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ちんこ短し恋せよ乙女 作者:真木あーと
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第十五節

「世界チャンピオンへの挑戦権を得たわ」
「だから、教室でその話は──なんだって?」
 俺と結愛が教室で話していると、遅れてきた伊澄が教室へ入るなりそう言ったのだ。
 いや、普段なら俺は伊澄と一緒に登校するんだが今日は「用事があるから遅くなるわ」と言ったので先に来たのだ。
 で、現れた伊澄がいきなりそう言ったので俺としては驚きだ。
 世界チャンピオンと東洋太平洋チャンピオンとの間には大きな差がある。
 東洋太平洋チャンピオン程度では、まだまだ世界チャンピオンへの挑戦権にはならないのだ。
 これから世界ランクを徐々に上げていき、チャンピオンへの挑戦権を得る必要があると思っていた。
 国内戦でこそ大久保さんというコネがあったから、いきなり二戦目でのチャンピオン決定戦だったが、本来なら相手が受けてくれなければ試合は出来ないのだ。
 大抵の選手は上を目指しているから、自分より下位の選手と対戦するメリットなんてない。
 だから「自分と十位以内のランクの選手の挑戦を拒むことは出来ない」という規定によって、のし上がっていくしかないわけだ。
 俺も世界戦ではそうなると思っていて、結愛にもパスポートを取らせて、これから世界を相手に戦っていこうとしていたところだ。
 だから、伊澄がいきなり世界チャンピオンへの挑戦権を得たと言ったのには驚いた。
 俺の今のランクから言えば、チャンピオンが承諾しなければ挑戦権は得られないはずだ。
「何をしたんだ? 大久保さん以外のコネとかあるのか?」
「コネといえばその通りね」
「いや、コネがあるからと言って、簡単に承諾してくれるもんでもないだろ。相手も自分にメリットのある人間じゃないと。東洋太平洋チャンピオンと対戦程度では人も集まりにくいだろ」
「そんなことないわ。チャンピオンにとってとっても大きなメリットもあるし、観客を集めやすい対戦カードでもあるもの」
 俺との対戦が?
 まさかそいつ、大久保さんと同じ趣味なのか?
「で、どうやって交渉したんだ?」
「家に行って、『鷹士と対戦してください』と言ったわ。そうしたら『いいよ』って言われたの」
 「いいよ」? チャンピオンは日本人なのか?
「なあ、チャンピオンってどこに住んでるんだ?」
「私の家の前よ」
「そうか、お前の家の前って……俺の家じゃねえか!?」
「そうよ」
「そうよって……」
 伊澄の家の前にある俺の家には一人のみせちん選手がいる。
 それが俺だ。
 ちなみに俺は妹はいるが男の兄弟はいない。
 言い方はアレだが、家でちんちんを持っているのは俺以外には──。
「まさか、親父か……?」
 俺はおそるおそる聞いてみた。
「そうよ」
 伊澄は表情を変えないまま、そう答えた。
 いや、それはないだろ。
「いやいや、俺の親父って雑誌社の社長だぞ? 何言ってんだ」
「雑誌……? 何を言ってるの?」
 伊澄は不思議そうに俺を見上げんながら首を傾げた。
「いやいやいや! 俺の親父は雑誌社の社長だぞ?」
「そんなこと聞いたこともないわ。あなたのお父様は昔からみせちんの選手だったわ」
 俺は停止しそうな思考を必死に回転させて現状を整理した。
 えーっと、伊澄が嘘をついていないのは分かる。
 嘘なら俺が見破れないわけがないからな。
 え? じゃあ、俺がずっと思ってた「雑誌社の社長」ってのは、親父が俺に嘘を吐いていたのか?
 いや──思い返してみよう。

 あれは小学校低学年の頃だった。
「ねえ、お父さんはどんな仕事してるの?」
「そうだなあ、自分で作り上げた物を、みんなに、特に女性に見てもらう職業かな。ちょっとした違いで反響も変わってくるから大変な世界だよ」
「ふーん。給料はどのくらい?」
「ははは、お父さんは給料をもらっているわけじゃないんだよ。売上から一部をもらっているんだ」
 それで俺は勝手に雑誌社の社長だと思っていた。

 小学生の狭い視野で考えれば、作ったものをみんなに見てもらうといえば芸術家か雑誌を作っていることしかなく、特に女性に見てもらう、となると女性誌なんかしか思いつかず、そういう編集の人なのかと思った。
 そして、売上の一部から報酬をもらっていると言われると、子供では社長だとしか思えないのだ。
「だまされた! くそっ! 親父って選手だったのか!」
 どおりで大久保さんが初めて会ったとき「血は争えないな」とか言ったと思ったんだ!
