第4章 初デート
「お待たせ。」
駅で待ち合わせをして、まずはランチに向かった。
亜美がメニューを見て「ん〜何にしようかなぁ。ドリアも良いし、パスタも食べたいなぁ。」
と、なかなか決められずにいると、
「じゃ、両方頼んで、半分づつにしよう。」と克彦が言ってくれた。
そして、まず運ばれてきたパスタを、亜美の目の前に移動しながら
「温かいうちに、先に食べな。」と、克彦はそっと差し出してくれたのだった。
昼間に会う克彦は、なんだか今までとは、ちょっと違って見えた。
今までは、お酒の席だからか、割と遊んでいそうなイメージで、
正直、亜美は「軽いな、この人。」って思っていた。
しかし、今日の克彦といったら、いつもとは違って、なんだかぎこちない。
あらためて二人で会うとなると、意識してしまっているのかもしれないが、
ちょっとした気遣いや、やさしさも、軽いというより、
どちらかというと「誠実さ」が伝わってくるようなものだった。
克彦が緊張しているのが、亜美にも伝わってきて、
それが、亜美には、かわいくも思えて、少し嬉しかった。
こうやって相手の事を一つ一つ知って、
ドキドキしたり、嬉しいという気持ちが、たくさん積み重なって、
相手のことをもっと好きになっていくんだろうね。
それに今日は、初めてのデートにして、初お泊り!
初デートをどうしようかと相談しているうちに、一緒に過ごそうかという事になり、
ネットや情報誌にもよく載っている、お洒落なホテルにお泊りすることになったのだった。
そして、ちょっと奮発して、ディナーもホテルのコースを予約していた。
部屋に着くと、部屋の中央には、ドンッと、ダブルベットが一つ。
亜美は心の中で「ツインルームじゃないんですね・・・。」っと思いながら
更にドキドキが増していった。
とりあえず、ソファに向かい合わせに座って話をしていたが、
なんだか変に緊張してしまって、妙に口が渇く感じがした。
そこで、亜美は、「ちょっと飲み物買って来る。」と克彦に伝え、その場を離れた。
エレベーターで一階まで降りて、二人分のジュースを買い、部屋に戻ってきた。
そして「落ち着け私。普通に。普通に。」と、自分に言い聞かせ、
「よしっ」と気合を入れて、亜美はドアを開けた。
すると、「えっ?!」っと目を疑うような、衝撃的な事実が目の前に・・・。
一瞬、亜美は、部屋を間違えたかと思った。
そこには、さっきまで被っていた帽子を脱ぎ去り、
生まれたてのヒナ鳥のような頭をした克彦がいたのだ。
そういえば、今まで帽子を被っている姿しか見たことがなかった。
飲み会の時も2回とも帽子を被っていたので「帽子が好きなの?」と聞いたことがあったが、
その時、克彦は「帽子が好きで色々持っている」「どこどこのお店の帽子が・・・。」などと話していた。
なので、亜美は、てっきりおしゃれで被っているものだと思い込んでいた。
でも・・・実は・・・「ハゲ隠し」だったとは・・・びっくり!!だった。
ドアのところで、一瞬立ち止まってしまった亜美の目の前には、ダブルベットが・・・。
気持的には、手に持っていたジュースを下に落としてしまいそうなぐらいの衝撃だったが、
それを悟られないように、「全然気になりませんよ」というふりを精一杯しながら、
「冷静にならなくては」と自分に言い聞かせた。
亜美は部屋の中に入りながら、「ここで変に引いてしまっても失礼だよね?」
「なんて言ったら良いんだろう?」「何も言わないのも変かな?」など、
色々なことが、あれこれと頭の中を駆け巡った。
今の亜美の思考回路は、パソコンにも負けないほどの処理能力を発揮しているだろう。
もう後戻りは出来ない?!よね・・・。
|