと頼まれたから、一回出るだけなんだが、本当に何もしなくていいのか?
 なんか技術とか練習とかいるんじゃないのか?
 そう不安になってしまう。
 やるからにはしっかりやりたいし、出来れば負けたくない。
 何もしないってことは負けた理由にしたくないからな。
 だが、俺から積極的なやる気を見せて伊澄や、あの大久保さんなんかに期待させるのも悪いしなあ。
 どうせ一戦のみの約束だし、何もしなくてもいいか。
「鷹士、準備できてる?」
 俺の家にはフリーパスの伊澄が俺の部屋まで入って来て聞く。
「ああ、ジャージでいいんだろ?」
「まあ、今日はそうね」
 伊澄の方はホットパンツにロンTという、こっちも動きやすいスタイルだ。
 ちなみにワンピースが多い伊澄からすると、珍しい格好だ。
 別に伊澄はそばにいるだけなんだがな。
「今日はってその後は違うのかよ?」
「日本ランキング戦の上位になると、自分専用のローブを着ることになると思うわ」
 伊澄はしれっと、この後があるような言い方をした。
「いや、一戦だけって言われたから一戦だけだからな」
「…………うん」
 絶対納得していない顔で答える伊澄。
「じゃ、行きましょうか。忘れ物は? ちんちんは持ってる?」
「置いて行けないからな」
「具合は?」
「知るか」
「ちょっと見せて?」
「断る」
「どうせ、見せるんでしょ?」
「そういう問題じゃない」
「何の問題なのよ?」
 そんなもん、決まってるだろ。
 二人きりの俺の部屋で、俺が伊澄に見せるってことは、なんだかヤバイ気がするんだよ!
「どうせ後で見せるんだからいいだろ?」
 俺はそう言って立ち上がる。
 もちろん伊澄の攻撃は警戒しつつだ。
 伊澄はほほを膨らませて拗ねたように俺を睨む。
「ケーチ!」
 伊澄のそんな表情を見るのは久しぶりだな。
 ああ、それが見れただけで、引き受けてよかったとすら思えてしまうから困る。
「じゃ、行くわよ!」
 まだ少し不機嫌な伊澄が部屋から出ていく。
「ちょ、待てよ!」
 俺は中年アイドルの物まねの人がよく言う言葉を言いつつ、伊澄のあとを追いかけた。
 家を出て、俺たちはすぐにこの前の市民会館へ向かった。
 どうせこの町には他に施設なんかほとんどないし、あそこでやるんだろう。
 ちなみに市民会館は、この前のような展示棟の他に、舞台があったり、プロレスが興業をするようなホールもある。
 おそらく今日はその辺りで大会があるんだろう。
「おーい、もう少しゆっくり行こうぜ?」
 俺は前を早足で歩く伊澄に言う。
 無視されるかと思ったら、くるりと振り返って俺をにらんだ。
「早く来いと言われているわ。どうしてのんびりしているのか理解出来ない」
「早くって、受付の一時間前に来いって言われただけだから、まだ余裕で間に合うだろ?」
「そういうことじゃないわ。色々やることがあるから一時間前に来と言われたのよ。一時間前に行ってどうするつもり?」
 なんだか怒られたけど、なんで怒られたのか本当に分からない。
「いや、一時間前に来いって言われたら一時間前に行くものだろ? それより前に行って、向こうが準備してなかったら逆に迷惑だろ?」
「そんなことないわ。いい? あなたは特別な選手なのよ? 簡単に準備なんて出来ないのよ?」
 ごめん、本気で何言ってんのか分からない。
 まあ、こいつがわけの分からないことを言い出すのはこれが初めてじゃないからな、ここは聞き流そう。
「分かった分かった、じゃ、少し急ごうか」
 俺は少し早足で、伊澄の後を追いかけた。
 市民会館に近づくにつれ、周囲を歩いている人が増えた。
 これ、みんな市民会館に向かうんだろうか?
 みんな、みせちんとやらを観戦しにいくんだろうか?
 さすがにそんなわけないよな。
 こんな馬鹿みたいな競技がそんなメジャーなわけがない。
 だが、市民会館が見える頃になると、結構広い歩道が行列のように埋め尽くされ、みんなが市民会館に向かっている。
 そうか、なるほど、多分今日は有名なタレントが来るんだな。
 だからみんなそれを目当てに集まってきてるんだ。
 そうだ、そうに違いない。
 俺もあわよくば早めに終わってそっち覗いてみたいな。
 誰が来てるんだろう?