「おそらくだけど、鷹士のお父様は騙したとは思ってないわ」
「なんで……だ……!」
 なんでだよ、と言おうかと思ったが、そう言えば俺が勝手に勘違いしただけだと思い直す。
 まあ、親父の言い方もアレだが、確かに自分から「俺はみせちんの選手だ」なんて言えないよな。
「とにかく、そのおかげでマッチメイクが出来そうだわ。分かるわね? 四試合で世界チャンピオンになれば、史上最速記録を遥かに上回るわ」
 まあ、そうだろうけどさ。
 それって誰かに自慢できるのか?
 いや、その前に、教室でそんな事を言えば──。
「なんだ? 世界チャンピオンって何の話だ?」
 ほら! クラスメートが興味持つだろ!
「鷹士がもうすぐ世界チャンピオンにむぐう」
 平然と話しそうになってる伊澄の口を慌てて閉じる。
 俺と伊澄の関係はクラスの全員が知ってることだから今更だが、いきなり女子の口を塞ぐ行動に、クラスは少しざわめく。
「いやっ! ネットの話だから! ゲームの!」
 俺は慌てて言い繕った。
「あ、そう言えば鷹士くん、永久脱毛するかもって言ってたから、大久保さんに言むぐう」
 今度はそれ以上の爆弾を結愛が話そうとしたからやっぱり口を塞ぐ。
 お前は俺を破滅させたいのか!
 俺と結愛の関係を知らないクラスがざわざわとする。
 まずい、女子二人の口を塞いでる俺って何なんだとか思われてるよな。
「いや、これは……その……」
 さすがに永久脱毛って言い逃れしようがないんじゃないか?
「あの……わ、わき。そう、わきの脱毛をしようかなって思ってさ、大久保さんって床屋の人なんだけど、その人が出来るらしくって──」
「えっと……そっか。最近は男も脱毛しなきゃモテないもんな……」
 気を使われている!
 なんか苦笑されている!
 クラス全体にこれ以上聞いちゃ俺が可哀想だという空気が流れてる!
 いやっ! そうじゃないけど!
 今はこの空気に乗っておくのが一番な気がするので、このまま済ますことにしよう。
「ま、まあな。これからは必要だと思って、まだカタログをもらう段階で──」
「そう言えば、次のみせちんの試合はあの公会堂じゃおえぇぇぇっ!」
 伊澄が致命的な事を口走ったので口を塞ごうとして、ちょっと指がずれて、喉の奥に指を突っ込んでしまった。
 いや、最初の段階で間違えたな、とは思ったけど、なんか、こう、怒りがね、そう、怒りが、俺の指を滑り込ませたというかね。
「ひどいわ鷹士」
 さすがに涙目の伊澄が恨めしく俺を睨むが、お前はちょっと自業自得だろ。
「みせちん……? 何だそりゃ?」
「あ、あー、その、あれだ! 俺と伊澄と結……可愛でやってるネットゲームの略称なんだよ!」
 俺は慌ててそう言い繕った。
「そ、そうか……がんばれよ?」
 既に流れていた、これ以上俺にツッコむな的空気のおかげで、事なきを得た。
 丁度チャイムが鳴り、先生が来たので、話はそれで終わった。
 多分みんな、変に思っただろうし、中にはみせちんって競技を知ってる奴もいただろう。
 無事に済んだわけはないだろうな。

「よし、いいわけを聞こう」
 放課後、俺は困った美少女二人を空いている教室に連れて行き、正座させた。
 伊澄はもとから無表情なので、反省しているかどうかも分からないが、結愛は反省したようにうつむいている。
「鷹士の名誉なことは、クラスのみんなが知るべきだわ」
「いやだから! クラスでは言うなって言っただろ!」
「忘れたわ」
「忘れるな!」
 まあ、こいつなりに俺のためを思っているあたり、怒りにくいが、ここで怒っておかないと今後もやりかねないからな、こいつ。
「私は、鷹士くんと大久保さんの関係が公認になればなって思って」
「公認も何も、そんな関係ないっすから! そもそも秘密って忘れたわけじゃないだろ?」
「うん……でも、教室でばらされて破滅していく表情をどうしても見たくって……」
 もじもじと可愛げに、とんでもないことをおっしゃる。
「あのな、俺を破滅させて何がしたいんだ?」
 俺はあまりに怒り過ぎて、後、あまりのことにちょっと怯えてて、小さな声でしか聞けなかった。
