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ちんこ短し恋せよ乙女 作者:真木あーと
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第十四節

 そして、試合の日はすぐにやってきた。
 俺たちはまたこの前の控室にいた。
 緊張がないわけじゃない。
 だが、それ以上の事態が連続で発生し、俺はいきなり帰りたくなった。
 そして、好きな男の子について行ったら、そいつの悪友が現れ、好きな男の子以外全員に凌辱された女の子のようにしくしく泣いた。
 何があったとかというと、この前のように、剃られたり、着替えさせられたりしたわけだが。
 まずこの強制着替えは逃れられない。
 コスチュームは伊澄管理だから、着て会場入りすることは出来ないんだよな。
 くっそー、いつかお前らも強制着替えさせてやるからな。
 多分、見ることになった時には俺の方が恥ずかしくて目をそらすと思うけどな。
 まあ、そんなわけで俺は全裸にされて息を切らしていた。
 早くコスチュームを着ないと見られ続けてしまう。
 これ、これからも毎回毎回続くのか?
 もうさ、どうせ見られるんなら恥ずかしがらずに見せて着替えたほうが楽じゃないか?
 そう思う気がないでもないんだが……。
 なんか悔しいってのもあるし、それにさ、何だかんだで美少女二人と密着してレスリング的な格闘をするってのはさ、多分今後の人生でまずないと思うんだ。
 だから、今だけはこのままでいたいんだよな。
 ただの欲望のために、試合前から体力削るのもあれだが、まあ、ウォーミングアップみたいなもんだな、これ。
 なんだかんだで緊張もほぐれるし。
 で、だ。
 これだけならまあ、何の問題もない。
 こうして俺が息を切らしてフルアップした状態で寝ころんでいた俺の元に登場したのは大久保さんと屈強二人衆だった。
 俺が全裸で、フルアップした状態で、女の子二人とともに息を切らしている様子は色々な想像が出来てしまうわけで。
 なんだか知らないけど、大久保さんが不機嫌だった。
 剃り方もいつもより乱暴だった。こっちは抵抗すらできない状態なのに。
 しかも指を入れられ動かされた、乱暴に。
 これには俺も、「あっ、あっ、だめーっ!」と叫んでしまった。
 それを聞いた大久保のオッサンが興奮したり、結愛が鼻血吹いたりした。
 悔しい! こんな奴に!
 みんなしねばいいのに。
 もうね、永久脱毛した方がいいんじゃないかと思うよね。
 そんな、色々なものを奪われた俺は、それでも試合に向かう。
 結愛もセコンド登録したらしく、今度は二人とも舞台裏でスタンバイしてる。
 いや、どうせ何もしないんだから、いらないんだけどさ。
 まあ、俺、ちょっとこの二人は怖くなってきたのでそんなことは口が裂けても言わないけどさ。
「お待たせいたしました。それではこれからメインイベントを開催いたしまします」
 舞台の方でレフリーが言う。
 大きな歓声がここまで聞こえてくる。
「本日のメインイベントは、東洋太平洋チャンピオンタイトルマッチとなっております」
 さて、出番だ。
 ここで両側から手をギュッと掴まれると、俺も頑張ろうって気になるんだが、まあ、それを望むのは贅沢ってもんだろう。
 さっきはいらないとか言ったけど、この二人がここにいてくれるのが最大の強み──。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!」
 次の瞬間、俺は叫び声を上げていた。
 何があったのか、俺はもう口にもしたくないくらいにある意味ショックを受けていた。
 目を閉じて集中してる俺の隣から、伊澄がギュッと握ったのだ。
 俺のちんちんを。
 こいつは一体何を考えているのかいまだに分からないし、分かる気もしない。
 まあいい。
 伊澄の奇行は今日に始まったことじゃない。
 問題は結愛だ。
 この、おとなしくて目立たなくて可愛かった結愛は、いきなり俺のパンツに手を突っ込み、俺のアナルに指を突っ込みやった!
 あり得ないだろ? 今まで生きてきて、隣に立ってる女の子にいきなり指をアナルに突っ込まれた経験のある奴はいるか? AVの撮影以外で!