「なあ、今日って誰か有名な人でも来るのか?」
 隣を歩く伊澄に聞いてみる。
「そうね、日本ランキング三位の『北海のお稲荷さん』と、五位の『赤い如意棒』の対決があるわ」
「そいつらは俺の中では全然有名じゃないな」
「でも、この世界じゃ有名人よ」
 狭い世界なんだろうなあ、まあ、どうでもいいけど。
「まあいいや、で、俺たちはどこから入るんだ?」
「裏の関係者搬入口よ」
 そう言うと、伊澄は長蛇を離れ、会館の裏手に向かう。
 そこには明らかに関係者ではない、おそらく出待ちの人間が何人かいた。
 多分同時開催の有名人コンサートの出待ちだな。
 絶対そうに決まってる。
 俺の心の中では、強引にそう思い込もうとしている自分と、「みせちんって有名な大会なんだなあ」と感心する自分がいた。
「鷹士、これ持って」
 伊澄が選手登録のカードを俺に差し出す。
「入り口でそれ見せるから」
「あ、ああ……」
 俺は素直にそれを受けとる。
 俺は伊澄の後に続き、ガードマンがいる扉に向かう。
「お疲れさまでーす」
 伊澄がいかにも関係者という感じの挨拶をして、なんだか俺に渡したのと同じようなカードを見せて、中に入る。
「お、お疲れさまです……」
 俺もそれに続いて中に入った。
 ガードマンは俺のカードを見て、軽く会釈だけをした。
「八回戦では専用控え室はないからこっちよ」
 伊澄が俺を連れていくのは八回戦赤コーナー選手の控え室だった。
 一応対戦相手とは別室になる配慮はあるんだな。
 でも、八回戦自体、今日は二戦しかないようで、もう一人の選手は時間も早いため、まだ来てないようだ。
「早く来すぎたんじゃないか?」
 少し責めるような口調で言うが、伊澄は平然としていた。
「じゃ、私は大久保コミッショナー呼んでくるから」
 なんで新人のデビュー戦でコミッショナーが来るんだ、と思うが、あの人俺に惚れ込んでるみたいだからなあ。
 俺は出ていく伊澄を眺めながら、試合って結局何するんだろう、なんて事をのんきに思っていた。
「待たせたね、亜様君」
 現れたコミッショナーは、前に会ったときよりも少し豪華な服を着ていた。
 まあ、今日は大会で、この人も色々挨拶されたりするだろうからな。
「こんにちは、って──」
 大久保さんの後ろから、屈強な筋肉質の男が二人現れた。
 え? 誰? 何の人?
「じゃあ早速始めるからね、おい」
 大久保さんが言うと、後ろの二人が俺を横に寝かせ、手と足を押さえた。
「え? な、なに?」
「亜様君、君のちんちんは非常にいい。君のような年齢のモノとはとても思えない、いい、子供ちんちんだ」
 そう言いながら大久保さんは俺のジャージのズボンを下ろす。
 誉められてるのか貶されてるのか分からないが、俺自身はとても傷ついた。
「それをより一層際立たせるためには、邪魔なのだよ、毛が」
 大久保さんの手に握られているのは、キラリと光る、カミソリ。
「やめろおおぉぉぉぉっ!」
 俺は暴れるが、押さえ込んでいる二人の力は強く、俺は身動きひとつ取れない。
「大丈夫だよ、こう見えて私の本職は床屋だからね。剃毛は慣れたものだよ」
「いやぁぁぁぁっ!」
 今、まさにおっさんにちんちんの毛を剃られようとしている。
 なんだか大切なものを失ってしまうような気分だ!
 誰でもいいから助けてくれ! このままでは俺は、おっさんにちんちんの毛の処理をさせた男として一生十字架を背負わなければならなくなる!
「小僧、ひとつだけ教えておいてやる」
 俺を押さえ込んでる人の一人が、俺の方を向いて口を開く。
「な、なんすか?」
「コミッショナーは、ホモだ」
「いやぁぁぁぁぁぁっ!」
 俺はさっきの数倍の必死さで暴れるが、それでも身動きひとつ取れない。
「さ、さあ、綺麗にしましょうね。大丈夫だから。はあ、はあ、はあ」
 コミッショナーの荒い息が、俺の股間に降り注ぐ。
「たーすーけーてぇぇぇっ!」
 俺の叫びは、誰にも聞き入れられ──。
「待ってください」
 聞き入れられた!
 俺の助けに答えてくれたのは、伊澄だった。
「どうしたのかね、棚華君。これに関しては、君も了承済の事だろう?」
 了承したのかよ! なに勝手に了承してんだ!
「はい、もちろん私も毛がないほうがいいと思いますし、どうせ従わないだろうから、強制剃毛も致し方がないと思います。ですが、このようなやり方では、おそらくトラウマになってしまい、今後のアップに影響を及ぼすのではないかと思います」
 俺の幼馴染みが何を言っているのか分からない。
「ふむ……ではどうすればいいのかね?」
「私が、剃ります」
 ……え?
「しかし、君は私のように手慣れてはいまい。試合前に怪我をさせてはそれこそ本末転倒ではないか?」
「安全カミソリを用意してあります。三枚刃です」
「ふむう……」
 大久保さんが考え込む。
 その表情は、悩んでいると言うよりも「この女、俺の獲物を横取りする気か」という感じで、ガチでこの人は遠慮したい。
「君は、亜様君が好きなのかね?」
 いきなり何聞いてんだ、このおっさん。
「はい」
 で、お前も照れもなく答えるなよ。
「私もだ」
 何でだよ?
「このままでは平行線だな」
 え? 一度でも平行になったことってあったっけ?
「では、こうしよう。この件は亜様君に選んでもらうということで」
「分かりました」
「では、亜様君、君はどちらがいい?」
 大久保さんが聞く。
 そんなものは聞かれるまでもない。
 伊澄で決まりだろ。
 ……いや、あくまで他に選択肢がない場合の、やむを得なくだからな?
 まあ、伊澄ならおっさんより遥かにマシだろう。
 おっさん相手に触られて声なんて出したら死んでしまいたいしな。
 伊澄相手なら、まあなんと言っても女の子だし、声が出ても恥ずかしいが死にたいほどでもないし、むしろ気持ちいい──。
 ん?
 ちょっと待てよ?
 よく考えたらさ、剃る人の目の前には俺のモノがあるわけだろ?
 あれって、男の身体でどこよりも性的な興奮に敏感な場所なわけで。
 もし、伊澄に剃られてる時に大きくなってしまったら?
 周りから「うわっ、こいつ剃毛で興奮するんだ」なんて思われるじゃないか!
 そうなったら生きては行けない!
「さあ、どうするかね、亜様君?」
 大久保さんに迫られる。
 くそっ、こうなったら一択しかない。
「じゃあ、大久保さんで……」
 俺は何かを間違えたのかもしれない。
 だが、最悪の自体を回避できた、と思う。
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