「うん……ごめんなさい、これからは想像の中だけにする……」
「いや、出来れば想像でもやめていただけませんか?」
「妄想を裁く法律はないわ」
「お前は黙ってろ」
 もう、何だろう。
 俺は今日に入って何度目になるか分からないがため息を吐いた。
 この二人を従えてさ、頑張ってるんだよ俺はさ。
 二人とも、本当に可愛いんだよ、彼女に出来たらそれだけで幸せになれるレベルなんだよ。
 だけどさ、その幸せを遥かに上回るほどの個性がさ、あるんだよこいつらには。
 本当、伊澄だけでも精一杯だったのに、結愛も加わると俺、もうやっていけないレベルなんだよ。
「だが、世界チャンピオンのオファーを取って来たのは、たとえ相手が親父でもよくやった」
「大したことないわ」
 口ではそう言うが、まんざらでもない表情になったことは俺には隠せない。
「で、やっぱり会場は市民会館なのか?」
「違うわ。今度のプロモーターはあのドン・チンコ氏がやるから」
「誰だそれ、確か有名なプロモーターって前に言ってた気もするけど。で、どこでやるんだ?」
「コロシアムよ」
「有明ぇぇぇぇっ!?」
 有明コロシアムは、元々テニスの森にある競技場で、時々格闘技のイベントも開催される。
 有明に事務所を持つプロレス団体ノアは、普段はディファ有明を使っているが、大きなイベントの時には有明コロシアムを使う、というくらい収容人数の多い会場だ。
「収容人数は一万人程度。ファイトマネーはこれから交渉だけど、これまでよりも遥かに上がるのは確実よ。勝てば億単位は行くと思うわ」
「いや、そうだろうけど……」
 なんだか途方もない話になってきたな。
 俺と親父が女の子にちんちん見せあうだけで一万人が動き、億単位の金が動くって、この国の景気はどうなっているんだ。
「あれ? 一万人が満員になったとして、たとえ入場料が一万円だったとしても一億円だろ? そこから施設使用料とかスタッフの給料とか払ったらどう考えても一億は出て来ないと思うんだが」
「収入は入場料だけじゃないわ。スポンサーの広告や飲食代も収入になるし、そっちの方が大きいはずよ」
 なんだか分からないが、すげえな、としか言いようがない。
「悩んでも始まらないわ作戦会議を立てましょう」
「そうだな。っても、親父相手だけどな。どうせ伊澄はいつものタブレットだろ?」
「鷹士、何を言ってるの?」
 伊澄が不思議そうに俺を見る。
「? 何だよ?」
「タブレットなんて持ってきたら校則違反よ」
「……そうだったな」
 いつも校則を半分無視しているフリーダムな伊澄に言われると腹が立つが、確かにタブレットは校則に違反している。
 厳密に言えば、スマホも校則違反なんだが、携帯自体は持ってきてもいいことになっているので、スマホだと携帯電話だと言い張れるので特に問題はない。
「じゃ、スマホで調べるか。それなら俺でも出来るし」
「既に情報は集めてあるわ」
「調べてあるのかよ!?」
「鷹士、情報はネットに載っているようなものは役に立たないわ。自分の足で手に入れた情報がいつも正しいのよ」
「お前が言うな!」
 よく平然とそんなことが言えるな、こいつ?
「で、何を調べたんだ?」
 俺は俺で、スマホで「亜様鷲矢」を検索して、ウィキを開く。
「亜様鷲矢は、日本のみせちん選手で現世界チャンピオンね。百七十二センチ、六十二キロ、右利き」
「うん、ウィキまんまだな、お前の情報」
 どうせ前もって調べてプリントアウトしておいたんだろう。
「ウィキの情報だろ、結局?」
「違うわ」
「何が違うんだよ?」
「ウィキが私を真似したのよ」
「なあ、せめて嘘つくならさ、自分がウィキに書き込んだとか言えばいいじゃん」
「あ、そうだったわ。それよ」
 一ミリも悪びれもせずそう言い切った伊澄は、ある意味尊敬してもいいと思う。
「……まあいい、で?」
「得意技はレスラーブリッジ。ちんちんの方向性はまっすぐ」
 いや、それはどうでもいい。
「形状はショート(短小)。更にトゥルーウェアードでもある」
 マジかー!