 俺が雄叫びのような声を上げたのが表にまで響いて観客が騒めいている。
「お前ら一体何がしたいんだよ!?」
 本当なら一人ずつ拳骨を頭に落としたかったが、そんな時間もない。
「鷹士が緊張してたから、やわらげてあげようと思って」
「男として余計に緊張するわっ!」
「大久保さんが羨ましくてかっとなってやっちゃった。後悔はないよ」
「せめて後悔してくれ! あのおっさんの事をこれ以上思い出させるな!」
「思ったよりきゅっと締まってて──」
「言うなぁぁぁっ!」
「それでは挑戦者、青コーナー、二戦二勝の世界戦、微笑みの貴公子、亜様、鷹士!」
「ほらほら行かないと、呼ばれてるよ?」
「……くっ!」
 俺は話をやめ、舞台に出ていく。
 お前らいつか同じ目にあわせてやるからな。
 そして俺は、大歓声の中に降り立った。
 会場からは大きな鷹士コールが聞こえてくる。
 横断幕で「地元の星 亜様鷹士」と書かれているのを見つけた。
 おいおい、何だかここ凄いぞ。
 会場全員が俺を応援してくれているような気がする。
「続いて赤コーナー、東洋太平洋チャンピオン、微笑む姿は男性を魅了する、ミスター淑女、パナラット・エメカセム!」
 続いて現れたのは、女性だった。
 え?
 いや、確かにワンピースを着た、ブラウンのロングヘアーをウエーブさせている美女が歩いてきた。
 年齢は二十歳くらいだろうか、
 え? 何これ?
 何で女の人が来るの?
 でも、後ろにいるセコンドもみんな女の人だし、何かの間違いか?
 それとも世界規模では女の人も参戦可能なのか?
 いやいやいや! 女の人は参戦できない重大な理由があるだろ!
 そう、ちんちんがない。
 だから参戦できないはずだ。
 いや、ってことはあの人……男なのか?
「いてえ!?」
 モデルのように片手を上げてポーズをとるチャンピオンに、俺が見入っていると伊澄にちんちんを叩かれた。
 幸い少しずれていたので致命傷には至らなかったが、命中していたら、こんな舞台の上で俺はうずくまっているところだった。
「何するんだよ!」
「見過ぎよ」
「それだけのために俺の選手生命を断とうとしたのかよ!」
「ごめんなさい、反省しているわ」
「……まあ、だったらしょうがないけど」
 甘い、と思うかもしれないが、伊澄が俺に謝るなんてこれが初めてじゃないかと思うくらいの事だったので、思わず許してしまった。
 多分、俺が選手生命とか言ったから、自分が過去に選手生命を断ったことがあることを思い出してしまったんだろうな。
 悪いことしてしまったなあ。
 俺はちんちんを殴った伊澄に申し訳なく思って、謝……いや、どう考えてもこいつが悪いだろ。
 俺は伊澄の髪を乱暴に、カチューシャがずれるくらいに荒く撫でてやった。
「……負けた方が受け……イケる……!」
 結愛がよく分からないことを言っていたが無視した。
「それでは、先攻、赤コーナーエメカセム!」
「え?」
 先攻って、青コーナーで挑戦者の俺からじゃないのか?
「先攻後攻は赤コーナーが決められるのよ。あの人が先攻を指定したのね」
 伊澄が俺の疑問を察して教えてくれた。
 そうなのか、ってことは、あの人は先攻が有利だと思ったんだよな。
 この前のように先攻だとどれだけ素晴らしくても満点にはならない。
 それに、相手の技と点を見てから自分の技を決められるため、後攻の方が圧倒的に有利なはずだ。
 その上であえて先攻を選んだという事は、そちらの方が有利ってことだろうか。
「レディー、ルック!」
 レフリーが叫ぶと、いつものように扉が開く。
 その向こうには、まあ、いつものように女の子が立っていた。
 見せられ少女は、アジアン美人に驚く。
 エメ……なんとかは、その女の子に微笑む。
 その微笑みに魅了されるように、女の子はじっと見つめる。
 その次の瞬間だった。
「フンッ!」
 エメなんとかは、ブリッジしながらワンピースのスカートを捲る。
 そして、女性物の、ちょっと高級そうなパンツが丸見えになる。
 いや……これは……!
 そのパンツの股間の部分からは、巨大な物がその存在を誇示していた。
「ひっ!」
 それは、あまりの大きさに、今にもパンツを破いてしまいそう──。

 パシン!

 あ、パンツが弾けた。
 女性物のパンツは、その股間のもののあまりの大きさに弾け飛んだ。
 そして、そのグロテスクな怪物が姿を現す。
「……き」
 それはパンツを弾いた反動で、ゆらゆらと揺れている。
「きゃぁぁぁぁっ!」
 女の子の叫び。
 その声は、絶望の叫びに近かった。
 そりゃあそうだ、美人のお姉さんがいきなりブリッジして巨大なちんちん見せられたんだから。
 多分しばらく、トラウマになって、美人のお姉さん見ただけて怖くなるかもしれない。
 そして、こっちの陣営でも、伊澄がちょっと青ざめていた。
 結愛は何だか興奮していた、何なのこいつ?