 親父も真性かよー!
 親子揃って真性じゃんかー!
「これは、まずいね……」
 俺が家系を呪っている時、結愛が真剣な表情で言う。
 あ、まだ正座させたままだった。
 伊澄が勝手に立ったから一緒に立ってるかと思った。
「何がまずいんだ?」
 俺は結愛を立たせようと手を差し出しながら聞く。
 結愛はその手を取り──。
「うわっ!?」
 俺の手を取らず、結愛は、俺の腰に手を伸ばし、ベルトを外してズボンを下ろしたやがった!
 俺の下半身は女の子二人の前に晒される事になった。
「…………」
 が、もう慣れていたので俺も結構冷静だった。
「で? 何だこれ?」
 俺は足首までパンツとズボンを下ろされたまま、冷静に結愛に聞いた。
 なるべく暴力と思われないように結愛に痛い思いをさせるにはどうすればいいかを考えていた。
 もうね、こいつ殴っても誰も俺を責めないと思うんだ。
「ほら、これ! お父さんと同じだから! 勝てないよ!」
「つまむな! 引っ張るな!」
 可愛い女の子にさ! そんなことされたらさ! 反応するじゃん、仕方がないじゃん!
「鷹士」
 それを見ていた伊澄が口をはさむ。
「……何だよ?」
「作戦を考える前に一つ言っておくわ。ムダ毛の処理は欠かさずに。ただ、毎日するとカミソリ負けするから、クリームを塗って保湿を忘れずにするのよ」
「試合以外では無駄な毛でも何でもないからどうでもいい! それよりも次の試合の事を考えようぜ?」
 このままだと伊澄や結愛のムダ毛処理方法を語られそうになったので急いで話題を変える。
 ええ、この二人に限って、ムダ毛なんて元々ないって信じていたいですから。
「そうね、次はプロモータがドン・チンコ氏になるわ。これがどういうことか分かる?」
 これまでのプロモータだった大久保さんから、世界的なプロモータであるドン・チンコ氏に変わる、という事は、もちろんイベントが派手になり、ファイトマネーがびっくりするような額になる。
 それ以外に何かあるか?
「さあ、ちょっと分からないな」
「大久保さんに剃ってもらえないってことよ。つまり大久保さんに頭を下げて剃ってくださいと頼みに行くか、私たちで剃るか、どちらかを選択しなければならない」
「どうでもいいだろそんなこと!」
 どうでもよかった!
 死ぬほどどうでもよかった!
「なるほど。それは重要な問題だね……」
「いや、結愛も! それより重要なことがあるだろ! さっき俺のちんちんつまみながら言ってただろ!」
「そんなことよりも!」
「そんなこと!?」
 俺が親父に勝つか負けるかってことは、そんなこと扱いになってるし。
「今すぐ、大久保さんに電話してお願いしよ!」
「いや、自分で剃るからいいよ」
「自分でお尻の穴まで剃れるの?」
「剃れないけどさ! そもそも何で尻の穴まで剃る必要があるんだ?」
「では多数決を取ります。鷹士くんのお尻の穴まで剃るべきだという人は挙手を」
「理由聞いただけで何で多数決!?」
 俺の抗議も空しく、結愛と伊澄が手を挙げて、穴まで剃ることが確定したらしい。
 結局、何で穴まで剃るんだ?
「さて、では作戦会議を続けましょう」
「あ、大久保さんには私から連絡しておくよ」
 結愛は本当に大久保さん好きだな。
 もう付き合っちゃえよ。
「今回の対戦相手は鷹士と同じ血が流れるギフテッドでもあるお父様よ。ギフテッド対ギフテッド、しかも父子対決として、注目を集めているわ」
 もうさ、俺の事ギフテッド(天才)って言うのやめない?
 ただの真性包茎なんだからさ。
「身体が同じなら、技がある方が勝つわ。これまで鷹士は技に頼らずに勝ててきたからかなり厳しいわ」
 親父は世界チャンピオンだけあって、才能だけでなく、技も持っているようだ。
 さっき得意技とか出てきた「レスラーブリッジ」というのもそれだ。
 レスラーブリッジはそのまま、レスラーがよくやる、腕ではなく、頭を地面に付け、首の力だけでブリッジをする技で、普通のブリッジよりも上半身が低くなるため、より股間を際立たせる技だ。
「今、私も調べてたんだけど、お義父さんは、『マツリ』という必殺技を持っているみたいだね」
 結愛の「お父さん」というイントネーションが微妙に違ったのが気になって仕方がないが、必殺技だと? いや、それよりやっぱりイントネーションが気になる!
「詳しいことは書いてないけど、これをされると大抵の女の子が優しい表情になるみたいだね」
 俺の思いなんて全く関係なく結愛が続ける。
「『マツリ』? 確かにみせちんの技とは思えない名前ね。鷹士、これに勝てる技を開発して」
「簡単に言うなよ! そもそも技って今まで考えたことないからどうすればいいか分からないって!」
「じゃあ、私たちで考えるから、鷹士はそれを試してみて」
 まあ、それなら何とか。
「結愛ちゃん、何かいい案ある?」
「えっと……たとえば、四つん這いになってお尻向けて、指をお尻の穴に入れて喘いでいたら、私なら幸せな気分になるかな」
「鷹士、やってみて」
「誰がやるか!」
 結愛はひどすぎる。
「あのな、ちょっとは真面目に考えろよ。まあ、手伝ってくれるのは嬉しいしありがたいんだけどさ、頼むから真面目に考える時は真面目に考えてくれ」
 協力してもらってる立場であり、試合以外の全てを管理してもらっているので強くは言えないが、頼むような口調でそう言ってみた。
「ひどい……真面目に考えていたのに……」
「ここで一番真面目ではないのは、せっかく人が出した案をやってみない鷹士よ」
「え? 俺っすか?」
 どうしてそうなった?
「自分で技が開発できないから人に丸投げしておいて、考え付いたらやりもせずに怒る。そんな人間に付いていきたいと思う?」
「いや、そう言われると、その通りだけど! ごめんなさい! 出来ません。もう少しやりやすいのをお願いします!」
 二人に反省させるために呼び出していたはずが、いつの間にか俺が謝る側に回ってたけど、今こいつらに離れられても困るので、とりあえず謝る事にした。
「とはいえ、世界チャンピオンに勝つとなると、そう簡単には行かないわ」
「いや、でもさ、さすがにその体勢だとちんちんほとんど見せてないだろ? それはルール的に問題あるんじゃないか?」
「そうね……ルールを考えると何も出来ないわね……」
 何も出来ないのかよ。
「コスチュームに凝ってみるとか?」
「そうね、ちんちんに合わせてガキ大将風にしてみたりもいいわね。鷹士、坊主にしてみて」
「嫌ですごめんなさい」
「どうして?」
「いや、俺にも日常生活ってものがあってですね」
「勝ったら一生遊んで暮らせるだけのお金が手に入るわよ?」
「いや、でもさ、どっちかっていうと、発想が逆なんじゃないか?」
 俺は頭をフル回転させて、どうにか下に続いて上も剃られないように考えた。
「どういうこと?」
「いやさ、俺って、見た目が大人で、ちんちんが子供ってところが売りなんだろ? じゃあさ、逆じゃないか? 見た目をもっと大人にした方がいいんじゃないか?」
「そうね……そうすると、どうすればいいのかしら……」
 作戦会議は一瞬にして暗礁に乗り上げた。
 何だかんだ言ってもそう簡単に画期的なアイディアなんて出て来ない。
 伊澄にしても結愛にしても、変わってるとは言っても、普通に高校に通ってる普通の女子高生だし。
「とりあえず、ちんちん見てないとアイディアも出て来ないわ。鷹士、もう一回見せて?」
「いや、勘弁してください」
 ここ、基本的に教室だからね。
 不意に誰かが入って来た時、俺が下半身露出してたら、確実に俺の学生生活が終わる、もしくは始まる。
「鷹士は本当にワガママばかりね。いつも付き合ってると大変だわ」
 それはこっちのセリフだ、とか思ったが今は黙っていた。
 なんかもう、東洋太平洋チャンピオンの俺の立場はどんどん降下中だが、この日は新技も出て来なかった。
 どうするんだろうな、親父との対決。
+注意+
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