「伊澄、大丈夫だ。俺のを見て上書きしろ」
「得点、十六、十八、十九、五十三点!」
 観衆がどよめく。
 敵であるエメなんとかが、高得点を叩きだしたからだ。
 そして、何より──。
「……まずい!」
「どうしたの?」
 俺のちんちんもさっきの光景を見て、萎えてしまっていたのだ。
 そりゃそうだ、女の人としか思えない人のパンツからいきなり馬鹿でかいちんちんが弾け出て来たんだから。
 さっきまで伊澄とか結愛のパンツ見て興奮してたけど、それよりも遥かに大人っぽいパンツが、目の前で弾けて、でかいちんちんが出て来たんだから。
 しかも、ただの萎えじゃない、しおしお状態だ。
「青コーナー、亜様、前へ!」
 まずいぞこれは。
 伊澄や結愛に上書きしたいからパンツ見せてとも言えないし。
 くそっ、だから先攻だったのかよ。
 俺は何の策もなく、開始線の前に立つ。
「レディー、ルック!」
 どうする?
 いや、こうなったらどうしようもない!
 俺はただ、見せるだけだ!
 目の前の扉が開き、見せられ少女が現れる。
「え?」
 え?
 俺は一瞬声を上げそうになった。
 声を出すと減点だ。
 目の前にいるのは、俺もよく知っているタレントだった。
 確か大勢で踊って歌ってるグループの一員だっけ。
「え? 何これ? ドッキリ?」
 これが俺の有利につながるか不利につながるか、これまではほとんど喋った事のない見せられ少女は、今回はタレントという事で喋ってる。
 だが、どう出るかは考えても仕方がない。
 俺はいつも通りやるだけだ。
 俺は、そのタレントさんにいつものように笑いかける。
「え? え? あれ?」
 少し戸惑いながらも、微笑み返してくれる。
 流石タレントだ。
 さて、ここで──。
 俺はパンツを下ろしつつ、ブリッジをする。
 それはタレントさんを前にしても、まだ萎えたままだった。
「か」
 くそっ、これだけじゃ何ともならない!
「可愛いーーーっ!」
 俺のちんちんは、悲鳴ではなく、そんな叫び声で評された。
「何これ何これ!? 格好いい男の子だと思ってたけど、ちんちん可愛い! どうやってるの? 合成? SFX?」
 美男ばかり見ているタレントに顔を褒められて嬉しいけど、何だろう、しにたくなった。
「そこまで!」
 扉が閉まる音。
 俺はそのままこてん、と腰を落とし、パンツ下ろしたまましくしくと泣いた。
 大きな歓声が響き、俺も伊澄に促されてパンツをあげて立ち上がる。
「得点、十八、十八、十八、五十四点! 勝者、青コーナー亜様鷹士!」
 辛くも一点差だが、勝てたようだ。
「新東洋太平洋チャンピオン、亜様鷹士!」
 大歓声、走り寄って抱き締めてくる伊澄と結愛。
 そんな中で、俺だけはちょっと泣きそうな気分だった。
 これまで、なんだかんだで勝利した時は心の底から嬉しかったし、日本チャンピオンの時には記憶が曖昧になるほど浮かれてた。
 だけど、今回は失うものが多すぎた。
 俺、しばらく街で女の人を見ると、あのちんちん思い出して萎えてしまうんだろうなあ。
 そして、萎えたちんちんを見て笑われてしまうんだろうなあ、いや、見せて歩くわけじゃないんだけどさ。
 なんだか男として殺された気分だ。
 左右から美少女に抱き付かれている今でも、全く興奮しない。
 いや、柔らかい身体とか、ほんのり体温とか、興奮しないよ?
 いい匂いとか、髪の毛が触れたりとか──。
 うん、俺は健全な若い男の子だ。
 大丈夫、俺はこれだけで興奮出来る!
 少しずつ、回復している俺のちんちん。
「オメデト、タカーシ!」
「ひっ」
 俺に多大なトラウマを植え付けた、対戦相手のエメなんとかが、俺に握手を求めて来た。
 怖いけど、勝利者としてこれを受けないわけにはいかない。
「ありがとう。あなたもなかなか手強かっ──」
 その瞬間、俺はその口を塞がれた。
 強い香水の香り。
 俺は、エメなんとかに、唇を奪われていた。
 あ……れ……?
「マタネ!」
 俺が呆然としている間に、エメなんとかは帰って行った。
 そして、俺のちんちんは再び、萎えた。
 こうして俺は、エメカセム(覚えた)から東洋太平洋チャンピオンの座を奪ったが、ファーストキスをはじめ、色々なものを奪われた。

 ちなみにタレントの方は、その後テレビのバラエティーで今日の体験を話し、「顔が格好良くってちんちんが可愛い男の子」の話が話題になったが、他の出演者だった芸人に夢でも見たんだろ、と言われていたため、少ししか話題にならなかった。
 そう、ツイッターのトレンドに、一時間ばかり上がった程度に。
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